あの日の約束。7 | 青いたんぽぽ

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腐なので、ご注意ください(笑)

常に雑食←

 
本気のさくらいしょー。
 
世界さいきょー。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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忙しい時期も終わり、ちょっと長めの休みに入ったから、俺はばあちゃん家にいくことにした。
久しぶりだったから、ばあちゃんもじいちゃんもすごく嬉しそうにしてくれて。
こたつの上には、俺の大好物が並んでて。
 
「いっぱい食べなさいね」
 
なんて笑顔で勧めるから、俺も、ありがとうって箸をつけた。
 
あれ、俺、何しにきたんだっけ?
 
ばあちゃんが勧める唐揚げを頬張りながら。
 
「ねぇ、ばあちゃん」
「何?あっそうだったねぇ」
 
なんてポケットから小さな袋を取り出して。
 
「はい、お年玉」
「えっもういいよっ」
「そんなこと言わないで。ばあちゃんもじいちゃんも雅紀にあげるのを楽しみにしてるんだから」
 
なんて二人ともにこにこして言うから、ありがたくもらっておく。
あとで、なにかお返ししなきゃなぁって思いながら、ここに来た理由を思い出す。
 
「ありがとうね。大切に使わせてもらうから」
「うんうん」
「でね。ここに、俺の小さいころの写真、ある?」
「小さいころのかい?」
「うん。引っ越す前のがうちになくて。かあちゃんに聞いたら、こっちだって言うからさ」
「ああ。そうだったね」
 
ばあちゃんはそう言って、奥の部屋に行くと、2冊のアルバムを持ってきた。
 
「これしかないけどね」
 
かあちゃん、ただ忘れて行っただけじゃねぇか・・・
 
ばあちゃんから受け取ると、ゆっくりと開く。
若い祖父母と両親、それに赤ん坊の俺がいて。
 
「懐かしいねぇ」
 
なんて、じいちゃんもばあちゃんも目を細めてみている。
俺も懐かしいとは思いいつつ、彼を探す。
1ページ1ページめくるが、彼の影すら見えなくて。
 
「あれ?」
 
思わず声にすれば
 
「どうした?」
 
じいちゃんが不思議そうに俺を見つめる。
 
「うん」
 
誰かを探してるのか?
 
じいちゃんの言葉に驚く。
 
「え?」
「一生懸命見てるから」
「ああ。そうだね」
 
たぶん、傍から見れば、真剣にアルバムを見てれば不思議に思っても仕方ない。
 
「あのさ」
「うん?」
「俺、こっちに居た頃さ。俺と仲良かった子がいた?」
 
そう言うと、じいちゃんもばあちゃんも可笑しそうに笑う。
 
「なんだよぉ」
「いや、だって、雅紀、覚えてないのかい?」
「あれだけ、毎日一緒に遊んでたのに?」
「そんなに一緒に遊んでたの?」
「『大きくなったら、結婚するんだ!』って言っててな」
「そうそう。雅紀に預かってたものがあるんだった」
 
ばあちゃんはまた部屋に行くと、何かを探しているかしばらく来なくって。
来たと思ったら、やっぱりにこにこしてて。
 
はい、これ
 
大事そうに渡された、古びた封筒で。
そこにきったない自分の字があって。
 
けっこんゆびあ
 
って書いてあって。
むしょーに恥ずかしくなったが開けてみると、お菓子のおまけでついてくるような、赤いプラスチックの石の指輪が入っていて。
 
「俺、こんなの覚えてねぇ」
「小さかったからね、雅紀もあの子も」
「でもさ。毎日一緒に居たから覚えててもおかしくないんだけどな」
 
 そう呟くと、ばあちゃんは、あっ!っていう顔して。
 
 「そうそう、思い出した。雅紀、この指輪持ってきた時、ずぶ濡れでね。なんで濡れたのかは全然はなしてくれなくて。ここを出るちょっと前だったかしら?それで高熱だして。入院騒ぎしたんだったね」
「あの時は、本当に可哀想だったな」
「ご心配かけました」
「いえいえ。あの時、本当に高い熱出したから、後遺症が残らなければいい。なんて心配したけど、大丈夫だったから、良かったわ」
「そうなの?」
「そうよ。ここ、引っ越す前だったから、入院して退院してすぐに向こうに行ったからね。あの子ともちゃんとお別れできなかったんじゃなかったかしら。その後、すぐにあの子もお父さんの転勤で違うとこ行っちゃったからね」
「その時の熱で覚えてないのかもしれないな」
 
じいちゃんもばあちゃんも懐かしそうに言う。
 
「その子、どんな子だったの?」
 
ばあちゃんは、にっこり笑って。
 
「綺麗な子だったのよ。色が白くて、ホント、お人形さんみたいな可愛い顔しててね」
「へぇ」
「まぁーくんまぁーくんってね、可愛い顔して、あなたのこと呼んでたのよ」
「まぁーくん…」
「でね。二人ともお互いが大好きでね。結婚したいけど、どうしたらいいの?なんて聞くから、大きくなったらねって答えたら、雅紀、じゃぁ、大きくなったら結婚しようねって。可愛かったわ」
 
なんて、ばあちゃんは遠い目をしながら楽しそう話す。
 
まぁーくん。
 
そう小さいころに呼ばれてた。けど、俺、そんなに大好きだった子のことを……
 
 
…ちゃん…し……ちゃん
 
 
あれ?俺、誰かを呼んでる。
遠い記憶。
顔に白い霧がかかってて、表情は見えないのに笑顔だったことは分かる。
 
まぁーくん!
 
俺を呼んでる。
 
……ちゃん!
 
なんで、そこが思い出せない?
 
誰?
 
 
 
「しょーちゃん!」
 
 
「え?!」
 
いきなり、ばあちゃんが叫んだ。
 
「なっ?!」
 
「そうそう、あの子の名前」
「え?」
「雅紀が大好きだった子の名前よ。しょーちゃん」
 
ばあちゃんは、ものすごい笑顔で俺を見た。
 
 
 
 
 
 
つづく