容姿こそ違うが、声や喋り方からそこに現れたのは間違いなく以前に三田新之助と刃を交えたあの青龍であった。そして、聖也を守るべく、榊原の太刀を防いでくれてのだった。

聖也 「…っ、青龍なのか?」

青龍 「あぁ!久し振りだな、せいきち!そこにいるお嬢ちゃん…いや、菊姫様に感謝するんだな!菊姫様が俺を呼び寄せてくれなかったら、今頃はあの世へ行っていたぞ。」

聖也 「呼び寄せる…?」

お菊(麻衣) 「麻衣ちゃんが気を失っている間に私が入れ替わり、青龍さんの魂を呼び寄せたのよ!言ったでしょ、私にいい考えがあるって!」

まさに、お菊の妙案により聖也は命を繋ぎ止めたのだ。そして、ここから青龍による快進撃が始まるのだった。

青龍 「ここからは俺が相手だ!」

榊原 「こしゃくなっ!返り討ちにしてくれる!」

 

突然の青龍の助太刀により、聖也は命を救われた。そして榊原の矛先はすぐさま青龍へと向けられたのだ。

榊原 「二人揃って地獄へ落ちろっ!」

榊原の大太刀は、地鳴りをあげながら二人へ襲い掛かった。その勢いは先ほど放ったの地撃斬を遥かに上回る渾身の力で迫ってきたが、青龍は避ける素振りすら見せなかった。青龍は避けるどころか、自分の持っていた大太刀を地面に突き刺し、深く息を吸い込み雄叫びのような大声を上げたのだ。

青龍 「うおぉぉぉぉっ!!」

その雄叫びは空気を揺るがし、全ての物体を振動させる勢いであった。そして、榊原の放った地撃斬は二人の直前で破裂し消え去ってしまった。

榊原 「…な…に…!?」

青龍 「おめぇの力はこんなもんなのか?これでよく大太刀の使い手なんて言えたな?よく見てろよ。これが本当の大太刀ってやつよっ!」

大太刀を天高く振りかぶった青龍は、榊原を狙い振り落とした。その大太刀から生じた力は衝撃波となり、蒼き龍の如く榊原に襲い掛かった。

青龍 「せいきちっ!今だっ!翔べっ!!」

聖也 「!!」

榊原 「…こしゃくなっ!弾き返してくれるわっ!」

榊原は大太刀を盾にし身構えた。そこへ容赦なく蒼き龍が迫り榊原を飲み込んでいった。

榊原 「うおぉ、こんな技で儂が殺れると思うかっ!」

必死に耐える榊原であったが、その衝撃波は凄ましく、立っているのがやっとの事であった。だが、青龍の本当の狙いはこれではなかった。青龍の大太刀から放たれた蒼き龍の背後から現れたのは聖也であった。それはまるで、龍の背中を駆け上がり、金色に光る第二の龍が現れるようであった。ソハヤノツルギは雷(いかずち)を帯び、そして、榊原を捕らえた。

聖也 「神道一刀流 雷公一刀斬!」

『ズバーンッ!!!』

榊原 「ぬぁぁぁっ!」

聖也の斬撃は榊原に取り憑いていた黒い影を切り裂いたのだ。青龍の龍牙斬で動きを封じ、聖也の雷公一刀斬で仕留める、見事な二重技で勝利を勝ち取ったのだった。

麻衣(お菊) 「やったね!」

青龍 「見事であったぞ、せいきちっ!」

聖也 「いや、二人がいたから勝てたんだよ。俺一人じゃとても…。それより、麻衣は、麻衣の身体は大丈夫なのか?」

麻衣(お菊) 「大丈夫よ。少し怪我は負ったけど、命の心配はないわ。怪我を負った時に気を失っていただけよ。」

聖也 「そうか…」

青龍 「…ん?ちょっとまて!まだ奴の気配がするぞ。」

三人は辺りを見回し、榊原の気配を探した。姿こそ見えないが、確かに何かの気配を感じ取っていた。

榊原康政「見事、儂を討ち取ってくれた。礼を申す。儂は何者かに魂を操られていたようなのだ。御霊となった儂の所へやって来た者が儂の力を吸い取り、そして、無理矢理に魂を復活させ操りおったのだ。そして、そこに居るソハヤノツルギに斬られたお陰で、その呪縛から切り離された。ソハヤノツルギで斬られた時、まさに神君家康公の声が聞こえたのだ。"力になってくれ"と。そこの者。何故にソハヤノツルギを持っているのだ?」

聖也 「…大切な人を守るためです。」

榊原康政 「そうであったか。お主も家康公に認められたという事だな。儂もかつては徳川家のため、泰平の世のために人生を捧げ駆け抜けてきた。時代は流れ、儂の役目は終わった。そして今は、お主が泰平の世を守ってくれ。残された僅かばかりの力だが、儂もお主に賭けてみよう。受け取ってくれ。頼んだぞっ!」

どこからともなく聞こえていた声は消え去ってしまった。すると空から小さな光が舞い降り、やがて吸い込まれるように聖也の体へと入っていった。

青龍 「榊原殿はせいきちに最後の力を託したのだ。そして、俺の役目もここまで…。そろそろ元の世へ帰らなくてはならん。よいか、せいきち…。お主は一人ではない!我々仲間が居ることを忘れるでないぞ!そして、必ずや大切な人を守り抜くんだぞ!」

黒き影を斬り、榊原康政は元の姿を取り戻した。また、お菊が呼び寄せた青龍もまた、元の世へと帰っていった。だが、これで全てが終わった訳ではない。今も尚どこかで鏑木藤十郎は着々と力を蓄えているに違いないのだ。聖也は強く拳を握り、榊原と青龍の言葉を心に刻んだのだった。

聖也 「お菊殿。どうやら俺はすげぇモンを背負っちまったようだな。だが、もう後には引けない。鏑木を止めるまでは!さぁ次だ!一緒にやり遂げるぞっ!」

麻衣(お菊) 「フフッ!やっと私の知ってるせいきち殿に戻られましたね!」

そして聖也とお菊は、鏑木の後を追うべく新たな旅へと出発したのだった。


エピソード6
おわり