前回、気障すぎたよ、俺・・・・
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ゆっくりとコーヒーを飲みながら、読みかけだった本を開く。
久しぶりにこんな時間を過ごしてるようだ。
あの日以来、相葉さんはここには来ない。
それで良かった。
間違った選択をしないうちに、オレから離れた方がいい。
そして、オレも。
相葉さんと過ごす時間は楽しかった。
ただ、楽しい。何の偏見も持たず、下心も無く。
友達として。
もう、恋愛なんてしなくていい。
好きになることもなられることもなくていい。
そう思ってる。
静かにここで過ごすだけで、それでいいんだ。
「しょーくん、いるぅー?」
そんなオレの平穏な昼下がり。気分をぶち壊す彼、松本。
「いませーん!」
「うそつけ」
松本は、相変わらずのイケメンオーラ全開で店の奥。オレのところまでずかずかとやってくる。
「また、撮影抜け出してきたのかよ」
「だってさ、翔くんに会いたかったんだもん」
「そうか、もう会ったから帰れ」
「翔くん、つれない・・」
毎回同じ繰り返しなやり取りをする。
オレら、飽きねぇな・・・
松本はオレの前に椅子を持ってきて座る。
「いつも、綺麗だよ、翔くん」
「はいはい」
「もぉー、いい加減俺とより戻そうよー」
「ヤダよ」
「そんなこと言って。ホントは翔くんも俺のこと好きでしょ?」
「しつこい、お前。。って、そうだ」
「ん?何?」
「この前さ、松本、映画撮ったつったじゃん」
「うん」
「そのポスター見たよ」
「え!マジ!どうだった?」
「エロかった」
「でしょ!俺、あの時、翔くんを誘う感じで撮ったんだ!」
「はいはい」
「本気出したのに!」
「出てた出てた」
オレは松本との会話を楽しみながら、読んでる本を閉じる。
「で。松本は何しに来たの?」
「翔くんに会いに」
「それはさっき聞いた。で、何?」
松本が意味なくここに来ることはかなりあるのだが、今日は違う。
長年の付き合いで、こいつがそうであるかないかくらいわかる。
「松本?」
松本は一旦、オレから視線を外し、あの絵にやる。
「もう、何年?」
「ん?」
「あの日から」
真剣な顔つきの松本は、ホント、黙ってればいい男なのに。
「松本は、いい男だね」
「真剣に聞いてるんだけど?」
松本はオレのほうを見て言った。
「それ、思い出さなきゃダメ?」
「翔くんさ。もう、本気で恋愛しないの?」
「質問返し」
「俺、言ったよね、真剣だって」
分かってるけど。
「オレはもうしないよ」
したくないんだ。
「オレさ、あの人のこと忘れるってこと、止めたんだ。だってさ、どうやっても忘れることなんて出来ないだもん」
泣いても叫んでも。ほかの誰かと肌を重ねても。
いつも、あの人がオレの中から消えてくれることはない。
他の人とも付き合った。松本とも付き合った。
けれど、オレはいつもその人の向こうにあの人を見てしまう。
彼なら、こう言った。
彼なら、こうした。
彼なら、オレを…
ダメだダメだ。違うんだ。彼はもうここにはいない。
オレを迎えに来ることも無いんだ。
だって・・
彼には、もうオレではない、別の人がいるのだから・・・・
つづく