前項で触れました知能や運動に関わる脳の働きが8歳頃から12歳に掛けてほゞ完成
すると言うことに思いを馳せると、私たちはあらためて子育て期に接する我が子との関
りがその後の彼等の人生をも左右しかねないことに気付かされますが、その端緒となる
のが食を通じての我が子との関りではないでしょうか。
誕生から幼年期更に少年期へ向かうこの時期は、考えて見れば食を通じて子どもの性
格形成すら影響を与えかねないと言っても過言ではないでしょう。授乳期から離乳期へ
向かい、そして歯の形成と共に味を感知する味蕾(みらい)が発達し始めることで子ども
の好き嫌いが表面化して行きます。
著者自身カウンセラーとして時に寄せられる二、三歳前後のいわゆる「いやいや期」
に入ったお子さんの対応へ、困惑したママからの相談では「嫌がって食べてくれない」
と言われることが少なくありませんが、味蕾の働きについてちょっとお話することで
「いやいや期」へ向かう姿勢が多少なりとも和らいでもらえれば幸いと思っています。
我が子の「いやいや期」はある意味で人の成長段階にあって決して避けて通れない
時期であり、その時期に如何に接するかママそしてパパの子育て期最初のハードルと
言えるかも知れません。
幼少期の味に対する敏感さは大人より遥かに鋭く、その表現は表情に訴えて感情的
であり身体で表現します。それに対してどうかすると保護者の視点と言うより大人目
線で我が子を見てしまいがちですが、先ずは我が子のその様子を正面から受け容れる
ことが先決です。
その上でどうやったら口にしてくれるのか、その為に甘味、辛み、塩味、酸味など
どんな味にすれば、またどの程度の柔らかさであればいいのか、口にするもののその
色合いはと言ったように様々な視点から弛まず試みる姿勢こそが子どもの「いやいや
期」脱出への近道なるのではないでしょうか。その点でこの子育て期に日々我が子と
向かい合うママ・パパの心疲れはそれ相当に伴うところではありますが…。
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