前回お話した、アドラーの「課題の分離」に引き続き、今日は「目的論」についてお話したいと思います。
アドラーは、過去の経験が今の行動を決めるのではなく、「今の自分の目的に沿って、今の行動が決まる」と考えました。これが「目的論」です。
例えば親子関係において。
子どもの行動の目的は主に「注目されたい」「自分の力を誇示したい」という思いが根底にあるとアドラーは考えました。
褒められるような行動をして注目を得られるのがベストですが、親の注目が他のきょうだいに気を取られ、満足に得れない事もあるでしょう。それに常に褒められる行動ばかりでは、疲れてしまいます。
すると子どもはわざと困らせるような行動を取り、怒られることによって注目を集め、自分の力、存在感を誇示しようとし始めるのです。つまり問題行動も、目的に沿った行動の結果なのです。
この場合、叱るだけでは、子どもは叱られる事でしか存在感をアピールできなくなり、問題行動は更にエスカレートしていきます
親側も「子どもを打ち負かしたい」という目的に沿って、「きつく叱る」という反応をすると、事態は更に悪化してしまいます(これは私にも心当たりがあり、大変耳が痛い話です)。
ではどうすれば問題行動を回避出来るのか。
皆さんはもう、お気付きだと思います。
そうです。子どもの望ましい行動に注目すれば良いのです。
きょうだい喧嘩に反応して、カミナリを落とすのではなく、仲良く遊んでいる時にあえて反応をする。
子どもが望ましい行動をしてくれている時は、家の用事もはかどるので、放置してしまいがちですが、「用事がはかどるので助かる〜」と伝えるひと手間が、次の望ましい行動を引き出してくれるのです
このひと手間が出る気持ちの余裕。なかなか持てなかったりするんですけどね
それでもアドラーの「目的論」。
「課題の分離」と共に、心の片隅にとどめておいて貰えると嬉しいです
〈課題の分離に関する記事はこちら〉