2019年9月初版の 平成の文学とはなんだったのか 
ずっと気になっていたがやっと購入。

全10回に分けて行われた重盛氏・助川氏の対談集。当然ながらこの2氏の主観が中心になっているが、平成の文学が豊かだったことはわかる。
 
また、バブル時代(1990年が平成2年の)の影響の残りの個人の成功・壁を打ち破るということから、1995年_(平成7年)の阪神淡路大震災・サリン事件を経て、2011年(平成23年)の東日本大震災を経験し、横につながることを重視すること、本書では「共同幻想」(吉本隆明から)と呼ばれているところに移っていくという話は、他書でもよく書かれてるところである。その文脈で村上春樹が語られるところも、「リトル・ピープルの時代」で書かれたいたことに符合する。
 
その理論を敷衍して、「恋愛から同志愛へ」ということも語られていて、綿矢りさも語られているが、そのポイントが「背中を蹴る」ということだけで語られているのがやや不満。彼女の書くことが「恋愛」とは違うことだというのはわかるが。
 
「コンビニ人間」のやや低い評価も、現実社会はもっと進んでいる、という論理で語られることではないと思う。小説が現実社会より遅れているからと言って評価が低ければ、小説は常にエキセントリックでなければいけないことになる。
 
巻頭に対談二人の平成十選が挙げられており、不勉強で読んだことも名前も存じ上げない方も選ばれていた。当然、対談の中でも取り上げれており、お気に入りにたくさん追加して 積読候補が増えてしまった。
 
余談だが、鎌倉市笛田にある「はるかぜ書房」と言い出版社に興味がある。
 
★★★半

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このブログ内の「テーマ:本」のリストは以下から

作者名順 リスト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー