「日葬祭典 回想録」は「葬儀の話」「ヤクザの話」「雑談」の3本柱で書き込みをしています。

 

      

当社の経理は「A」という社員に、日葬祭典の本社で1人でやらせていました。日葬祭典の本社は京王井の頭線「久我山」駅から三鷹方面方面に向かって「〒久我山郵便局」の前を通り過ぎて5~6軒先にあり、人見街道沿いにある小さな4階建てのビルが本社で、日葬祭典の本社の4階の事務所か、「A社員」が自宅に帳簿を持って帰ってやっていました。

 

以前幹部社員の中から「経理は同じ社員が1人でやっているよりも、いつかメンバーを交代するか、1人社員を増やした方がいいのではないか」という話があったのです。

 

その事を伊豆大島の漁師の娘の「A社員」に話したら、「誰がそんな事を言っているのですか」と大騒ぎになり、結局そのまま経理は今迄通り伊豆大島の漁師の娘の「A社員」が1人でやる事になったのです。

 

私の会社での最後の大仕事は、葬儀社にとってドル箱中のドル箱である末期がん患者の治療を主体にする、「緩和ケア」の病院との契約でした。

 

都内の病院で1番多くベッド数を持ち、他の診療科目に余り力を入れない「緩和ケア」専門の「K病院」と当社の間で指定葬儀社になる契約が成立する時でした。

 

「K病院」の院長から病院担当者の「A社員」に「K病院」の指定葬儀社になる条件として、「緩和ケア」の認可を取る為に現在やっている「K病院」の看護師の人数を増やさなければならないので、その為に裏金で5千万用意して欲しいという条件を出されたと「A社員」が言うので、私とカミさんで都合を付けて5千万円を「A社員」に渡しました。

 

今迄なら「K病院」の院長から必ず裏金の事で、私に何か言ってくるのが普通でしたが、今回は何も言って来ないので本当に「K病院」の院長に5千万円のお金が渡ったのかと幹部社員の中から話が出たのです。いつも「K病院」の院長はどんな事でも何かをした時には連絡がくるのです。まして今回の件で連絡がこないのはおかしいと思ったのだと思います。

 

確かによく考えたら5千万円ではなくて、4千万円しか渡さなかったら、院長は当てにしていた金額よりも少なかったら、私に連絡をしてこなかったと思います。その事を幹部社員が気になったので、「経理に1人社員を増やしたら」と言う事だったのかもしれません。

 

確かに普段は何も私に連絡をしてこない「公認会計士」から他の用事で電話があったので、「裏金の5千万円は上手く処理が出来るの?」と聞いたら「何の事ですか」と言われたので、「A社員」に確認をしないでそのままにしておきました。

 

そうしたら当社で長く働いてくれていた契約社員が「A社員」とお金の事で喧嘩をして、退社したのです。そして荻窪税務署に5千万円の裏金の事を内部告発をしたのです。丁度私が会社から離れてコロナ禍がマスコミで騒がれ始めた頃でした。

 

荻窪税務署の1課、2課、3課の統括国税管理官から連絡があり、「K病院」を脱税で調査したいので、協力をして欲しい」と依頼がありました。

 

そして当社にも「K病院」の脱税の反面調査が入ったのですが、数年に1回会社に入る税務調査とは違い、そんなに細かい所までは調べなかったようです。

 

それでも税務署の職員の方から私に「A社員」に1千万円、中村会長に7百万円、奥さんに5百万円の給料が支払われているのですが貰いましたか?」と聞かれました。

 

「貰っていません」と答えたら「それ以外に社員の中で早坂さんと高橋さんという2人の社員の方に何年間の間にわたって給料が支払われているのですが?」と言われたので、「2人とも数年前に退社していますよ」と言ったのですが、驚きました。

 

そして税務署の職員の方から「中村会長は、日葬祭典の帳簿や決算書は見なかったのですか?」と言われたのです。

 

「見ませんでした」と答えたら、意味深な言い方で「会社の帳簿や決算書は見なくては駄目ですよ」と言われました。

 

「K病院」の脱税の方はコロナ禍の関係で、病院を相手にするのには税務署も手を緩めていたと思いますし、結局時効が来て脱税は逃れた様です。

 

また日葬祭典の方も税務調査ではなくて「K病院」の反面調査の為だったので、僅かな金額で追徴課税で済んだ様です。この事がきっかけでいろいろな事分かった様な気がしました。

 

「家賃」を会社が半額支払って貰っていた社員もいたようですし、駐車場も家賃と同じ様にして貰っていた社員もいた様です。

 

それに古くから働いている社員から比べたら半分位しか勤務していないのに「A社員」は本社の近くに長谷工と言うマンション業者が建てた、地上3階建のバリアフリーのマンションを購入したのです。

 

敷地は正方形で1番外側にマンションの中が見えないように大きな樹木で囲われており、建物はL字形で1階、2階、3階は各15部屋あり、すべて3LDKで真ん中が駐車場になっていました。

 

駐車場も広くて50台駐車出来て、5台分が来客が来た時や引っ越し、荷物が来た時に駐車出来る様になっていました。

 

この頃は日葬祭典も先行投資、設備投資で給料も安く、他の社員は1DKのマンションの頭金もそろえられる状況では無かったので、社員が不思議がっていた事を覚えています。世の中には不思議事があるものだと思う事と、経理は「お金」にきれいで、心から信頼できて、ある程度やらせたら、別の社員にやらすなり、人を増やすべきだと思いました。