今日を、無事に終えられたことに、感謝。
今日は、散歩から帰ってきてから母に電話をして、
日本シリーズを観ているか聞きました。
やっぱりジャイアンツを応援しているらしく、
親の影響でファンになったんだと実感。
そして母も途中で番組を変えてみたり、消したりしてイライラしてしまうし、悲しくなってくるよ〜!とこぼしていました。
そんな風に、電話だけでも話せるようになったのは、自分にとっては大きな進歩。
今夜は、久しぶりに母のことを振り返りたいと思います。
仕事を辞める決心をした自分はどうなるのか?
ご興味のある方は、読んでみてください。
続きです。
(続き)
仕事を辞める決心をし、ついに動き出した自分。
後任者も決まり、引き継ぎの準備をはじめました。
事務仕事だけではなく、お客さんそれぞれの特徴や接し方も伝えなくてはならない。
それは、経験を重ねて少しずつ…。
後任に来た人は、自分より少し歳上で。
『私、営業事務とかまったく経験がないんです。残業もしたことないし…』
のっけからそんな事を言われ、不安でいっぱいになりましたが…。
責任。
それだけは、果たさなくては…そんな思いでした。
引き継ぎがはじまり、残業は更に増え、疲労はつのるばかりでした。
こころの奥底にある自己犠牲感が…時々ふっと顔を出してしまいそうで…泣きたくなりました。
週末は実家に…それはもはや習慣化していました。
妹のことがあって以来、両親は妹への不信感を露にし、その分自分に頼るようになっていました。
今までとそれは変わらないけれど…それは、とても息苦しく感じることで…。
仕事を辞める選択をした自分を、特に父は喜び…
『おまえならまた何処でも働き口はあるから』
軽く、言う。
女はそんなに残業するものではない。
でも、助けられないのだから自分で何とかしろ。
介護や色々手伝ってほしい。
この、理不尽で身勝手な言い分に。
とても親とは思えない器の小ささに…。
父は、頑張っている。
変わってきた。
それをわかっていても、なお……
行き場のない自分のこの思いは、どうすればいいのだろう…。
親に対して、まだ覚悟ができていない。
何もかも背負うなんて…
これ以上の犠牲になることも…
自分は、決して望んではいないのに。
それでなくても、自分のことを、時間を、お金を……これまでも沢山犠牲にしてきた……。
自分は、なんのために、誰のために生まれてきたんだろう?
子供の時から何度となくよぎる思いが、頻繁にでてくるようになっていました。
……疲れている。もっと、楽になりたい。
しかし、それは言ってはならない。
父も母も頑張っている。
『おまえの、その病気は…今のところ大丈夫なんだろ?』
ふいに父がつぶきました。
どっちの病気のことを聞いているのか…。
このタイミングで向き合わなくてはならない自分。
そう、決して自分だって、健康ではない。
『でも母さんのほうが大変だし。
知らなかったんだから仕方ない。』
今になって、何故それを言うのか…。
詫びてるつもりなのか?
自らをかばっているのか?
そんな言葉は、2度と聞きたくなかった。
その瞬間。
自分の中に必死に抑え込んでいた、色々な感情が……
もはやとめられない勢いで溢れ出してくるのを…
コントロール不能になった自分が、そこにはいました。
(55)
一気に溢れだした色々な感情が、どうにも収拾がつかなくなってしまい……
おそらく、理性も、思考回路もぶっ飛んでしまった…。
『今更何を言ってもどうにもならないことはわかってる。
でもね、こっちは生まれてから自分はここで暮らすのが嫌で嫌で…。
いつも親に監視されてる。
着替えさえ、トイレだって気を抜けることはできない…こんな狭くて暗くて自由のないこの場所が…死ぬほど嫌いだった。
父ちゃんからはタオルを口に入れられたり、何度も殴られたり怒鳴られたり、母ちゃんにも散々暴力を振って威張って。
母ちゃんは自分にいい子に、頭のいい子にっていつもプレッシャーをかけてくる。
ただ威張ってるだけの親なのに、親は何をしてもいいってのがほんとに耐えられなかった。
常識のかけらもない。まともに働かない。
毎日浴びるようにお酒を飲んで、好きなテレビを観て。
スナックにも飲み屋にもしょっちゅう。
そんなくだらないことばかりにお金を散財して貯金もない。
家に帰ったら、洗濯物を畳んで、夜遊びに行ってるから、自分は保育園の時から鍵っ子で……いつもいつもこわい思いをして。
夕飯は、ごはんにふりかけだけ。
親はいいもん食べてるのに…時には栄養失調になったり、妹は友達の家でご馳走になるのが習慣化して太るし…
テレビだってろくに見せてもらえない。
歌番組もドラマも…観たくもない演歌や刑事ドラマを無理矢理付き合わせて…
子供のみるものなんてくだらない、教育上問題があるって…
で、子供に教育してきたのは、お酌の仕方と歌と酒とタバコ?それだけだよね?
