日曜日の午後 32 | 青いたんぽぽ

青いたんぽぽ

ぽそぽそと書いてます…
腐なので、ご注意ください(笑)

常に雑食←

 

 

 

顔の火照りを冷ましてから、部屋のドアを開けると椅子に腰かけた長野さんが心配そうにオレを見た

 

「櫻井、具合でも悪いのか?」

「いえ、大丈夫です」

 

オレは無理やりの笑顔をして、長野さんの方を見る

長野さんは、そうかと言ってオレを座るように促す

 

「失礼します」

 

オレは手前の椅子を引き座った

 

「櫻井、急で悪いな」

「いえ。それで、私に?」

「ああ。島田商事は知ってるな?」

「はい。確か、うちの取引先です。担当は、長野さんでしたよね?」

「そうだ。先日、その島田商事の専務を接待してたときにな、娘さんの話になって」

 

長野さんの話と態度でその先の話が読める

 

「そろそろいい年ごろになってきた娘さんにいい相手がいないかと聞かれてな。それで、櫻井。今、恋人はいるか?」

 

やっぱり

 

そろそろ、そういう話が来る歳にはなっている

確かに、親戚が揃うような時にそんな話になることもよくある

 

「いえ、今は」

「そうか。別にどうしても付き合うとかを考えなくてもいいんだが。うちの部署にも何人か思いつく人がいるんだけど。ほら、相葉とか」

 

思わず、その名前に反応してしまう

 

「え?声掛けたんですか?」

「いや。噂だと、相葉には好きなやつがいる。そんなこと聞いたら、声かけ辛いだろ。相葉には、その子に頑張ってもらいたいしな」

 

部下を思う上司心?ってやつかもしれないけど…

 

まさかその子っていうはオレですなんて、口が裂けても言えない

 

「櫻井にはいなそうだし、そんな噂も聞かないしな。俺が自信もって紹介出来るやつは櫻井しかいない」

 

長野さんは思いっきりの笑顔で言うけど、正直、今はそれは…

 

「とりあえず、会ってもらえればいいから。仕事とは関係ないと思ってもらっていい」

「はぁ…」

「後で日にちを連絡する」

 

 

オレは長野さんに頭を下げて、部屋を出た

そして、一番最初に目が合ったのは…

 

心配そうにこっちを見ていた相葉くんだった