我には一服の清涼剤のように思われる詩である。 

 

     「恋の水神社」


   昔、お姫様が恋しい人のために
 その病に効くという霊水を求めて
 愛するひとを助けたい一心で
 京の都から遠路はるばる
 尾張の知多までやってきて、息絶えた


  いつも水不足に泣いてきた知多地方で
  ひやりとしたおいしい湧き水は
  それだけでここを神社にした


  境内にさまざまな湯飲み茶碗が置いてある
  使い捨ての紙コップも多い
  あじけない世相になったものだ
  姫の思いつめた一途な恋心を
 真にわかる人なら
  紙コップ奉納はないだろう
 

  道の奥の、こじんまりとした神社
  この小ささが高貴な乙女の
 純すいな恋心をあらわしている