怒らないでくださいね2←
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「翔君!」
智くんは、オレを見つめるなり嬉しそうにこちらに向かってきた。
「来てくれたんだね!」
智くんは、笑顔でオレを抱きしめた。
「ありがとう。どうだった?」
オレを少し離すと、もうあの作品を見たことが分かってるかのように聞いてきた。
「綺麗だったよ」
「そう、あれは翔君のために描いたんだ。意味は、小池から聞いたんだろ?」
この人は本当になんでも分かってしまうんだ。
「聞いたよ。それに、智くんの想いも伝わった」
「そうか」
智くんは、真面目な顔になり。
「外に行こうか」
そう言って、オレから離れ、歩き出した。
会場から出ると小さな公園みたいなところがあり、中にはベンチがあって、そこに2人で座った。
「やっと、こういうとこで個展が開けるようになったんだ」
智くんは静かに話出した。
「最初はさ、ホント自分の実力なんて、ちっぽけなもんだって思い知らされたよ。上には上がいるんだって。挫折するやつもたくさん見てきた。けど、俺は絶対諦めなかったんだ。翔君が俺の背中を押してくれた。寂しい想いもいっぱいさせるってわかったけど、翔君が待ってる。そう思って、頑張ったんだ。送り出してくれた翔君に合わせる顔がないと思ったから。俺は、ずっと翔君だけを想ってたよ。あの頃と気持ちは変わらない。もう、寂しい想いも苦しませることもしない。翔君に側にいる」
だから、俺と一緒にいてくれないか
何年も。何年も、その言葉を待っていた。
智くんが、オレを迎えに来てくれることを待っていた。
ずっと待っていた。
「オレ…」
どう言葉にしていいかわからない。
唇を噛み締め、俯く。
そんなオレの髪を優しく、智くんが撫でた。
「ホント、綺麗になったな」
オレは頭を振る。
「綺麗なったよ、翔君。久しぶりに会った時、びっくりしたよ。あの頃も綺麗だったけど、さらに綺麗になって」
だからさ、時間の長さを感じた
翔君、ありがとう
「え?」
智くんの雰囲気が変わり、驚いて顔をあげれば、オレの好きな笑顔で。
「来てくれてありがとう。想いを聞いてくれてありがとう。翔君には、感謝しかないな」
「智くん?」
もう、俺のことは忘れてくれ
…どうして?
「こんなにほっといていたんだからな」
翔君、あの人だろ?
「え?」
翔君の心の中にいる人は
智くんは、そう言ってオレ抱きしめると。
「幸せになれよ」
つづく