「日葬祭典 回想録」は「葬儀の話」「ヤクザの話」「神輿愛好会 櫻睦の話」「雑談」の4本柱で書き込みをしています。

 

世の中のシステムが大きく変わり始めました。江戸時代から明治時代にいろいろなシステムが変わった時に比べたら比較にならないでしょうが、私みたいな年寄りにとっては同じ様に感じます。

 

何しろチョンマゲをやめて、刀をぶら下げるのをやめて、着物から洋服に変わって、下駄から靴に変わって、すべて変わってしまったのですから年寄りは本当に大変だっと思います。現在は変わったというよりも進化したと言うのが正しいのでしょうが、私には今後の日本のシステムが明治維新と同じ位に変化していくとしか感じません。

 

いろいろなシステムが変わる前に葬儀、ヤクザの裏話を書き込んでおきます。1番最初に葬儀、次にヤクザの順番で書きます。

 

「葬儀屋さんの裏話」

都内の葬儀屋さんという職業は、老舗の葬儀屋さん、冠婚葬祭互助会が主流でそれ以外に農協の葬祭部があります。それ以外にもあるのですが私は付き合いが無いので省略します。

 

老舗の葬儀屋さんは昔は宣伝広告が出来なかったので、電話帳か店の近くの電柱に看板を取り付ける位でした。葬儀の依頼は紹介が殆どでした。それに殆どの葬儀屋さんは個人商店なので親、子供、嫁さんでやっているのです。

 

子供が3人いれば3人の子供と親が一緒に仕事をやっていたのです。まして年中無休、24時間体制ですから誰かが留守番をしなければならないので、非常に仲がいいわけです。

 

それに葬儀の依頼が殆ど紹介ですから、子供が結婚してお嫁さんの紹介で葬儀の依頼も来る訳ですから嫁、姑の関係も驚くほど上手くいっているのです。とにかく非常に家族全員が仲がいいのです。

 

ところが子供やお嫁さんの中には、人付き合いの好きな人もいれば嫌いな人もいるわけです。やはり人付き合いの好きな人には葬儀の紹介が多い訳です。そうすると親、子供、嫁さんの間で「力」関係が自然に出来てしまうのです。

 

家族全員が一緒に暮らしている時にはいいのですが、独立して暮らし始めると給料が問題になってくるのです。ところが紹介してくれる人がハッキリしている場合はいいのですが、店の近くのお寿司屋さん、床屋さんの主人から葬儀の紹介がある場合は一体誰の紹介で葬儀を紹介されたのかがわからないでのです。

 

そうなってくると給料にも関係しますので家の中がギスギスした状態になってしまうのです。そうなると家族全員が非常に仲が悪くなってしまうのです。とにかく朝から喧嘩が絶えない親、子供、お嫁さんの関係になってしまうのです。

 

昔の葬儀屋さんは最初のうちはいいのですが、最終的には仲が悪い葬儀屋さんが多かった事は確かです。

 

「冠婚葬祭互助会の裏話」

冠婚葬祭互助会が都内に進出して来た頃は、なかなか社員が入って来なくて困っていました。まして冠婚葬祭互助会と言っても葬儀社みたいなものですから、互助会に勤めたくても家族が反対するので本当に互助会は困っていました。

 

ところがイザ互助会に入社してみると、今迄他の会社で仕事をやっていてもどうしょうもない人間が、人が変わった様になるのです。互助会の謳い文句は葬儀社の半値でしたから、ご遺族の方はそれを信じていますので、互助会の社員に対して下出になるのです。

 

互助会の営業活動はその当時は生命保険の勧誘の人や、〒郵便貯金の営業活動をやっている人達が、片手間にアルバイトで互助会の会員を集めていたのです。

 

その為に互助会の会員さんが亡くなり互助会の社員の方が自宅に伺うと、今迄働いていた会社と違って、家族の方は互助会の社員の人を上座に案内してくれて、家族の方が「何もわからないで、よろしくお願いします」と言うのです。

 

今迄の仕事から比べると非常に楽というか、簡単な訳です。家族の人は互助会は安いと思いこんでる訳ですから、互助会の社員の言いなりです。それに葬儀にはチップというしきたりがあるので、互助会の社員にも出してくれるのです。

 

今迄の会社で仕事が出来なくて馬鹿にされていたのが、天と地の差があるのです。何しろ自宅に入った瞬間に上座に座らされて、家族の人達が何も文句を言わないで言う事を聞いてくれて、チップがもらえる訳ですからこんなに楽な事はありません。

 

今迄は毎日の様に文句を言われ、少ないおこずかいしかもらっていなかったのが、これからは給料は全額奥さんに渡して、おこずかいはチップをもらえるので、それをおこずかいにして、たまには奥さんや子供達にもおこずかいを渡すのですから、家庭内は円満です。

 

