お盆を過ぎてもまだまだ猛暑が続きそうだ。
それでもここ数日、夕方に水やりをしていると、涼しい風が吹いてくる。
これまでのモワッとした空気ではなく、軽やかな風が心地よい。
これは以前にも感じたことのある感覚だなぁと、私の記憶がよみがえってきた。
13年前のちょうどこの頃、乳がん手術後の抗がん剤治療が始まった。
当時は、登校しぶりの息子のことが気になってしかたがなかったが
抗がん剤の副作用と脱毛への恐怖も私の中ではかなりのものだった。
抗がん剤といえば、ひどい吐き気に悩まされて苦しむというイメージがあり
事前に看護師さんから「吐き気止めの薬を飲むので大丈夫ですよ」という説明があってもなかなか信じられなかった。
第1回の抗がん剤投与の日は、たまたま夫と息子が出かける予定だったので、家に帰っても1人になる。
私は不安で、「その日だけでも入院させてほしい」と頼んだけれど、「外来での治療ですから」とあっさり断られた。
それでもなお、「1人で具合が悪くなって救急車を呼ぶくらいになったらどうするんですか?」と食い下がると
「1人暮らしで抗がん剤治療を受けている人は、たくさんいらっしゃいますよ」と看護師さんのクールな答えが返ってきた。
私は、ハッとした![]()
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世の中には、1人で癌と戦っている人が大勢いる。
家族が側にいて助けてくれる人ばかりではない。
仕事をしながら治療を続けている人もいる。
私は、家族がその日留守なだけなのに、何を甘えたことを言っているのだろう。
無性に恥ずかしくなった![]()
1人で車を運転して自宅に帰り、夕方には夫と息子も帰宅した。
夜になると、これまで経験したことのない体の違和感、身の置所がないほどの不快感が襲ってきた。
横になっても辛くて眠れない。
家族が寝静まった後、廊下に出て窓を開けてみると気持ちの良い風がスーッと入ってきた。
私はデッキチェアを出して横たわり、しばらく夜風に当たってみた。
風に優しく撫でられているようで、まるで天国にいるような気分になった。
不思議と体の気持ち悪さが薄らいでいった。
自然ってこんなに人を癒してくれるんだ、、、
自然ってなんてすごい力をもっているんだろう、、、
自然は時に残酷で驚異にもなるけれど、人は自然の一部なんだ、、、
そんなことを思った。
それからは、抗がん剤を打つたびに、副作用のキツい時は夜風に当たって過ごした。
心身ともに楽になり、リラックスしてまどろんでしまうこともあった![]()
私の経験は、理にかなっていたのかもしれない![]()
夏の風は、私にほろ苦い思い出と、癒された記憶を呼び覚ましてくれた。

