「日本文化の形成」 宮本常一 講談社学術文庫版

 

前にレビューした「塩の道」の宮本常一の遺稿。

残念ながら「塩の道」ほどの、小生の好みの内容ではない。

解説によれば、ちくま文庫版3分冊の下巻のみを学術文庫版にしているようであり、小生の好みの内容は上中巻のように思える。

 

内容的には、より学術的になっており、文献調査の比率も高くなっている(その辺が好みと離れる) 

 

縄文文化を担った人々(末裔がアイヌ?)、そこに大陸から朝鮮半島を経て入ってきた倭人

さらに南方から琉球諸島経由で入ってきた高床式住居を作る人々が弥生文化を作っていく。

朝鮮半島、任那には倭人が住みその人々が渡来して大和朝廷を作った。同じ民族だから交流が盛んだった。

 

畑作には朝鮮から入ってきた「秦」人が関係しており、ハタの音が同じであることもそれゆえではないか。さらに機織りも秦人が伝えたのでは。一部の地域では、焼畑をハタと呼び、定畑をシラバタケと呼ぶ。(畠!)

 

東日本では明治になるまでは、身分が上位の人以外はほとんど土間住まいで床がある家は少なかった。しかし海洋民が土着した家では、船の中は床住まいだから、床があった。

 

籾は収穫直後は発芽しない。休眠を終えると発芽する。だから生命力は失われた米に魂をよみがえらせるために高床式倉庫に貯蔵した。神殿もほぼ高床。

 

などなどの作者の主張が展開されている。

民俗学が考古学・歴史学などとつながっていて、農耕作・漁業・家の建築など様々な知見が使用されて論が展開されていくのは、読んでいて気持ちい。

 

★★★★

 

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