私個人所有の工場の土地について譲渡担保の登記をすることを条件に、私に事業資金を貸してくれる…… | スッキリハッキリ!不動産売却

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Q.私個人所有の工場の土地について譲渡担保の登記をすることを条件に、私に事業資金を貸してくれるという知人がいます。譲渡担保の登記をすることにより、私個人の名義のその土地がこの知人の名義になるようです。譲渡の税金はかかるのかということと、借りた事業資金の返済ができなくなったらどうなるのかということを教えてください。


A.譲渡担保を原因とする所有権の移転登記をしたときには、所得税はかかりません。ただし、後に借入金を返済ができなくなったために、実質的に債権者のものとすれば、その事実が生じた際に譲渡があったものとして扱われることとなります。
そのため、現時点で譲渡の税金はかかりませんが、借りた事業資金が返済できなくなり、実質的に知人のものとしたのであれば、その事実が発生したときに土地の譲渡があったものとして取り扱われます。

1.譲渡担保とは
不動産を担保に借り入れる際には、通常は抵当権や根抵当権の設定登記をします。この抵当権の設定登記より手堅く担保したい場合は、登記上だけ土地の所有者の名義を借主から貸主に変えてしまうことができ、このことは、譲渡担保といわれています。
借主は、所有権の移転後も使用収益できますから、ご質問の例で、土地の名義が貸主なってもそれまでと同様に工場として使い続けられます。

2.譲渡担保の登記
以前は、実質は譲渡担保であったとしても、売買を原因とする登記ができました。しかしながら、改正不動産登記法によって、原則として、売買を原因とする登記はできないことになりました。

3.譲渡担保と課税
譲渡担保を原因とする所有権の移転登記を行っても、実質は担保にすぎませんから、売買はなかったものとされ、所得税はかかりません。ただし、次の要件を満たさなければなりません。
(1)契約書で次の事項が全て明白になっていること。
・担保とされている資産を、債務者がそれまでと同じく使用収益すること。
・通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払いに関する定めがあること。
(2)債務者と債権者が連署した申立書を税務署長に提出すること。
 申立書には、その譲渡が債権担保だけを目的として形式的になされたものである旨の内容を記載することが必要です。

4.譲渡担保について課税が生じる場合
後に、上記3(1)の要件のうちのいずれかを欠くことになった場合、又は借主が債務を弁済できなくなったため、その資産が実質的にも債権者のものとなった場合には、これらの事実の発生時に譲渡があったものとする取り扱いがなされます。

5.買戻条件付譲渡及び再売買の予約
担保の契約として、買戻条件付譲渡や再売買の予約等の形式のものもあります。これらに関しても、上記のような要件に該当すれば、譲渡担保に含まれるものとして、同様の取り扱いが適用されることになります。