今回のテーマでは「心の彩りを映す『ストローク』の働き」と掲げましたが、その
ストロークこそが私たち自身の他者へ向けて発するストロークに様々な彩りを映し出
していることに気付かされます。それは時に喜びや達成感、そしてある時は悲しみや
苦しみの吐露に向かう時も少なくありません。
また自ら発したそのストロークの功罪は時として自身に返ってくることもあるでし
ょう。子育て期にあって、願わくばそのことの重みを知る切っ掛けを得て欲しいもの
と著者自身は嘗ての子育て期を顧みつつ思うところです。
敢えてこのように言い切るには訳があります。私たちは小・中・高時代の学齢期に
おいて意外にも人と人の関りにおける人の心の働きについて全くと言って良いほど学
ぶ機会を得ないまま、学齢期を終えてしまうからです。
… 🍉
学齢期に人の心の働きについて全くと言って良いほど学ぶ機会を得なかったとこの
ように言ってしまいますと、或いは当ブログをお訪ねの方の中には小・中・高等学校
で道徳や倫理について学んでいるのではと思われる方もいらっしゃるでしょう。
<注-1>
しかしそれは「心の働き」について科学的見地から捉えた学びではありません。欧
米で実証的・系統的かつ科学的考察、知見から築かれた「心理学」の分野に属する私
たち人間の良くも悪くも心の働きを系統立てて学ぶ機会は遅まきながら我が国では大
学進学の初年度、教養課程で初めて得られます。
しかし、「心の働き」を学ぶ機会は誰にも少なからずあります。その最も身近な機
会は子育て期にあるのではないかと著者自身は思いますが、その時期に自身が職務の
関係から偶々出会った当ブログのバックボーンとなっているエリック・バーン博士の
唱導した交流分析理論でした。
交流分析理論は心理学の数ある分野の一つですが、分かり易く人の心の働きを説い
ているところから初めてでも馴染みやすいと著者は思っています。その交流分析理論
から端的に心の働きを知るその取っ掛かりが、冒頭で掲げたストロークで他者との心
のやり取りそのこと自体が心の彩り映し出すと著者は見ています。
「彩り」と言う言葉は色の種類、濃淡に留まらず形、置かれた状況をも背景として
います。道徳や倫理が墨と言う用具に限られている故に墨の濃淡で表される水墨画と
すれば、「心の働き」を学ぶことは豊かな色絵の具を用いた色彩の濃淡で表す水彩画
や時にこってり盛り上げた塗り込みもを良しとする油絵による彩りに似た学び取りか
もしれないとお絵描き好きの著者は密かに思うのですが、皆さんはどの様に受け止め
ていらっしゃるでしょうか。
★ ※-1:平成30年5月15:日 中央教育審議会 初等中等教育分科会 資料1-2
より引用
「道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき
(中学校までの道徳的諸価値の理解を基に)人間としての在り方生き方を考え、
主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるため
の基盤となる道徳性を養うことを目標とする。」