勉強や一般教養なんて、なにひとつ教えてもらえなかった。
知らないことが多すぎて、しょっちゅう恥ずかしい思いをしてきた…それは今にも響いて…自分は、それを自力で勉強しなくてはならないことが、今でもたくさんある。
真夏にパチンコ屋にいりびたって、自分と妹は暑い車内に何時間も閉じ込められて…水分もとれない、外にも出られない。死ぬかと思った。
大工のくせに家の一軒も建てないで、こんな狭くてぼろい借家に家族を閉じ込めて威張って!!
お兄さん二人は立派な家を建てたのに。
母ちゃんもうちらもずっといつかは…そう思っていたのに、唯一の希望だったのに。
遊ばなきゃ、真面目に暮らしていればこんなに貧乏にならないで居られたはずなのに。
高校生の自分からも生活費をぶんどって、それも借金や遊びに使って!
子供は親の所有物かよ?犠牲になるしかないのかよ?
親の言うことを聞いて、塾にも親にも一切勉強は教えてもらえないのに成績良くしろ、早く働け出てけ、お前らには迷惑かけないから好きにさせろ?
よく言うよ!こんな状態になって泣きついてきて。
お金も生活も奪って何が迷惑をかけない?
言った言葉にすら責任持てないで、恥ずかしくないの?
あんたら、子供に親のつけを全部背負わせてるんだよ!!
子供は生むな?
冗談じゃないよ!
それでも諦めたのは…こんな親から育った自分には、とても子供をもつ資格がないと思ったからだよ!
だけどね…それこそ死ぬほどの選択をしたんだよ…これで一生、自分には子供を持てない……
こんなバカな親のために、また大きな犠牲になるしかないって……
そのうえ、今度は病気も…生まれた時から自分は病気もちだよ。
それを知らない?そんな無責任に言われる子供の気持ちがわかる?
人に白い目で見られるような、気を付けなきゃ人に移るような病気だよ……
わかる?
生まれて、居るだけで人に迷惑をかけてるって、自分を責めなくては生きていけないんだよ!!
もう、知らないうちに誰かに移してしまったかも知れない…そう考えるだけで、なんで自分は生まれてきてしまったのか、誰にも迷惑をかけたくなんてないのに……どうして、親の身勝手な軽はずみな行動で…ふざけるなよ!!
それに、これだってストレスや疲れは悪化に繋がるおそれがあるって言われているのに。なに今のこの状態?
ストレスだらけでどうしようもないこの状態に追い込んだのは誰?
何十年も、親って理由で身勝手に先のことなんて考えずに生きてきたことのつけがいまになってきてるんだよ!!
少なくても、二人は自分という人間を、ただ支配してきただけ…
自分は、こんな鳥かごから早く出て自由になることだけを夢見て生きてきた…。
だけど…いつも人の顔色ばかりみて生きてきたから、二人の鬼のような存在が怖くて怖くてきたから……自由になる術を知らずに来てしまった…
支配の下でしか生きられない、そんな自分になってしまった…
いったい、自分は二人のなんなの?
これ以上何を奪うの?
生きる死ぬって病気じゃないとしても…それを親が否定したら、無責任に放り出されたら…子供はどうすればいいの?
こんな親でも、親っていう子供を守るってことはできないわけ?
どこまで言っても、ただ威張ってるだけのどうしようもない親でいるわけ?
