もののふラプソディー LEGEND
~神道一刀流~
 


第一章 ~幕開け~

聖也 「おはよう!」

麻依 「おはよ!さぁ、入って!」

今日は麻依の誕生日。今年の誕生日は、何やら朝から張り切って自分でケーキを焼くと言い出した。麻依の部屋のテーブルには、たくさんの料理が並べられている。とても二人では食べきれない量に驚き、唖然としてしまった。確かに麻依は料理が得意だと知っていたが、さすがにこの量は食べきれない。でも、一生懸命に朝から用意したのだから褒めてあげるべきなのかもしれない。
ちょうどお昼頃になると、最後にテーブルに置かれたのは可愛い小さめのバースデーケーキだった。ローソクを立てて灯りを消し、一気に火を吹き消した。


聖也 「おめでとう、麻依。」

麻依 「ありがとう!」

聖也 「これ、プレゼント。」

麻依 「うわー、ありがとう!何だろう!?」

包み紙を開け、箱の中から出てきたのはピアスだった。以前、雑誌に掲載されていたピアスを見て欲しがっていたのを俺は覚えていたのだ。麻依はすぐに耳に付けると、ニコッと俺に微笑んでくれた。

聖也 「来年の誕生日も一緒にお祝いしようね!」

麻依 「うん!」

お腹もいっぱいになり、食べきれなかった分は冷蔵庫に閉まっておいて、また今夜食べる事にした。そして、ソファでゆっくりくつろいでいると、棚に閉まってあったアルバムに気付いた。そう言えば、俺は麻依の子供の頃や卒アルなどを見た事がなかった。

聖也 「これ、アルバム?見てもいい?」

麻依 「いいよ!子供の時の写真だけどね!」

アルバムの表紙をめくると、小さい頃からの麻依の写真が所狭しと並べ飾られていた。赤ちゃんだった頃の写真や幼稚園の入園式の写真など、しっかりと今の麻依の面影が残っていて、俺も笑みが止まらなかった。

聖也 「この着物姿は七五三かな?」

麻依 「そうだよ。お婆ちゃんちの近くにある神社で撮ったんだ。ほら、これがお婆ちゃん。すごく私に優しくて、大好きなお婆ちゃんなの。」

聖也 「へぇ、やっぱり女の子の七五三て、着物も綺麗だし、髪もしっかり飾っているんだね。俺なんて鼻垂れ坊主が無理矢理袴を着せられた感じだもん!見るのも恥ずかしいくらいだよ。」

麻依 「私だってお転婆だったよ!お婆ちゃんが着付けしてくれたから、大人しくしてただけだよ。」

聖也 「あれ!?」

麻依 「どうしたの?」

聖也 「ねえ、この七五三の時の顔のアップ写真ってある?」

麻依 「えーとねぇ…これはどう?」

麻依の七五三の写真を見ていた時、俺はふと気になる部分を見付けてしまった。そして、麻依の顔がアップで写っている写真を見せてもらった時、俺は今見ている物が信じられず固まってしまったのである。

聖也 「こ…この簪…」

麻依 「あっこれ、う~ん何かうちの家系に代々伝わる簪みたい。お母さんも七五三や成人式の時には付けてたって言ってた。地味だから嫌だったんだけど、何て言うのかな…昔からのならわし?って感じかな。でも、すっごく大事な簪なんだって!」

聖也 「ねぇ、これ今はどこにあるの?」

麻依 「まだお婆ちゃんのとこにあるかも。急にどうしたの?」

聖也 「今から見に行かない?」

麻依 「別にいいけど…何か変だよ聖也。」

偶然、麻依のアルバムの中から見付けたのは、俺が不思議な体験をした…、そう、江戸の町へとタイムスリップした時に出会った"お菊"に渡した、あの簪にそっくりだったのだ。もし、あの簪が俺が作った簪だとしたら、なぜ、現代になり麻依の所にあるのかをどうしても知りたかった。
俺と麻依はすぐに出掛ける準備をして、お婆ちゃんの家へと出向いた。

麻依 「こんにちは~。お婆ちゃんいる~?麻依だよ~。」

お婆ちゃん 「あら!?麻依ちゃんじゃない。どうしたのいきなり?」

麻依 「あのね、私が子供の頃に七五三でここにきたでしょ。その時に付けてくれた簪ってまだある?」

お婆ちゃん 「もちろん、あるわよ。うちの家宝だもの。」

麻依 「彼がどうしても見たいんだって!」

聖也 「すみません、いきなりお邪魔して。」

お婆ちゃん 「あら!麻依ちゃんの彼氏さんかな?いいわよ、今、取ってくるから待っててね。」

お婆ちゃんは立ち上がると、部屋の奥へと消えていった。しばらくし、古い木箱を大事そうに抱えお婆ちゃんが戻ってきた。木箱の蓋には【寛永九年】と書かれていた。俺はスマホで調べてみると、寛永九年は徳川秀忠が亡くなった年と分かった。そして蓋を開けてもらい、藍色に染まった布をめくると、中から白銀に輝いた簪が出てきたのであった。俺はゆっくりと手に取り、じっくりとその簪を隅々まで眺めた。

聖也 「間違いない!これは!」

麻依 「どうしたの聖也?この簪を知ってるの?」

聖也 「お婆ちゃん、この簪はどうしたのですか?」

お婆ちゃん 「私も、私のお祖母から聞いた話しだけどね、何やらこの簪はご先祖様から代々受け継がれてきた大切な簪らしいの。時は江戸時代までさかのぼる事なんだけどね・・・」
 

つづく