たった一人で隠遁生活をしていると

たとえば

「戦略」といったような事とは無縁だ。

買い物や散歩、せいぜいが旅行

ちょっとした契約や登録といったような事で

自分の意志が妨げられることは、

まあ、ほとんどない。

 

けれども

世間に参加するとなるとそうもいかない。

たかが地域の活動や

ささやかなボランティア、

ご近所付き合いなど、

本当に小規模な活動。

 

それはたとえば

企業の一員だった頃とか

夫婦でデザイン事務所を経営した頃とか

マス媒体の執筆や著書を出版するといった活動とくらべると

「社会活動」とさえいえない。

ほんの「世間参加」という程度。

 

なのだが、

 

隠遁生活では

もう本当にぼーっとしちゃってるから

使わなくなって

劣化しまくっている脳を

いきなり酷使する状況になる。

すっかりさび付いた脳って

ピンとくることもピンとこないのよね。

 

で、

 

どんなにささやかな人間関係も

いざ運営となると

「計算」というか「戦略」が

必要になる。

ちゃんと伝達してもらうとか

動いてもらうとか

もう、ほんとに、こんなことで? と

思うようなことで。

 

で、

 

隠遁生活というのは刺激が少ないから

社会活動が日常の現役時代であれば

ストレス度30くらいのことが

ストレス度70とか、

90とかいく。

インディケータの針、

振り切れちゃうのだ。

 

なんというか、

つまらない事が

割と大きな刺激となって心に残る。

 

会社員だった頃は

誰しもそうであろうが

人間関係と

仕事そのもののストレスと

両方に晒されながら

やれ会議だ打ち合わせだと

普通に毎日、そういう日常があって

昼のランチまでにいくつもの戦略を立て

それを実行して暮らしていたのだから

若い頃ってすごいなって

 

今ごろ思う。

 

この場合の若い頃というのは

現役年齢すべてを含みます。

あしからず。

 

で、今現在の

自治会やご近所という小規模共同体の

定例行事。

役員から降りてきた内容

初参加の私は

定例なのだから、そういうものかと

即、受け入れたが

反対意見の人がすごい。

 

同じ価値観じゃないし

同じ生活条件じゃないし

世代も違うし

耳も遠かったり

少しボケていたり

共稼ぎで参加しないのに反対とか

自治会の催しでまさかの

利害関係を言い出す人もいる。

びっくり。

 

真向からの反対意見、あるいは分裂

あるいは悪意、あるいは嫉妬

あるいはメンツ。

意味不明のマウント。

新人さんにわざわざ作業を中断させて

長々と

間違ったことを教える意味不明のおばさん。

 

こうした人たちとの共同作業。

ググり抜ける必要があるよね。

戦略必要でしょ。

みんなすごく戦略的なんだよね。

ありていに言わせていただくと

人生で企画書一枚書いたことのない

そういう人でも

身過ぎ世過ぎの作戦はもう本能。

 

どうするぅ?

と私たち新米理事の二人、

頭使う使う必死に「戦略」立てる。

そう、単に

いやな思いをしないために。

ちゃんと現場で

スムーズに役を果たすために。

 

え?

そりゃまた

どんな大仕事かって?

 

あ、

 

お祭り。

 

春祭りですよ、地区の。

なぁんだ‥って

おっしゃいました?

ぶっちゃけ、仕事の方がラクです。

 

 

私の役はどんな大役かって?

 

 

ホットドックのテントを設置して

 

ホットドックを売った!

 

 

大変だった。

 

なんか予想より大勢の人たちが集まって

すぐに行列。

「二つくださーい」

「すいません持ち帰りで三つ」

「ぼく一つ、マスタード抜きで」

「私、一つ、ケチャップだけでいいです」

はいはい、はいはい。

ホットドックを必死で売る私。

へんな帽子を被って。

ケチャップ絞ってマスタード絞って

マスタード絞らずに

ケチャップ絞る。

 

横で

喧嘩を始めるやつがいる。

 

ソーセージ係の人と

パンを袋から出す人が。

喧嘩中は手を動かさないから

ソーセージ、焦げるんだよね。

早くソーセージを

鉄板のこっち側にころがしてくれー!。

バットにもう無い!

客がごんごん並ぶんだよね。

途中で発電機が燃料切れになって慌てたり

(これは男性が担当)

お持ち帰り用のパックが足りなくなって

だいぶお年の

ベテランさんが買いに走ってくれて

申しわけなかったり

私、

顔も手も油まみれで必死で売った。

 

全員が理事や役員なんだけど

朝からおしるこやホットドッグを

売りまくったよ。

 

おしるこ係は

あらかじめ作っておいて

カップに注いで売るだけだから

ラク。

ラクだよと前期の理事に教えられていた。

だから

おしるこ係になりたかったんだけど

出遅れて負けた。

 

他にも色々あった。

この齢であんな長い間立ちっぱなしで

腰も痛いし

自分のポンコツぶりに腹も立ったけど。

 

でも‥‥

 

まあ

 

‥‥‥

 

楽しかった。

 

別の大きいストレスをしばし忘れた。

 

ホットドックを売るの

楽しかった。

 

でも、

終わってからみんな不平ぶぅぶぅだったし

某独断的な人の悪口で共感し合っている中

 

私だけ

 

いやー、けっこう楽しかったね的な

雰囲気をかもすわけにもいかず

笑顔を浮かべるわけにもいかず

 

なるほどねー、ふんふん、

と頷きながら

神妙な顔してお弁当を食べ続けたよ。

 

ところで

じゃがポックルは

ケチャップと粒マスタードを混ぜたソースに

普通のフライドポテトみたいに

つけて食べると

とっても美味しいね。

 

 

 読んでくれてありがとう 桜ホットドッグ右