「日葬祭典 回想録」は「葬儀の話」「ヤクザの話」「神輿愛好会 櫻睦の話」「雑談」の4本柱で書き込みをしています。

 

日産自動車、安売りのスーパーが下請け業者に対して、自分が優位な立場を利用して「イジメ」をしていた事でマスコミが騒いでいますが、別に一般企業だけではなく葬儀社にもあります。ただ当社は病院、老人ホームも同じ企業が経営していたのと「タカリ」の手口が同じだったので、この企業の体質だと思っています。

 

葬儀社の場合は病院、寺院、老人ホームの指定葬儀社になっても契約書は書きません。患者さんが亡くなるかがわからないので、すべて口約束なのです。その為に何か用事を頼まれても断わる事が出来ないのです。私はこの病院と老人ホームを経営している企業の体質は「口は出すが、金は出さない」と思っています。

 

この老人ホームの場合は、今迄指定葬儀社だった葬儀社から、当社が指定葬儀社になれたのですが、この老人ホームの「タカリ」は半端ではありませんでした。 

 

この病院の方は、今まで当社が指定葬儀社になっていたのですが、病院が経営に行き詰まって新しい企業がこの病院の経営をやる事になったのですが、その企業が偶然にも当社が指定葬儀社になっている老人ホームと同じ企業だったので、始めから「タカリ」は覚悟をしていました。

 

まず「老人ホーム」の方から書かせてもらいますと、担当者の方から「ここの施設ではいろいろなイベントをやりますので、入居者の方から去年のイベントの方が良かったと言われない様にして下さい」と釘をさされました。もし1年の間で誰も亡くならなかったら無収入なので、と思うと気になりました。

 

「病院」の方は総務部長から、「これからは日葬祭典さん1社だけでは無く、もう1社を指定葬儀社にしますので1~15日までは日葬さんで、16日~月末までは「K葬儀社」さんがやりますので」と一方的に言われました。

 

「門松、しめ飾り」

担当者の方から「お正月は1階のエントランスの入口に門松を飾ってもらって、玄関にはしめ飾りを飾って下さい」と言われました。そして今までの写真を見せてくれたので、写真を借りてその門松としめ飾りが去年よりも立派だとハッキリとわかる様に、市販されている中では1番立派なものを飾りました。

 

「鏡餅」

1階のロビーの目立つ所に都内のホテルと同じ様な大きさで、正式な鏡餅を飾りました。私の知人の米屋さんに特大の鏡餅を作ってもらって、米屋さんの知っている職人さんに正式な鏡餅を飾ってもらいましたが、下に台が必要だと言われたので、当社でよくお願いするレンタル屋さんから台を借りて飾りました。

 

ただ鏡餅を飾ってくれる職人さんから「鏡餅の上に置くのはミカンではなくて、ダイダイですから」と言われたのでダイダイを探して飾りました。

 

「正月花」

鏡餅の隣りに飾る正月花は、レンタル屋さんから大きめの台の上に赤いもうせんを張ってもらい、松、南天、菊だけではなく、欄、カサブランカなどの洋花を混ぜて立派に飾ってもらい、暖房の関係で毎日、朝と夕方に老人ホームに行って、花が少しでも傷んでいないかを確認して、傷んでいたら花を差し替えるのです。

 

「大ホールでお餅を食べる」

「お正月は入居者全員が大ホールに集まって一緒に「お餅」を食べるのです」と言われてから、「今まではレストランで「餅つき機」で作ったお餅を食べるので、お餅が冷たくなってしまうので、これからは出来るだけつきたての熱いお餅を食べてもらいたいので、そこのところを考えて欲しいんですけれども」と言われたので、つきたてのお餅を食べてもらう様にしました。

 

よく商店街などでつきたてのお餅を食べさせてくれる模擬店があるので、パソコンで餅つきの会社を探して老人ホームに来てもらいました。1階の裏庭でセイロでもち米をふかして熱いうちに大ホールまで運んでもらい、大ホールの舞台で「うす」と「きね」で餅つきをしてもらって、あんこ、大根おろし、きな粉で入居者の人に熱いうちに食べてもらう様にしました。

 

「演芸会」

「お正月に大ホールで演芸会をやりますから」と言われたので、芸能プロダクションに連絡をして、縁起のいいものをやって欲しいと頼んで、芸人さんに来てもらいました。獅子舞いは必ずやるそうなのですが、それ以外に大体3組位の芸人さんに来て貰らって、1時間位で終る様にしてもらいました。ただお正月なので料金が3割位高いのは驚きました。

 

「夏祭り」

当社にはテント、テーブル、パイプ椅子はあるのですが、それ以外はレンタル屋さんからすべて借ります。今まではテントを張ってパイプ椅子を並べて小さな花火を皆んなに渡していた様なのですが、「今回は部屋から見える様にしたい」と言われたので、テントの中に模擬店を作り、パイプ椅子もいろいろな所に置いて、使用する花火も資格を持っていなくても出来る、打ち上げ花火と仕掛け花火をやる事にしました。

 

当社の社員は入居者の人に顔を見られない様にしているので、アルバイトの人達に祭り半纏を着てもらいましたが、人数が大勢必要だったので、人件費がだいぶかかりました。

 

「七夕祭り」

大ホールの中に本物の竹を2~3本飾り、事前に入居者の方に書いてもらっておいた短冊を飾ってから、短冊が目立つ様にしてから他のものを飾りました。

 

