「日葬祭典 回想録」は「葬儀の話」「ヤクザの話」「神輿愛好会 櫻睦の話」「雑談」の4本柱で書き込みをしています。

 

私がヤクザの葬儀を始めた頃は慣れていなかったのと、いろいろなヤクザ団体の葬儀をやっていた為に、ベッドに横になっても神経が高ぶって眠れませんでした。

 

そしてヤクザ団体の住吉連合会が、連合会組織を辞めて「住吉会」に一本化した時に「住吉会」本部の指定葬儀社になり大改革をしました。1番大きく変えたのは住吉会葬、関東二十日葬などの大規模な葬儀は当社がやる様に決めた事です。

 

それと白木祭壇の両脇に飾る生花を「住吉会」の執行役員と最高幹部の人達の生花しか飾らなくした事です。住吉連合会の時は住吉連合会の総長と最高幹部の人達の生花と、各一家が付き合っている一般の人から送られて来た生花も飾っていたのです。

 

多い時で合計300基くらいなのですが、500基くらい飾った事もありました。ただ一般の人から送られてくる生花は大きさも違いますし、名札の大きさも違うので、見た目も良くありませんし、必ず一家の関係で生花の位置を変えるのです。

 

下の方に飾っている場合はいいのですが、上の方に飾ってある場合はその生花の下に飾ってある生花は全部移動しなくてはならないので、凄く時間がかかるのです。白木祭壇の両脇に飾って舞台が一杯になると式場の両サイドに飾って、それ以外は外に飾るのです。

 

それをすべて禁止して、大規模な葬儀の場合は白木祭壇の両脇に飾る生花は、「住吉会」の執行役員と最高幹部の人達の生花しか飾らない様に決めたのです。最初の頃は80基くらいでしたが、ヤクザが全盛期の頃は120基くらいでした。

 

他の団体の生花は団体名と親分の名前を書いて1基しか飾らないので、目立ちますし、全体的にスッキリして好評でした。ところが当社は住吉会葬、関東二十日葬などの大規模な葬儀しかやらないので、食中毒が1番気になりました。

 

何しろ参列者は全員がヤクザで、食事をするのはその中でも総長と最高幹部の人達だけで、2~300人の人達なのです。ホテルなどのパーティーならば出来上がった料理を直ぐ食べられますが、葬儀の場合はそ一ゆう訳にはいきません。

 

仕出し料理屋が朝から仕込みを始めて、昼過ぎから葬儀式場まで料理を運んで来る車に積み込む訳です。当時も現在も軽自動車で冷凍車などはありませんし、運転席の後ろにアルミバンの荷台に置いておくだけなのです。

 

関東二十日葬などの場合は、最初に他団体の親分と最高幹部の人達が控室で食事をします。葬儀式場で関東二十日葬が終わったら次は住吉会葬になる訳です。そして「住吉会」の各一家の総長や最高幹部の人達が食事が終わって、関東二十日葬が終わるのです。

 

それから一家葬が始まる訳です。そして一家の組員の人達の焼香終わってから、一般葬になる訳です。一般葬で会葬者の人達のお清めが終わったら葬儀は終了です。そして若い組員の人が5~6人泊まりますから、夜食で食事をするのです。

 

この様な状況が関東二十日葬の時の流れなのです。どう考えても食中毒の事は気になりますので、家に帰ってベッドに横になっても殆ど眠れませんが、それも1日だけで葬儀が終わったら寝られました。

 

ところが1日眠れないどころか、睡眠薬を飲まなくては寝られない日にちが何日も続いた事があります。皆さんも私と同じ様な経験をしたらおそらく眠れないと思いますが、もし眠れたら尊敬します。

 

「手術の前に医師から手術の説明を聞かされた時」

私が75才を過ぎた頃から時々手がしびれる感じがしていたのですが、年寄りになったのだから自然なんだろうと吞気に構えていました。

 

その内にしびれが毎日時々しびれる様になって来て、最後は毎日1日中しびれて、左手で物を持ち上げる事が時々出来なくなったのです。

 