今までの人生、返してよ‼
返してよ……』
傷つけばいい。
今までの……ずっと受けてきた傷は、こんなものではない……
反省なんて、この親がするわけない。
自分はまた、殴られて、怒鳴られて、
突き飛ばされて…
それで終わるんだ…
このままボコボコにされたなら。
訴えてやる。
そうやって、縁を切ってしまって。
そう。
それでやっと自由になれるんだ。
幼い頃から、この親との縁を切ってほしい。
誰か他の、もっとやさしい人の元へ…。
ずっと描いてきた、絶対叶わない夢…。
現実になんてあるわけないのに…。
それは、生まれてはじめて口にした思い。
そうさせたのは……。
紛れもなく、今目の前にいる…
もう、涙で両親の顔も、輪郭も……
震えていることも。
自分には、なにも、見えない……。
(56)
……とうとう、言ってしまった…
爆発してしまった……
怖い…身体を堅くして身構えて。
やっとの思いで顔をあげると。
両親は……揃って下を向きながら…
ほんの少し…震えているように見えました。
泣いているのか?怒っているのか?
しばらく、誰も何も言えないまま……
沈黙に耐えきれなくなったかのように、
父が立ち上がり。
『これ…』
それだけ言ってテーブルの上になにかを差し出しました。
『お前に立て替えてもらっていた、弁護士さんへの依頼金…』
………。そんなこと、すっかり忘れていた。
着手金の63,000円。
親にはそれさえも払えるお金がなく、自分が立て替えていたものでした。
『…いいの?』
いつもは返ってくることなんてない。
『…せめてこれだけは、と母さんと話して下ろしておいた。すまん。』
『…そう、わかった。受けとる。』
『おまえの気持ちは、前からわかっていた…もっと早く話を聞くべきだったって反省してるよ…
母さんがこんな風になってしまったのも、俺が悪い…もう、詫びても取り返しのつかないことをしてきちまった…』
『お父さん…子供のこと…そんなこと言ったの?あたしの為に?』
母が全く違う方向から、父に訊ねました。
聞かされていなかったのか…
それは言えないだろう…
『直接、はっきり言ったわけではないけれど…だってこの状況で…それに、もうこいつは子供のことはとっくに諦めてると思ったから…』
『そういう問題じゃないでしょ?
言っていいことと悪いことがあるでしょう?
女の子が、それも親にそんなこと言われたら……』
母は、泣き崩れました。
もう、遅いよ……。
それに、母ちゃんのせいではない…。
言葉に出したいけれど、自分もまた……。
『お前には…昔からお金や保険の事で言われてきたのに…俺は…バカで無学だから、ただ金がかかるのが嫌で…』
そんなのは、ただの言い訳だ。
『…ほんとに、バカだよ…。
そのせいで、自分がどのくらい迷惑を被ってきたかわかる?
親の前に、人として恥ずかしいんだよ!』
親にバカなんて…でも、本当にそうだから。
子供の意見としてではなく、ひとりの人間の意見として、聞いて欲しかった…ずっと。
こんな親でも、結局は子供に迷惑がかかるのがわかっていたから。
ずっとずっと、訴えてきた……
でも、1度だって真面目に取り合ってはくれなかった……。
父の兄達はしっかりした常識人なのに。
兄弟は普通なのに…。
父だけが、どうしようもない事にも、腹が立って仕方がなかった。
逆に父の兄弟の子供は、親に頼りすぎてまともなのがいないけど…。
どこの家庭もバランスが悪い。
そう意味では、問題だらけの家系なのかも知れない。
だけど…子供がこんなに被害を受けているのは、間違いなくうちだけ。
しかも、自分ひとりが……。
頼られ過ぎて、中間的な立場を当然のようにさせられてきて。
疲れた。
もう今更、聞いて欲しいなんて思わない。
勝手にやってくれ。
解放してよ…
そう言いたかった……でも、言えなかった。
母は、何とか泣くのを止めて、
『あんたも少しは気付いているかも知れないけれど、お父さんはこの数ヵ月で変わってきた…。
そりゃあたしは散々泣かされて苦労ばかりで…お父さんの借金を返すことに必死で…辛かったけど…
でも、こんな身体になって、介護をしてもらうような立場になって…。
障害年金ももらえるし、良かったと思えることもあるんだよ…
お父さんは、あたしを一生懸命面倒みてくれる。
年金で貯金をするようにもなった。
無駄使いをしないようになった。
時々、飲みには行ってるみたいだけど…
それでも、お父さんの健康も気にするようになった。
本当はあたしだってマイホームに住みたかった。それはあんたと同じで言ってたもんね?
でもね、今はここで良かったと思ってる。
手すりやベッド…二人で暮らすにはちょうどいい。
そういう、今のお父さんを認めてあげてほしいの…』
そんなの、全部見てきたから知ってる。
変わってきたことも、知ってる。
でも……それで今までの事をなしになんて出来ない。
許せ?
