他人のやさしさというのは有難いものだ。

とりわけ自分が

落ち込んだり、困ったりしている時。

夫を亡くして二か月くらい経った頃、

自宅に、見知らぬ女性が訪ねてきた。

私と同じくらいか、少し若い感じの。

「これ、田舎から送ってきたんですよ、よかったら」

野菜の入った段ボール箱を差し出す。

「どなた様?」

と私。

「突然ごめんなさい、近所のものですけど」

と彼女。

私、ご近所付き合いには疎い方だったので、

へえ、そうなのか、と思った。

「ご主人を亡くされて、お力落としじゃないですか?」

ご近所の方なら、

夫が亡くなったことを知っていても不思議ではない。

何人か夫の霊前に挨拶に来てくださったから

きっと誰かに聞いたのだろう。

彼女は、私の身体を気遣い、

困ったことがあったら

どんなことでも協力するから、と本当に低姿勢で

押しつけがましくなく、真摯な眼差しを私に向けて立っていた。

とても親切な人に思えた。

「お辛いでしょうけど、でも

ご自分をちゃんといたわってあげないといけませんよ。

どうぞ食べられるだけでいいですから、食べてくださいね」

そう言って

ひとりにはちょうど良いくらいの量の

色々な野菜が入った箱を差し出す。

私は別に欲しくもなかったが頂いた。

後でお返しが必要と思い、名前を訊いた。

「あ、失礼しました、○○ 〇〇子と申します」

と彼女は答えた。

 

それから更に半月くらい経ち

ある日私は

かつて夫と出かけたスーパーのそばのベンチに

ひとりぼーっと座っていた。

歌の文句じゃないけれど、

まさに、

♪痩せて 窶れて 希望も失くし 

放心状態で

幽霊みたいだった‥‥と思う。

すると

誰かが近づいてきて、私をのぞきこんだ。

「大丈夫?」

野菜を届けてくれた、あの女性だった。

そして私の横に座り、

よけいな話もせず、しばらく傍らに居続けてくれた。

いささか気づまりではあったが、

いわゆる、心得ている人の振る舞いで

私は感謝こそすれ、不快感は持たなかった。

「ひとりで、ひどくお辛いみたいなことがもしあったら、

どうぞほんとに、なんでも、仰ってくださいね」

自分のスマホの電話番号を書いた紙をくれた。

世の中には親切な人もいるものだ。

もしかしたら、

この方も、誰かご家族を亡くされた人なのかな、と私は思った。

 

で、

 

結果から言うと

 

その人は、宗教の人だった。

信者集めが目的で私に近づいた。

 

本当に

感心するほど温かみをかもす、完璧に「良い人」だった。

悩みを打ち明け合った学生時代の親友みたいな

目の表情、おもわしげな眉間。

 

直感でもないが

「閉じ籠っていては身体に悪い、たまには気晴らしを」

とお茶に誘い出されて、

散歩がてら、ついて行ってみた。

好奇心もあった。

すると

彼女の「友人」と称する女性がもう一人、そこに待っていた。

中年女性が二人、ニコニコと

ならんで私の前に座った。

その時点で

なにか、明らかに、おかしい感じ。

 

再び結果から言うと

(結論ではない)

私ははっきりお断りしたわけだが

 

その後一度だけ、

道ですれ違い

完全に無視された。

私が会釈をしても

ツーンとあさっての方角に顔を背けて

まるで喧嘩をした小学生みたいな反応。

入信にも

選挙の一票にも

つながらないのなら無視。

その掌の返しようがあまりに見事すぎて

女神のように善良な主役と

冷酷な脇の悪役を演じ分ける女優さんみたい!

と思った。

 

昨今の旧統一教会がらみのニュースを見ていて

ふと

思い出したんでした♪。

 

ところで

 

横浜ノースドッグに米軍配備ですって。

小型揚陸艇部隊ですって。

山下公園の真正面、

あの白い風力発電のファンのあたりです。

バイデンも口先ではいいことを言う。

本心は中国やロシアと変わりあるまいに。

日本って

「鬼に金棒」の「金棒」が無いんだよね。

何かないかな。

 

ロマンが無いなぁ。

 

今日も、ロマンの無い私のブログを読んでくれてありがとう赤薔薇コーヒー