「お腹が出てきたなぁ。顎のお肉も付いてきた気がするし。最近、食べ過ぎてばかりだったから、体を動かしたり、食べるのをセーブしなきゃ!」
…などと思って痩せようとする。
それが普通のことだと僕は思う。
自分の体は自分で管理。
健康第一、血圧大事。
快食快便、早寝早起き。
至極、真っ当な考え方だ。
そうして数週間後、首尾よく痩せたとしよう。
顎の肉もなくなり、お腹も引っ込んできたとしよう。
周囲の人からも「シュッとしたね」とか「フットワークが軽そうだね」なんて言われたりして、頑張った僕もまんざらじゃなくて、パナップやチップスやチョコを食べずに我慢して良かったなぁ、なんて思ったり思わなかったりしたとしよう。
「ところが!」である。
そんな感じで頑張って痩せた僕をみて、心配する人たちもいるのである。
実家の母やおじさんやおばさんや近所の人たちだ。
「忙しくて大変そうだねー」
「いろいろ苦労してるんだね」
「ごはん、食べれてるの?」
「眠れてるの?」
「ちゃんとしてるの?」
「ご飯食べていきなさい」
そう言われた僕は「ああ、うん。」とか「まあね」とか「あ、はい」と言うしかない。
「僕は痩せようと思って、痩せたのだ!」と言いたいのだが面倒なので、そんなキレの悪い返事しかできなかったりする。
僕が今更何を言おうと、ちゃんと説明しようとしても、聞く耳など持ってはくれないだろう。
ガンや高血圧や糖尿病になりにくい体質になろうとしているだけなのに。
「僕が痩せた」という事実の前では、お腹や顎のお肉の事とかを言っても、それは言い訳にしか聞こえないだろう。
みんな僕のことを心配してくれている。
僕が痩せてしまったことで余計な心配をかけてしまっている。
申し訳ないと思う。
忍びないと思う
余計な心配をかけてしまったと思う。
親や親族の叔父叔母にとって、僕は幾つになっても「子供」なんだと思う。
そうして僕は思い知る。
人間は痩せちゃいけない!
※お年寄りの人たちは心配性なんだと思うが、実は、僕も同じ事を娘に対して言っていることに気づいた。「食べるのあるの?」とか言っているし、ゆうパックでカップラーメンとかを送ってたりしてる。
みんな一緒なんだ。同じなんだ。しょうがないんだ。