例えば右手で冷蔵庫のドアーを開けて、左手で紙の牛乳パックを持ち上げようとしても、持ち上げる事が出来ないのです。心配になって近所の脳神経科クリニックに行って、CT、MRIを撮ってもらいました。

 

医師から「中村さん、脳神経には何も異常がありませんね」と写真を見ながら説明をされたのです。そのまま自宅に帰ってきたのですが、医師がもう1人いるのを思い出して、今度は違う医師に診察をしてもらう事にしたのです。

 

そうしたらCT、MRIの写真を見ながら私の話を聞いてくれて「中村さん、脳では無くて首かもしれませんから、首のCT、MRIを撮りましょう」と言って、首のCT、MRIを撮してもらいました。

 

出来上がった写真を見て「中村さん、頚椎が詰まっているから手術ををしなければダメですね」と言ってから、「月に一度○○医師がこのクリニックに来るので診察をしてもらって下さい」と言われました。

 

後日改めてその○○医師の予約を取って首のCT、MRIを見てもらったら、「中村さん、直ぐに手術をしなくてはダメですし、手術をやる前に転んだり、しりもちをついて、首にショクを絶対に与えない様にして下さい」と言われ、「手術は私がやりますから」と言われました。

 

2023年6月19日入院、6月20日手術と決まりました。病院はその○○医師が部長をしている病院で行なう事に決まりました。6月19日に病院に入院して20日に手術をする前に○○医師がいろいろと説明をしてくれました。

 

○○医師が最初に書類を私に見せながら「中村さん、病名は「頚椎症」です」と言ってから頚椎症の手術に関する書類を見せながらいろいろ説明をしてくれました。

 

話の中でも「手術をしても症状の改善程度ですが、しびれに関しては変わりません。痛みなどの感覚障害に関しては改善する可能性は高いですが、ゼロになる事はありません。

 

運動障害は改善する可能性はありますが、病気になる前の様にスムーズに動く所までは改善しません。又、役5%の確率で症状が悪化する場合もあります」と○○医師から言われたので、「○○医師、説明はいいですから手術をして下さい」とお願いをしました。

 

「中村さん、これからまだいろいろな事を話して中村さんに書類にサインをしてもらうのが規則ですから」と言われたのでまた説明を聞いたのです。もう私の頭の中は不安で一杯だったのです。

 

そうして○○医師が「中村さん、今回の手術の目的は現状維持が最大の目的になります。かといって手術をしないと現在の状態を確実にしびれ等の悪化や上肢、下肢の悪化を認めます」と言われました。

 

そして○○医師が「もし転倒や尻もちをついた際に脊髄が損傷して悪化した場合は、四肢麻痺になります」と言われたので、「○○医師、四肢麻痺の意味が良くわからないんですけれども」聞いて、説明を聞いたら頭の中が真っ白になりました。

 

「中村さん、少しショクかもしれないけれども首から下が麻痺してぜんぜん動けなくなって、植物人間になってしまうという可能性が非常に高くなるという事です」と言われたのです。

 

それから○○医師がが「合併症ですが」と説明をされたのですが、何を聞いても「ハイ」としか言う返事しかしていませんでした。

 

書類に私の名前のサインをして病室に戻りベッドに横になっても眠るどころか、不安で、不安で一睡もしないで手術を受けました。手術が終わったら首にむち打ち症の患者さんがやる様な器具が首に巻かれていました。

 

この器具は3ヶ月間の間、寝る時にもはずしませんし、尻をつかない事や、転ばない事が気になり、特に植物人間と言う言葉が気になって、生まれて初めて睡眠薬を飲みました。

 

ただ運が良かったのは手術が終わった後で、○○医師が私に「今迄で随分手術をやってきたが、中村さん、今度の手術は自分で納得が出来た初めての手術だから、元の健康な時と同じ様になると思うよ」と言ってくれたのです。

 

半年経った現在○○医師が言った通り、手のしびれもなくなり物も持ち上げる事が出来て、体も今迄と同じ様に動かせ本当に良かったと思っています。睡眠薬がなかったら寝られなかったと思います。

 

