32歳で巨大卵巣癌と宣告され、自ら医師でありながら心身共に擦り減る生き方をしてきたことを反省した私。
これからの人生をしあわせあつめの旅とし、それを人と分かち合うために綴ります。
世界の生き物達を訪ね、いのちと幸せについて学び直しています。


病院で注射などの痛い処置をすると気を失ってしまう患者さんが、時々います。

気を失うまではいかないけれど、なんだか急に冷や汗が出て、気分が悪くなった経験がある人もいると思います。

私も処置中に患者さんが倒れてしまった経験が、何度かあります。

医学用語では迷走神経反射、と言って医師や看護師なら誰でも知っているような、ありふれた事です。

迷走神経反射が起こると、心拍数が減って血圧が下がります。

実はこれが、太古の昔、私達が野生で生きていた頃の名残りかもしれないらしいのです。




最近私が学んでいる新しい考え方があります。

それは、人間の病気や行動の本質を、動物から学び解き明かすというもの。

人間も、動物の一種。
太古の昔は、現在の野生動物達と同じように生きていました。

進化の過程で、すっかりそんな事は忘れているけれど、ちゃんと遺伝子は覚えている。

それを、動物から解き明かし、私達の行動の理解、ひいては病気の新しい治療法にも繋げよう、という考え方です。

アメリカのある心臓の先生が提唱しています。


その内容に、とても驚き、そんなに根本的なことに、なぜ今まで気づかなかったのだろう⁉︎
医学部でも教えるべきでは?とさえ思ってしまいました。



話を戻します。

注射で失神するのは野生で生きていた頃の名残り、とはどういうことか。

人が失神するのは注射の他に、死体を見たとか家族が飛行機事故に巻き込まれたとか、強いストレスを感じた時です。

失神すると、まるで死んだかのように、動かなくなってしまいます。

自然界の生き物も、死んだフリをしているように動かなくなることがあります。

コスタリカで見つけたトカゲも、私を見るや動かなくなってしまいました↓  口半開きのまま…



野生動物にとって、捕食者との遭遇は強いストレスになります(トカゲにとっては私も捕食者同然です)

動かなくなることで、気配を消して捕食者をやり過ごすことができます。


私達は太古の昔、海に住んでいました。

水中では、動くこと、心臓の鼓動でさえ、振動で捕食者に存在を知らせてしまいます。

だから、捕食者の接近という強いストレスを感じると、死んだように動かなくなり、心拍数を減らして、なるべく気配を消したのです。

まさに、失神した人と同じ反応。

迷走神経反射が起きた人は動かなくなり、心拍数が減少します。



良い大人が注射で失神したと言うと、馬鹿にされてしまいがちですが(医療者は馬鹿にしたりはしません)…

それはずっと昔の祖先から引き継いだ、生き残るための大切な本能だったと知れば、だいぶ見方が変わると思います。


失神の他にも、とても興味深いことがいくつかあるので、またシェアできれば、と思います。


参考図書:

人間と動物の病気を一緒にみる

バーバラ・N・ホロウィッツ、キャスリン・バウアーズ