「三月」(室生犀星)



  うすければ青くぎんいろに
  さくらも紅く咲くなみに
  三月こな雪ふりしきる

  雪かきよせて手にとれば
  手にとるひまに消えにけり
  なにを哀しと言ひうるものぞ
  君が朱なるてぶくろに
  雪もうすらにとけゆけり


 
 なにもかもが消える、のではあるけれど(多分)
 消す、のは「私」。私が消えるときに。

 なのかなあ。

 三月がはじまり、詩のごとく、雪の降る朝。