キミがいて輝いた夏 2 | 青いたんぽぽ

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気になる方のみ、どーぞ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「ごめんね、涼ちゃん」
 
俺に呼び出されたキミは、優しく笑って首を振った
 
「学の大好きなおじさんだろ。オレも可愛がってもらったからな」
「ごめんね」
「謝んなって」
 
キミは謝る俺の手を握りしめて
 
「時間が無いんだろ」
「うん」
「行こう」
 
涙が溢れそうになるのをぐっと抑えて、顔を上げる
 
「笑顔で行こう」
「うん」
 
 
 
 
ドアを開けば、ベッドで上半身を起こし窓の外を見ているおじさん
その姿は、もう時間が残されてないと見た目からも分かる
涙が溢れそうになるのをぐっと奥場を噛み締めて堪え、笑顔を作った
 
「おじさん」
 
声を掛ければ、おじさんは笑顔でこっちを見た
 
「学、涼ちゃん、いらっしゃい」
「遅くなってごめんね」
「いいんだよ。俺がお願いしたんだから」
 
すまなそうに笑うおじさんの側にキミは行き、おじさんの手に自分の手を重ねた
 
「ううん。オレもおじさんに会いたかったから」
「嬉しいこと言ってくれるね。でも、そんなこと言うと学に怒られちゃうよ」
「怒んないよ」
「そうか」
 
おじさんはくすりと笑って、俺を手招きする
 
「学も一緒に」
「うん」
 
俺は涼ちゃんの隣に座る
 
「ホントにありがとうな」
「だから」
「今日は、どうしてもお前たちに一緒に居たかったんだ」
 
そう言うとまた、窓の外を見る
 
 
今日は、この町の夏祭り
おじさんは今年…いや、最後に見れる花火を俺らと見たいと言った
 
 
 
俺のおじさん、相葉雅紀はこの町の相葉医院の院長をして、俺も去年からここで医師として働いてる
おじさんは男の俺から見てもカッコよくて、優しくて
町のみんなが大好きで人気者
なのに、ずっと独身を通してる
何度もそんな話が来るのだけど
 
俺には心に決めた人がいるから
 
そう言って会うことすらしない
それが誰なのか、気になって聞いてことがあるけど
 
お前にはもったいなくて教えられないよ
 
なんていつも笑顔で交わされて
けど、毎年夏祭りの最後に上がる花火は嬉しそうで切なそうな顔で見つめてる
 
俺はきっとその花火におじさんの想いがあるんだと思っている
 
 
 
「始まったな」
 
轟音が辺りに響き、夜空に鮮やかな華が咲き始めた
 
「ちょっとだけ、俺の昔話を聞いてくれるかな?」
「うん」
 
おじさんは、その花火を見つめた

 

「俺がまだ若かった頃、すごく仲のいい人がいて。どこに行くにも何をするにも一緒。笑顔が可愛くて綺麗で、すごく大切で大事な人だった。けど、ずっと一緒には居れなかった。あの時、俺に勇気があれば、変わったのかもしれない。もっと一緒に居れたのかもしれない。今さらそんなことを思っても仕方ないんだけど…
 
あの人がこの町を出て、戻ってきた夏。それが最後の夏だった。
やっと想いが通じ合ったのに、あの人の過ごせる時間は残り僅かで。
自分の力の無さを悔やんだよ。何もしてあげることは出来なくて。ただ、側に居てあげられることしかなかった。それでも、あの人は綺麗に笑うんだ。最後を俺と過ごせたことが良かったのだと。
 
ここであの人を腕に抱き、最後に見た花火。
それがこれから、上がる」
 
おじさんは綺麗に笑うと、涼ちゃんの顔を見た。
 
「よく似ているんだ、しょーちゃんに。だから、笑ってくれないか」
「え?」
「俺によく似た学の側で笑うキミの笑顔がしょーちゃんにそっくりなんだ。その笑顔を見るたびに俺は嬉しかったんだ」
 
 
しょーちゃんといて輝いた夏を思い出せる
 
 
おじさんは、涼ちゃんの頬に手を当てて
 
「こんなことしたら、しょーちゃんに怒られるかな」
 
愛しい人を想うように笑う
 
「今だけはそう思ってもいいよ」
 
涼ちゃんはそう言うとおじさんの手に自分の手を重ねた
 
「今は、オレのこと、しょーちゃんと思っていいから」
「学、ごめんな」
 
おじさんは俺に謝ると涼ちゃんを抱きしめた
 
「ごめんね、しょーちゃん。助けてあげれなくてごめん。ずっと一緒に居れなくてごめん」
 
そう言うとおじさんは涼ちゃんを離し、窓の外で上がった最後の花火を見る
 
「今から会いに行くよ」
 
そう呟いて目を閉じた……
 
 
 
 
あの日から数日後
おじさんの遺品を2人で整理していたとき、涼ちゃんがおじさんの机の引き出しから一枚の写真を見つけた
 
「オレ……そっくりだったんだ」
 
じっと見つめる写真を俺も見て
 
「ホントだ。俺も似てる」
 
おじさんとしょーちゃんと笑顔で並んでた
 
「これも一緒にお墓にいれてあげよ」
「そうだね」
 
涼ちゃんはその写真を抱きしめる
 
「今頃、一緒にいるのかな」
「おじさんは会いに行ったんだもん」
「そうだね」
 
嬉しそうに。でも、切なそうに笑う涼ちゃんを俺は抱きしめ
 
「ねぇ、涼ちゃん」
「何?」
「俺らも一緒にいない?」
「え?」
 
「おじさんとしょーちゃんみたいに、俺も涼ちゃんと一緒にいたい。だからさ、結婚してくれないか」
 
「え?」
 
「ずっと、ここで。涼ちゃんと一緒に過ごしたいんだ。おじさんが出来なかったこと、俺と涼ちゃんでしたいと思うんだ。俺のわがままで悪いと思うんだけど、ダメかな?」
 
涼ちゃんはにっこり笑うと、俺の唇に自分の唇を重ねて
 
「オレも同じこと考えてた」
 
「ありがとう」
 
俺はぎゅっと涼ちゃんを抱きしめた
 
 
 
窓の外
おじさんとしょーちゃんが笑ってこっちを見ていた
 
 
 
 
 
 
おわり
 
 
 
 
 
 
 
 
18周年の日に書く話ではなかったね…w
 
お付き合いいただきまして、ありがとうございました!!