宿に泊まる時にはいつも

夫の写真をツインベッドの片方に置く。

 

富士屋ホテルは

夫も一度ぜひ泊まってみたいと言っていた。

なにしろ

140年の歴史を持つ5つ星ホテルなのだ。

最近は外資系ばかり目につくけど。

 

なので

 

今回、本は一冊も持参しなかった。

「むなしさの味わい方」北山修著:岩波新書

という食指の動いた書籍を見つけたが

読者レビューを読む限り

どうもタイトルのイメージと違って

逆に肩が凝りそうだったのでやめた。

 

ひたすらホテルステイを楽しもうと

食事やお茶の合い間も無駄にせず

全部の館内をウロウロウロウロ。

オフシーズンの落ち着いた静けさが

こんな私にはとても有難い。

 

豪華なフカフカソファも貸し切り状態。

ラウンジの一角にあるライティングデスクに

ホテルの金箔ロゴが入った素敵な便箋と封筒があり

(各室に配備されたものと同じ)

私もいそいそと

ライティングデスクの椅子を引くも‥

んー‥‥‥

便りを出せる相手の、あても無し。

 

友人、少ないんだよね、私。

 

その少ない方々がまた、

親の介護で大変だったり

ご主人が癌で闘病中だったり。

やっぱり

ちょっと出せない

誰にも言わずに来ているし。

 

私にもストレスはいっぱいあるんだけどね。

 

館内ツアーに戻って

皇室御一家やマリリン・モンロー、アインシュタイン、

ジョンレノン・オノヨーコ夫妻、ヘレン・ケラー

チャップリン、三島由紀夫、夏目漱石‥‥、

国内外の数えきれない要人たちがこの廊下を歩き

あそこに座ってコーヒー飲んだりしたのかな

などと想像しつつ

アリスの気分で彷徨う彷徨う。

 

庭園のてっぺんの水車小屋まで。

 

気が付けば

かなりの歩数、ゼエハァ、ゼエハァ

庭、5000坪ですって。

 

「昨日は雪だったんですよ。

今日は晴れて良かったですね」

とホスピタリティが制服を着たようなホテルの人。

 

有名なカレーパンやジャム、ブリオッシュを買う。

深夜、

窓辺の机で月に映える花御殿の灯りを見ながら

熱々コーヒーでカレーパンを喰らう。

こんな美味しいカレーパンがあったのか。

幸せ‥‥。

眠りたくない。

 

しかし朝は来る。

 

菊華荘で和朝食にした。

庭の見える席は寒くないか心配されたが

予想通り、お1人様の高齢夫人も食事をなさっていて

(こうしたホテルには絶対いる)

私的にはやや嬉しい。

薄味‥‥。

でも新鮮な素材やお出汁が美味しい。

 

本当は、雪の降り積もった白い景色を期待していたのだが

天候には恵まれ、それで良かった。

ホテルを後にする時も抜けるような青空だった。

眩しいほど澄み渡った孤独。

 

ありがとう、さよなら、いつかまた訪れたい。

次は西洋館に泊ってみたいな。

 

 

で再びガラガラを引きづって

 

登山鉄道駅へ。

駅、すぐそこなのよね。

 

行きも帰りも小田原の「魚国」で昼食をとった。

行は刺身、帰りはニシンの塩焼きや生牡蠣を食べたが美味。

次はあら煮や海鮮丼も食べてみたい。

駅続きのラスカ2F。

 

 

 読んでくれてありがとうコーヒー赤薔薇