時に、私たちは人と話すのが嫌になって、周囲の人との交流を断つ事があります。
今のところ、家族と一緒に暮らす私も、彼らと話すのが嫌になり、部屋で独り、過ごすことも有ります。
かつて、ご主人を亡くされた奥様の相談を聴いていると、「独りで生きてても、何の感動も無いし、嬉しいことも嬉しいと思えないし、哀しい事や、嫌なことも夫婦で、一緒に体験してたのって、本当に良かったなあと思います」と仰いました。
その方は、ご夫婦で商売をなさっていましたが、ご主人がご健在だった頃は、よく口喧嘩をしていた・・・と懐かしそうに仰いました。
ご主人の血液型とご自分の血液型の相性が良くないと、本の記事で読み、そのことをご夫婦で語りあって、「だからあなたとは相性が合わないのよ」と、ご主人に当てつけるように言ってたのに、亡くなると、本当に寂しいんです・・・と仰います。
こうした仕事をしていると、そういったお話を聴いては、自分の事を振り返るのですが、人の事は良く見えて、自分の事となると、見えなくなるというのが多くの人の習性みたいです。
こういった方々のお話をお聴きすることは仕事としての面も有りますが、一方で自分自身を振り返る事も多くあります。
この方とは10回以上に渡って、話をお聴きしました。
最初の内、そう5回くらいでしょうか、毎回のテーマは、ご主人との想い出の出来事を話され、それが、どんなに嬉しかったか、怒ってしまったか、悲しかったか、楽しかったか・・・を次から次に思い浮かぶままに話されるのでした。
そして5回か6回くらいの相談を終えて、「これからどうやって行こうかと思うので、その話もして良いでしょうか」と話題が切り替わりました。
ご商売を継続する事は、最初の相談でお聴きしていましたので、私も、やっとこの方も少しずつ前に進もうと、ご自身の考えを換えつつあると思いました。
ところで、悲しかった事を、語らずに押し黙っていると、どうなるか?という調査があります。
それによると、悲しみや喜びといった喜怒哀楽を共に語り合うだけでなく、そもそも人と長く話を交わさないと、まず思考が飽和していく 次に同じことや嫌なことを何度も繰り返し考え、何をしていても集中できなくなる、その次に、興味関心や意欲の低下が起こると言います。
うつ症状とは違い、ゲームなどができたり睡眠食事はとれるのに、他に何もする気が起きない、何にも興味がない、何も楽しく感じないとなります。
最後には、常識的な判断ができなくなるようです。
同居している年老いた父や母が目の前で倒れても、おろおろするばかりで救急車を呼ぶという判断ができないとか、家族が死んでも適切な対処がとれないなど、経験不足や刺激の不足による現実を見る力、把握する能力が低下するようです。
その他にも、他人が怖くなる、イライラしがちとなるなど、困り事が現れやすくなり、その経過もさまざまだと言います。
さて、その奥様のご主人の出身地が、私と同じだったことが、話を聞くうちに分かったので、共感し、記憶にも残っています。
お元気でいらっしゃる事を切に祈ります。