「飲食チェーンM&A編11」


[幹部面接その2]


別室に戻るとこの数ヶ月間の激闘が思い返され

胃がキリキリと痛んで来ました。


ここで引き継いで終わればこの痛みからは解消される。


やれることはやり切った、もういいだろうと

ダンプは楽な方へ進もうとします。


ふと亡くなった部長を思い出しました。


部長だったらどの道を選択するだろうか。


あの方は絶対に楽な方は選ばない。


手をつけた仕事はきっちり遣り切るのが信条。


ダンプはそうだよなとギュッと引き戻されます。


そして、どうせ転職先を新たに探すんだったら

日本一を目指すと言われている目の前にいる

社長の元で今一度奮起してみるのも悪くないと決意を新たにしました。


そして他の方々の面接の間にお時間をいただき

再び面接会場に入りました。


「ご検討いただきましたか?」と社長から問われ

「先程は退職の意向でありましたが、日本一を目指されると言う社長の強い意思に心が動きました。是非ご一緒させていただきたいと思います、宜しくお願いいたします。」とお答えしました。


社長をはじめ皆さんが立ち上がって拍手をしてくれ「ありがとう」と言って下さいました。


私は何故か今までの辛かった思いが一気に払拭されたようで、晴れやかな気持ちで会場を後にします。


後は流れに身を任せて誠実に一生懸命やるだけだ。


なるようにしかならん。


そう言い聞かせて帰路につきました。


数日後新横浜の本社の最終日


片付けを終えてスタッフ達と最後の晩餐を済ませた帰り道


またもサザンの「白い恋人達」が街に流れていて、私の記憶の中に深く刻まれて行くのでありました。