「お月見」

空いている部屋にお月見飾りをして、JR中央線「阿佐ヶ谷」に「うさぎ屋」さんと言う和菓子屋さんに行って、どら焼きとうさぎ饅頭を各100個ずつ買ってきて、部屋の中に置いて置く様に指示されたのでその様にしました。

 

「秋祭り」

このイベントが1番気を使い、1番お金がかかるイベントでした。いつものイベントと違って、入居者の家族の方にも参加をしてもらって行なうイベントなのです。大ホールの周りに当社の社員が紅白の幕を張って、レンタル屋さんに模擬店を作ってもらって、うどん、そば、わたあめ、お好み焼き、飲み物などを大ホールの周りに置きました。

 

中央に丸テーブルを置いて、テーブルクロスをかけて、パイプ椅子と長い椅子に赤いもうせんをかけて、入居者の方と家族の方に楽しんでもらうのです。ただ模擬店のなかには電気を使うものもあったり、煙がでたり、臭いが出たりするものもあるので、大ホールの中が入居者の方が嫌な気分にならない様に、レンタル屋さんに道具を持って来てもらいやってもらいました。

 

「クリスマスツリー」

クリスマスツリーは大ホールの入口に飾ります。このクリスマスツリーは当社で輸入品のクリスマスツリーを購入して、使い回しで使っていく様にしました。後は大ホールの壁の一部分にクリスマスの雰囲気を出す程度に飾っていました。

 

この様なイベントを担当者の方と相談して毎年やっていたのですが、コロナ過で中止になって正直に言ってホットしています。この様なイベントをやる事は、葬儀社に対しては「イジメ」ではなくて、「タカリ」だとは思っています。 ただ他の葬儀社がどの様な事をやっているのかは知りませんが、何しろ「下請け」はお金もかかるし、気も使うし、どこも大変だと思います。これで1年間の間で、入居者の方が誰も亡くならなければ大変です。

 

「病院のライトアップ」

新しく企業が病院の経営をする様になったら、今までとは「天と地」ぐらい変わりました。まず病院の院長が変わり、その院長が桜の花が大好きなので、「病院にある4本の桜の花のライトアップをして欲しい」と頼まれました。

 

病院の建物から1番離れたところに桜の木があって、それも片側一車線の道路側にあるので、電気の差し込みが無いので事務長に話したら「上手くやってよ」と言われたので、HONDAの発電機を4台購入して、照明屋さんに来てもらってライトアップの器具を用意してもらいました。

 

照明屋さんが発電機を見て「このままの状態ではガソリンも使っているし、音もうるさいし夜中に発電機や照明器具も盗まれる可能性があるので、発電機は大工さんに頼んでカバーを作ってもらって方がいい」と言うのです。

 

そして「1番いいのは1週間ぐらいの事なのだから道具類を毎日持って帰って、時間が来たら道具類を持って来て、ライトアップをやって、終わるまではそばにいて、終わったら道具類をかたずけて持って帰るのが1番いいと」言うのです。

 

結局1週間の間は夕方に病院に行って、ライトアップをやってからそばにいて、8時過ぎに片付ける様にしました。そして4年間やったら院長が変わったので、ライトアップはやらなくなりました。

 

「病院の夏祭り」

新しく病院の経営者が変わり、病院を建て替える事になりライトアップが終わったら、今度は病院主催の「夏祭り」をやる事になりました。勿論準備は当社がすべて任されましたし、費用は当社持ちというのは老人ホームで経験をしているので何も気にもなりませんでした。

 

やる日は8月の3週間目の土曜日という事になりました。土曜日の午後12時過ぎに駐車場には車が1台も駐車出来ない様にして、テントを12張り、張るのです。そのテントの中にレンタル屋さんから、金魚すくい、かき氷、焼きそば、わたあめなどの模擬店の道具類を借りて、氷、金魚、焼きそば、ザラメなどの材料は当社で用意しました。

 

そして病院の入口の外に大きい舞台をレンタル屋さんにたのんで、作ってもらうのです。それと病院の入口の中にも、レンタル屋さんに小さな舞台を作ってもらうのです。外にある大きな舞台は近所のフラダンス同好会の人達や、他の同好会の人達がいろいろな事をやるのです。

 

病院の入口の中にある小さな舞台は病院関係者の方が楽器を持ちよって演奏をするのです。医師、看護師さん達もやるのです。スピーカー、マイク、ミキサーなどの設営は当社が社葬などでお願いしている音響屋さんに頼んで、すべてをやってもらうのです。

 

すべての準備が終わったら当社の社員が頼んでおいたものを取りに行ったり、買い出しにいくのです。老人ホームと違って当社の社員が手伝っても近隣住民の人しか来ないので、一緒に働いていても大丈夫な訳です。

 

模擬店の中で働く人は決まっていないようで、手の空いている人や当社の社員がやる事にしました。そこまで考える余裕がなかったのだと思いました。

 

午後4時から始まって、午後6時には終る様にと病院の職員の人から連絡がありました。ただやっている途中でかき氷の氷などが無くなってしまったら、氷の係の社員が氷屋さんまで取りに行くので大変でした。また金魚が少なくなったら金魚を足さなければならないので金魚の係も大変でした。

 

午後6時過ぎから後かたずけをするのですが、慣れない事をするのともう1社の葬儀社は全然手伝ってくれないので社員はだいぶ納得がいかなかったようですが、下請けとはこういうものなんだとあきらめていました。このイベントもコロナ過になって中止になりました。

 

結局何処の企業でも下請け業者に対してイジメる企業は、いくらマスコミが騒いでも、私は企業の体質だと思っていますので、なかなか治らないと思っています。