「指定葬儀社になっている病院の事務長から束になっている名刺を見せられた時」

街にある医院、クリニックはほとんどが院長が理事長を兼ねていますので院長の力は絶対なのです。ところが葬儀社にとりましては指定葬儀社になりたい病院は総合病院なのです。

 

総合病院は院長が理事長を兼ねている病院もありますが、理事長と院長が別な総合病院もあります。要するに雇われ院長な訳ですから、絶対的な力は持っていません。

 

葬儀社にとって指定葬儀社になっている病院に対して1番気を使うのは事務長、看護部長なのです。その為にそこの総合病院の院長が理事長なのか、雇われ院長なのかを殆ど知りません。

 

ただ絶対的な力を持っている人に嫌われたら、いとも簡単に指定葬儀社を変えられてしまいます。葬儀社は総合病院に対してぜんぜん力を持っている訳ではありませんし、お情けで指定葬儀社にしてもらっているだけなのですから、常に緊張感を持っています。

 

葬儀社が総合病院に営業をする時には、まず最初に霊安室に行きます。殆どの総合病院の霊安室には指定葬儀社のパンフレットや、壁に「葬儀のご用命は ○○葬儀社」という小さな看板が室内電話の上に貼ってあります。

 

まずその看板を見て総合病院の指定葬儀社の事を知ってから受付に行って、事務長に面会を求めるのです。それとも電話でアポを取って面会をするのです。

 

葬儀社の情報なんていうのは簡単に入るのです。何故かといいますとチップを渡す事が当たり前の業界ですから、取引先の社員に少し多めにチップを渡せば他の葬儀社の事で知っている事は、何でも教えてくれるのです。

 

そして指定葬儀社の事を調べてから、事務長に面会をしていろいろな話しをする訳です。例えば指定葬儀社が寝台車を持っていなくて、自社で寝台車を持っている葬儀社ならば、「当社は寝台車の料金は無料です」という様な事を話しをする訳です。

 

ある日指定葬儀社になっている総合病院の事務長から電話があり「中村社長、時間がある時に病院に顔を出して」と言われたので、直ぐに事務長の所に行きました。

 

事務長室で待っていると事務長が名刺の束をもっているのです。そして私に渡してから「どこの葬儀社さんかわかる」と聞かれたので名刺を見ていると、事務長が「葬儀屋さんも大変なんだね」と言うので、「随分名刺がありますね」と答えました。

 

そうしたら事務長が「中村社長は有名なんだね」と言うのです。私も意味がわからなかったので「わかりませんけれど、何で有名なのかわかりません」と答えたのです。

 

そうしたら事務長が「その名刺の数はすごい枚数だよね」と言うので私が「こんなに葬儀社が営業をかけているなんて初めて知りました」と答えたら事務長が「中村社長は名刺の葬儀屋さんを全部知っている」と聞くのです。

 

そして私が事務長に「1割ぐらいしか知りません」と答えたら事務長が「その名刺の葬儀屋さんは、全員中村社長の事を知っていたよ」と言うのです。そして事務長が「現在出入りしている日葬祭典さんはヤクザですよと皆んな言っているよ」と言うのです。

 

直ぐに私が「ヤクザの葬儀をやる事はありますが、ヤクザでは無いですよ」と答えたら「ヤクザの葬儀をやっているのはわかっているし、紹介したご遺族の方からいい葬儀屋さんを紹介してくれてありがとうございました、と連絡があるから気にしてはいないけれども、注意はしていた方がいいよ」と言われました。

 

帰りに他の指定葬儀社になっている総合病院の事務長の所に行って「事務長、何か他の葬儀社の人が病院に行って日葬祭典はヤクザだと言いふらしているみたいですけれども」と言ったら、束になったいる名刺を持って来て「皆んな中村社長がヤクザだと言っているから、理事長に知られない様にしているから大丈夫だよ」と言われました。

 

夜、指定葬儀社になっている総合病院が院長が理事長も兼ねているのか、雇われ院長なのかが気になって当分の間は熟睡が出来なくて、夜中に何度も目が覚めました。最近は年寄りなので夜中にトイレに行く事があるのですが、その度に目が覚めるのですが、ぜんぜん気になりません。