そんな簡単に出来る訳ない……
遅すぎるんだ、何もかも……
『許せって言うんなら、自分が払ってきたお金や生活を返してよ。
そんなこと言ったって出来ないでしょ?
本当なら、貯蓄が沢山なきゃおかしいんだよ。
十分それができたはずなのに…
本当に、どうしようもないよ!』
そう。いくら言っても足りない。
『許してくれなんて言わない…
これから、頑張ることでしか、お前には償うことが出来ない…すまん。本当に…
病気のことも、子供のことも…すまん。』
正直言って。
父がはじめてまともな会話をしている。
そう感じました。
父と言うより、大人として。
威圧と怒鳴ることでしか、父親としての存在感を示すことができなかった、あまりにもちっぽけな情けない姿…
少なくとも、いつも自分にはそう映っていた。
でも、今目の前にいるのは。
やっと、やっと……
人として成長しはじめた…
人ときちんと向き合って話をする。
それがやっとできるようになった……
それは……家族の中では驚くべき変化。
父は、確かに変わってきた…。
母はきっと……積年の恨みを抑えて、父を受け入れようとしているのだろう……
また、ひとつの試練か……
突き放せない、縁をきることも、きっと出来ない…
それがわかった瞬間にそう感じた自分。
過去は変えられない。
犯した過ちは、決して消えない。
親は間違いなく、毒親で支配親で身勝手。
そして自分は、人生を壊されたと思っている……
その事実も、変わらない。
それでも尚、前に進むには…
自分が…自分の考え方を、変えるしかないのか……
この運命を、受け入れて……
逃れることのできない、運命を。
変わるしか……
(続く)
きです。
(57)
(57)
親を、許す……??
父は、許して欲しいとは言わなかった。
それでも、子供のことを諦めてくれと言い、仕事も辞めて欲しいと言った…。
自分は、いっぺんにふたつ、少なくとも奪われた。
これだけでも簡単に許せるものではない…
両親にとっての子供の存在は、
『言うなりになるもの』…
子供にとっての両親の存在は、
『好き勝手に威張り、支配するもの』…
我が家は、ずっとそうやってきた。
母も、父の言いなりになるしかなかった。
車のハンドルを握ったことのない母に、無理矢理運転の練習をさせ、事故をおこしそうになった。
お酒の飲めない母に、無理矢理飲ませ続けて、母はいつのまにかアルコール依存症になっていた。
夕飯のおかずが足りないとテーブルをひっくり返し、母に暴力。
自分と妹は押入れに逃げて、父の機嫌がおさまるのを待つしかなかった…。
うるさいと口にタオルを入れられた。
妹が泣き止まないのがうるさいと、テレビのリモコンを頭に投げつけられ、怪我をした。
自分が小学校に上がる頃には、飲み屋に行くのが習慣になり、鍵っ子となった。
……いくらでも出てくる、辛い怖いトラウマたち……
それが今になったって消えることはない。
どうすればいいのか?
これから仕事探しも始めなくてはならない。
本当は、それだけで大変なのに……。
企業でほとんど働いたことのない両親には、理解できないだろう……
母の障害年金で、父の年金で。
それで暮らしていけるなら。
何も自分が犠牲になることはないではないか……
それでも巻き込むことが当然と思っている…
父は変わってきたとは言え、母の身体をこんな風にしてしまった……
母は働くことができなくなってしまった。
自由に歩くことも、右手右足も麻痺してうまく動かない…。
ひとりの人間を、そんな風にしてしまったのだ。
今までのことに加え、それは最大の罪… 。
とても簡単に納得できるものではない…
反論したことさえ、今までなかったのに。
でも、時間は流れる。
現実は、変わらない。
そして、過去も……。
それだけは、いくらもがいたところで、
どうにもならない……。
泣きすぎて目が腫れてしまった。
少し寝かせてもらっている間に巡る思い出たち……
これだけ苦労させられて。
迷惑を被ってきて。
現実に親は、本当にどうしようもないのに……。
許すとか、許さないとか…
そんなことを考える時間もなかった。
どのみち毎週末には自分は実家に帰ってくる。
とりあえずは、見守るしか……
やっと、穏やかになりつつある両親を、変わろうとしている姿を。
一緒に過ごす時間を重ねれば、自分の中にも変化が出てくるかもしれない……
今は…
答えを出すことは………
とてもできない……。
(続く)