新幹線に乗って実家に1人で帰る。



母に会うためなのだが、正直少し気が重い。



結婚して遠く故郷を離れた頃は、実家に帰るのが嬉しくてたまらなかった。



両親も友達も故郷の景色も温かく私を迎えてくれた。



あれから父も亡くなり、母も今は施設に入っている。



母は以前の母ではなくなってしまい、コミュニケーションも難しく、かろうじて私が分かるくらいだ。



母に対して、そばにも居てあげられないし何もできないことが悔しくて情けない。



母のことが気になるのと娘としての義務感もあり、時々会いに帰っている。





列車の中で、山崎りこさんの『50代からのごきげんひとり旅』という本を読んだ。


 

50歳からのごきげんひとり旅 (よんたび文庫)

 


50代から国内や海外へのひとり旅を始めたりこさんが、その体験とともに、ひとり旅のコツやおひとり様でも大丈夫なお店や宿を紹介していて、楽しい。



読んでいるうちにワクワクしてきて、自分もひとり旅がしてみたくなった。



りこさんのひとり旅のきっかけは、年老いた長崎のお母さんの所から東京へ帰る途中に京都に立ち寄ったことだそうだ。



考えてみれば、私の今回の帰省もひとり旅なのだ。



気分をひとり旅モードにしてみる、、、照れ






新幹線から見た富士山は、少しだけ雪をかぶっていて、どんよりとした曇り空の中でどっしりとそびえ立っていた。



やっぱり日本のシンボルだと感動すると同時に、麓の家々が妙に小さくまるで模型のように見えた。



自分もちっぽけに思えてくる。



名古屋を過ぎるといつも『古戦場関ヶ原』という看板をチェックする。



ここであの関ヶ原の戦いがあったのかなどと、はるか昔に思いを馳せてみる。



東広島の辺りからは、屋根瓦が赤褐色の家がぽつりぽつりと増えてくる。



周りの緑に赤が映えて家々がとても可愛らしく見えるこの風景が好きだ。



それは、石州瓦と言われるもので、母の実家のある田舎も同じような赤い屋根瓦の家が多かった。



お盆やお正月に家族で母の里へ泊まりに行っていた子どもの頃が懐かしく思い出される。



ぼんやりとそんなことを思いながら車窓からの景色を眺めるのも幸せな時間だ。



珍しく隣の座席がずっと空いていたので、お弁当やお菓子を食べたりコーヒーを飲んだり気兼ねなくできてくつろげた。



広島駅に降りると、いつものお土産売り場を覗いてみる。



平日なのにものすごい人で、レジにはお土産を両手に抱えた人達で長蛇の列ができている。



新作のあんバター味のもみじ饅頭を買いたかったが、長時間レジに並ぶのが嫌だったので諦めてまたのお楽しみにすることにした。





私は、すっかりひとり旅を満喫したような気分になり



明るい気持ちで母に会いに行けるような気がしてきた。



そして、いつかりこさんの本にあった日本各地をひとりで旅してみたいと思った。