「大手居酒屋チェーン編」


[創業オーナーその2]


そして商品に関するこだわりは

鬼気迫るものがありました。


口癖は「お前その商品はいくつ売れるんだ」

でした。


本部の近くのお蕎麦屋さんで一人でお昼を食べようとしたときに、その方が後から入ってこられて

私の座っているテーブルの目の前に座り「村岡、お前今のメニューはどう思う?」と突然聞かれたことがありました。


その当時はSVでしたが、一対一でお話したことはなく、ものすごく緊張して背筋が凍りつくような感覚でした。


そして自分の考えをお伝えすると「そうだな、俺もそう思うよ。お前今週中にメニューの原案を作って持ってきてくれ」と食事が終わると店を出ていかれました。


ほっとしたのもつかの間で、今いただいた宿題の重さに押しつぶれそうでしたが、必死で現存するメニューの販売数やチェーン店ではなく個人店の売れ筋商品、カテゴリー、価格の分析をして自分なりのメニューの原案を作り、後日提出しました。


そのあとのSV会議で私の作った原案をお話いただいたのですが、この当時は文字メニューか写真メニューかを試していた時期でもあり

この方は基本的に文字メニューがお好きで

お客様がイメージを膨らませているものを

良い意味で裏切るような商品を提供したいと

思われていたと思います。


私がご提案したメニューは当然文字メニューしか作れないわけですから、「村岡は写真メニューより文字メニューがいいと言ってるぞ」とうまく引き合いに使われたのでした。(笑)


ただ、この宿題で初めて商品の一品一品の

考え方やカテゴリー、売れ筋、見せ筋、価格、販売予測などをしっかりと考えるようになり、その後のメニュー開発に対しての考え方が固まりました。


常に言われ続けていたのは、お客様の数(どれだけ支持されているか)、商品のオリジナル性、コア商品の販売数、接客の質(店内の雰囲気作り)をどれだけ他社と差別化できるかでした。


また、売上高100億円を超えた企業のTOPでしたが通勤は常に電車。


サラリーマンをターゲットにしている

居酒屋の経営者がサラリーマンの気持ちが

分からなくて経営が出来るかと

言っておられました。


よくお店も訪店され、相席で店内が込みあっている状態でお客様が喜ばれている顔を見るのが本当にお好きなようでした。


外部から見ていた方には残念ながら

あの凄さは理解できないと思います。


内部でご一緒したから分かるあの情熱を

僭越ながら引き継がせていただいて

飲食業の活性化の為にお伝え出来たらなぁと

心から思っております。