「疾病利得(しっぺいりとく)」という言葉があります。これは病気になる事で得られる利益やメリットがあるために出てきた言葉です。


例えば会社の人間関係に悩み、抑うつ症状の見られた人が、病院を受診して診断書を書いて貰い休職した場合…。

診断書(病気)が嫌な会社に出社しなくて良いという大義名分となります。更に病気になる事で、周囲からの心配や関心が得やすくなるでしょう。


つまりこれは、元気になると、再びしんどかった社会に飛び込んでいかねばならず、周囲からの心配や関心が得にくくなる事を意味し、病気を治す事への抵抗となる場合があるのです。


病気である事で得られる利益やメリット(疾病利得)より、元気になる事で得られる利益やメリットが上回らなければ、病気を治す事への抵抗は出てきます。再びストレスを感じた社会に飛び込むのですから、それは当然の抵抗なのです。


なので疾病利得は病気を長引かせる原因。悪いものだという論調は、少々乱暴だと思っています。

病気だから休む。休養を取る。周囲から心配や関心を得て、お世話をして貰う。

それは、足を骨折した人(体の不調)が当たり前に享受できる利益やメリットを、抑うつや不安症状の見られる人(心の不調)も受けて当然だと思うからです。


「自分の心が弱いからだ」と根性論で自分にむち打ち、休養を取る事や人に頼る事が苦手な人には、病気だと診断を受ける事で、疾病利得を受け取る罪悪感が少しでも和らぐのなら、それはむしろ大歓迎❗でしょう。


しっかり疾病利得を享受出来れば、再び社会に飛び込むためのエネルギーを貯める事が出来ます。そうやって、再び自分の足で、これまで以上にしなやかさを持って、自ら社会と交わっていかれる人達を、私はこれまで、たくさん見てきました照れ


症状が長引くには、長引くだけの意味があるのです。

まずは休養をしっかり取るためにも、長引かせている場合はその意味を読み解くためにも…。

「疾病利得」

私は大事だなぁ〜と思いますハートのバルーン