「日葬祭典 回想録」は「葬儀の話」「ヤクザの話」「神輿愛好会 櫻睦の話」「雑談」の4本柱で書き込みをしています。

 

杉並区立「松ノ木中学校」の前の店舗付き住宅を借りて「日葬祭典株式会社」の本社にしていたのですが、住吉会の葬儀をやる様になって資金的に余裕が出来たので、京王井の頭線「久我山」駅から三鷹方面方面に向かって「〒久我山郵便局」の前を通り過ぎて5~6軒先の人見街道沿いに小さな4階建てのビルを購入して「日葬祭典株式会社」の本社を移転しました。「暴対法」が強化されるまで30年近く住吉会本部の指定葬儀社でした。

 

当社の社員の祖母が金八先生というテレビドラマの校長先生役や、渡る世間は鬼ばかりというテレビドラマのラーメン屋のお母さん役をやっていた女優さんで、ご主人が監督さんでご主人が亡くなった時に葬儀のお手伝いをしました。

 

芸能界の葬儀は慣れていないと面倒な事が多い事は、映画スターの石原裕次郎さんの葬儀を施工した葬儀社の社長が、葬儀組合の会合の時に経験談を書いたものを渡してくれていたので、大体の事は分かっていました。

 

今回の芸能人の葬儀式場は、式場の中に着席する参列者の人数が150名が着席出来る一般の葬儀式場を借りました。丁度「住吉会」で行なう大規模な葬儀で使用する大田区にある臨海斎場を2式場ぶち抜きで使う時と同じ大きさの葬儀式場にしました。

 

私にとりましてはヤクザ団体の住吉会葬、関東二十日会葬を四ツ木式場、代々幡式場、臨海斎場で常にやっていたので、葬儀式場に対しては何の不安はありませんでした。

 

おかげで葬儀に参列する人の人数は何の心配もしていなかったのですが、「社葬」でも「住吉会」の大規模の葬儀でも、葬儀式場に参列者の人が着席して、住職が式場内に入って来る時が一番式場内が張りつめた瞬間なのです。

 

そして住職が席に着席してお経が始まる迄は式場内は本当に静かで殆どの参列者の人は身動きをしません。お経が始まると参列者の人の中には緊張感が消えて体を動かす人も出てきますし、張りつめていた空気も無くなります。

 

「住吉会」のヤクザの大規模の葬儀の場合は、お通夜が始まりますと最初に祭壇の前に、施主、喪主、葬儀委員長が起立して挨拶をするのです。

 

その為に司会者台は式場入口に置きますが、今回は祭壇の横に置いて司会者が進行をする様にしました。私はヤクザの葬儀の時と同じ様に一番後ろに立って全体を見ていました。

 

その時に芸能人の葬儀も、ヤクザの人達の葬儀も、葬儀に参列している人達は全員喪服なのですが、違うのはヤクザの大規模な葬儀の場合は、女性は亡くなった親分の奥さんだけなのです。

 

それにに対して、芸能人の葬儀の場合は女性の参列者の人が席に着席しているという事が違うだけなのに、余りにも式場内の雰囲気が全然違うのに驚きました。

 

芸能人の場合は式場内の雰囲気が華やかなのに、ヤクザの人達の場合は式場内の雰囲気が殺気だっているのです。やはり芸能界というのは華やかな世界で、ヤクザの世界はいつでも命をかけて生きているから、殺気だっているんだなと感じました。

 

私も学生時代 ボクシングをやっていましたし、私の通っていたジムは小さなジムだったので、練習生や選手も少なくコーチも2人しかいなかったのでスパーリングパートナーの相手を私は良くやっていました。

 

殆どの私のスパーリング相手がプロになったばかりの4回戦ボーイ、6回戦ボーイの選手で、試合が決まると今度戦う相手と同じスタイルの真似をしてスパーリングをするので、他の練習生とは大分違っていました。

 

ただどの選手も強くなりたいので相手を倒すことしか考えていないので、殺気みたいなものを感じていました。

 

とにかく、相手を倒すか殺すしか考えないでスパーリングをやっているのですから、私にとっては非常に怖かったのを思いだします。

 

同じ様に葬儀式場に喪服を着て黙って着席していても、芸能人とヤクザの人達の雰囲気が違っていると感じました。やはり、芸能界は華やかな世界で、ヤクザの世界はいつでも命をかけている世界だと感じました。