その一週間後。
 対話型AIロボットの試用期間中にお気づきになったこと、要望、改善点等について、ユーザー・レポートを書いてくださいという依頼文書が自宅に送られてきた。電話で土井さんから「今度は謝金をお支払います」と言われたが、僕はあえて銀行振込依頼書を書かなかった。

 これを書くと、ロバートへのラブレターのようなものになりそうな感じがしたが、初期ユーザーとして試用後の感想レポートをまじめに書いた。

・仕様変更やリニューアルがあると、それに慣れるまでは少々イライラする。何が変わったのか変更点を箇条書きに記してほしい。
・胸部にあるディスプレイの字はもっと大きい文字のほうが見やすい。
・画像表示の仕方にもう一工夫あってもよいかと思う。画面上のデータをもっと見やすいようにしてほしい。その場合の過剰なカラフルさは要らない。あと、データ画面の切り替えが早すぎるケースがある。数値データよりもなるべくそのグラフ化を望む。
・外見のデザインを自分でつくりたいと思った。ロボットゆえにどうしても素っ気ない感じがある。季節を感じるデザインをつくる、または選ぶことができるよう提案したい。
・本体について、必ずしもヒト型や男女型でなくても、例えばドラえもん版もあってもよい。キャラクターの設定はむずかしいし、ユーザーが気に入るものがよいので、なじみのある、好みの特定タイプのものでもよいのではないか。数あるなかでもドラえもんやピカチュー・タイプなら世界でも通用すると思われる。ただし、地域宣伝用ゆるキャラはいかがなものかと思う(好みはさまざまあると思うが)。
・音量調節を状況に応じて自動でしてくれるのは便利でよいが、音楽はできればもっとクリアなサウンドで聞きたい。
・毎朝起床直後に自動で、好みのBGMを静かに流してくれてよい。ユーザーが聞きたくないときは停止あるいは曲を変えてくれるように言うから大丈夫。
・自動翻訳などで使われる英語の発音はアメリカ英語でよい。(できればそのときだけ女性の声で)
・何のためだかわからない夜間の頭部の小ランプ点滅は気になっていけない。
・火災・盗難防止用の異常感知センサーによる警報装置があるのはよい。部屋にいないときにも安心できる。
・ユーザーが常時居る部屋の場合、可動型ロボットを望まない人が多いのではないか。一般に部屋が狭いし、物が多くあることが多いので。相手との距離感が人それぞれちがっているのでむずかしい。(そういう意味でロバート型は残してほしい)
・退屈なときなどに見るアプリを選択する自由度がもっとあってもいい(一般に普及すればアプリも増えると思うが)。
・事あるごとに表示される親切がましい各種ランキングなどの余計なサービスは、個人的には煩わしく不要に思えた。(情報提供会社からの無料配信サービスなら仕方がないが)
・ドラえもん貯金箱みたいなものが本体に併設されていたら、小銭を整理できるし、日々加算されてゆくのがわかってうれしいと思う。
・会話中の意図的な間(ま)はよくないと思う。会話においては人のもつ微妙な間(相手にこれを言っていいのか考える、言いよどむ、考えをまとめている、ことばを選んでいる、相手の様子を見ているときなどの間)とロボットの間(あらかじめ意図的に設定された間)のちがいがあるように思う。あえて間を設定したとして、その間の意味するところがわからない。意図的なものだとするとへんに勘ぐって不愉快になるときさえある。どうもしっくりこない感じがして、多少のわだかまりが残るように思う(これは僕だけかも知れない)。
・ユーザーが部屋で着替えているときの映像はどうなっているのか。そういうときは男でもどう映っているか気になるので。リモコン・スイッチがあるとカメラ・アイを一時停止できるのですが。
・愛着をもって何か世話をしたい気持ちになるときがある。本体の表面を適宜軽く拭くのは当たり前として、本体のカバーや服を着せると季節感が出てよいし、始終対面していて飽きないと思う。そういう既製の衣装を用意して適宜提供するのもおもしろいアイデア。
・何をしてあげても、ロボットであろうとも「ありがとう」ということばを聞きたい。まあ、気持ちをこめて言うのはむずかしいだろうけど。
・へんなわがままを言うようだが、男同士だから、たまには軽くたたかせてくれ。打たれ役、たたかれ役にもなってくれてもいいではないか。度が過ぎている場合はユーザーに対して「やめてください」と言えばよい。もっとひどい場合にはアラームが鳴るとか。
・据え置き型ながら、ユーザーに正対するように頭部がくるっと動く仕掛けはおもしろい。じっと正視されても人ではないから気にならない。むしろ注目されている感じがしてわるい気はしない。
・癒し系ならば、いわゆるスキがあるようなロボットがあってもいい。R2-D2みたいな優秀だけど、どこかとぼけたところのあるドロイドがよい。でも、あのピーポーとかいうわざとらしい雑音は部屋の中では聞きたくない。
・定期メインテナンスのおかげか、期間中故障やトラブルがなかったのは幸いで、スタッフに感謝します。


追記:こんな自分につきあってくれたロバートに感謝したいが、どうしたらいいのかわからない、どうしたら喜んでくれるのかわからなかった。できることなら頭を撫でてあげたいんだが(そんなことは意味がないのは承知の上で)。
 以上、思いつくまま順不同で書いてきたが、最後に言いたい。
 おつかれさま、ロバート、一生忘れない、貴重な体験をありがとう。(感涙)