そして数年勤めて部下が出来ると、今迄上司会から文句を言われていたのが、今度は部下に対して文句を言える立場になったのですから、今迄のうっぷん晴らしが出来る訳です。

 

私はある大手の互助会の部長と話しをした事があるのですが、確かに大手の互助会の部長でしたが、本来は実力を持ってい無いのにただ長く勤めていたので部長になった訳ですから、これから先この互助会は大丈夫かと案じていたのですが、倒産しました。

 

「農協の葬祭部の裏話」

都内にもいろいろな農協があって、この農協では旅行会社をやってもいいけれども、葬儀はやってはダメだといろいろな規制があったみたいで、私の知っている農協の葬祭部では認可が下りたのでしょう。

 

農協に勤めている社員が今度葬儀をやる事になったので、3人の社員が選ばれて葬儀社に見習いとして働いて、葬儀の仕事を覚えたので葬祭部を始めたのです。

 

もちろん農協に勤務していても葬儀社をやらされる訳ですから、地主さんではありません。都内の農協では当然地主さんが1番の実力者ですから、地主さんの人が葬儀式に行かされる事は絶対に無い訳です。

 

ところが地主さんの葬儀はもとより、地主さんから土地を借りて商売をしている人の葬儀も依頼されるので、葬祭部は非常に忙しいのです。そうなると地主さんの出来の悪い息子さん達が入社してくるのです。

 

面接なんて関係がないのです。地主さんから「うちの息子を使ってくれ」の一言で入社が決まるのです。トップにいる有能な責任者は地主ではなく部下が出来が悪くても、地主さんの息子なので文句が言えないのです。

 

それと相続の関係で部下の中でも、アパート経営や貸駐車場をやっている部下も大勢いるのです。その為に給料は殆どあてにしていないのです。

 

それに庄屋さんの息子もいれば、小作人もいますし、地主さん同士で派閥があるので、責任者は気苦労が絶えないと言っていました。

 

ある時、部下が車をぶつけたので注意をしたら、翌日その息子の父親から電話があって「車は買って返すから、息子に文句を言うなと怒られた」と私に愚痴っていました。

 

「ヤクザの裏話」

ヤクザは葬儀式場を義理場と言います。ヤクザにとっては葬儀はとても大切なものなのです。その為にヤクザは葬儀式場に対しては非常に気を使っています。

 

特に私は「住吉会」本部の指定葬儀社だったので、住吉会葬、関東二十日葬などの大規模な葬儀は当社でやっていましたし、住吉連合会から、「住吉会」に一本化された時から、火葬場にある葬儀式場を全館借りきってやる様にしました。

 

もし火葬場と警視庁捜査4課からクレームがついたら葬儀が出来ないのです。その為にヤクザの組員の人達は葬儀式場の使用規則、注意事項を本当に守ってくれました。

 

それに葬儀関連業者にも気を使いました。特に火葬場の職員の人達には嫌われない様にしてもらいました。一般の方の社葬、団体葬、個人葬の人達の誰よりも葬儀式場を大事にしてくれました。

 

葬儀式場の外で真冬の葬儀の時に、数時間火葬場の入口から葬儀式場まで直立不動で並んで会葬者をお迎えする訳ですし、2,000人の若い組員の人が解散になって、トイレに入ったらトイレが汚れるので、誰も入りませんでした。

 

また葬儀式場の中にいる最高幹部の人達がトイレに入っても絶対に汚しませんし、必ずお付きの若い衆が汚さなかった事を確認します。もし汚したら直ぐに掃除をして、火葬場の職員の人に迷惑はかけませんでした。

 

それと一般の方の葬儀と1番違うのがチップの金額です。普通は火葬場の作業員の人に渡す金額は火葬炉のランクによって違うのですが、大体1~3万円くらいです。案内係りの人に渡す金額は5,000円くらいです。

 

この様な相場が決まっているのですが、ヤクザの葬儀では1人1人にチップを渡すのです。火葬場の場合は作業員の人が作業をしてくれる人は1人なのですが、作業をする人は大体7名いますので、¥70,000円渡す訳です。

 

すべてこの様にしていましたから、配膳の人達は最低でも20人はいますし、近隣の住民の皆さんに迷惑をかけないようにガードマンを配置するときは規模によって違いますが、5~20名は配置します。

 

それ以外にも事務所、霊柩車の運転手、亡くなった病院の霊安室の担当者の方などの人数を合計すると凄い数になる訳です。常に住吉会葬でのチップは数十万円は支払っていましたが、1番最高の時のチップの合計の金額は¥850,000円でした。

 

それでも西口会長からは「中村、近隣の人には迷惑をかけないのと、チップはケチるんではないぞ」と言われていました。

 

「最後に」

皆様明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。それと新年早々皆様にお願いがあるのですが、私のブログは時々題目のタイトルを変えてみたり、書いてある文章で書き忘れた事や、思い出した事を書き足したりしています。

 

たまには読み返して下さい、お願い致します。