「ありがとう。感謝しています」

 そんな言葉を遺して逝った・・・と、姉である、その人がつぶやいた。

 「感謝してるなら、あんなこと、するな」・・・姉である、その人は続けた。


 精一杯だったのだと、彼女も私も思うのだけれど、その精一杯を認めるわけにはいかないのだ。認めてやりたい・・・けれど、それではあんまりなのだ。そう、あんまりなのだ。

 認めても、認めているとは言えないのだ。
 だって、それは・・・あまりじゃないか。 



 「世界で一番、あなたを愛しています」
 そんな言葉を置いて逝ったのだと、妻である人は泣いた。そんなことは知っている・・・とその人は続けた。

 愛するって・・・なんだろう。愛されるってなんだろう? もう聞けなくなったことを、ぼんやりと思った。


 おまえは
 おまえが望むように生きたらいい
 お前は生きよ、お前は生きよ

 
 ・・・なんて・・・それって・・・なんなんだ。それって・・・なんですか?
 
 

 
 秋が暮れていこうとしている日、
 人が死んだ。赤ん坊が泣いた。むろん、書ききれない数々のこと・・・。
 そう、どこかで誰かが愛をささやき、どこかで誰かが別れを告げて