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☆スカイ ブルー ノート♪

☆空色のノートに大好きな映画や音楽やetc.…について綴ってゆきます♪

三谷幸喜監督最新作。

宇宙の片隅の、さびれたハンバーガーショップで働く夫婦と、次々とやって来る個性的な客たちが織り成すSF恋愛コメディ。

「奥さまは魔女」に代表される1960~70年代の古き良きシットコムを彷彿させる、のどやかで微笑ましくホロ苦い笑いとペーソス溢れた人間模様。

書き割りの宇宙空間が醸し出すアナログな作品世界の心地好さ。
SF世界に“ザ・スズナリ”が登場したりする可笑しさ。

キャストの皆さん、伸びやかで魅力的だが、特に印象的だったのは……

西川貴教さんのチャーミングな存在感。
真剣に深刻になるほど、ホロ苦い可笑しさが込み上げる小栗旬さんの絶妙な演技(「キサラギ」(2007)の“家元”を連想した)。
遠藤憲一さんの強面に哀愁が漂う怪演&熱演。
名作「天井桟敷の人々」(1945)に登場する芸人バチストをモチーフにした道化師姿の浅野和之さんのジャン=ルイ・バローばりのマイム芸。
田村梨果(ミラクルひかる)さんの芸達者な台詞廻し。
……etc.

“キャプテンソックス”の靴下の場面は「フランケンシュタイン」(1931)のドワイト・フライ演ずるフリッツからの発想でしょう(笑)(※和田誠さんと三谷さんの対談集「それはまた別の話」参照)

個性的なキャラクター設定が、プロット上で消化不良気味な物足りなさ(これだけ役者が揃ったら、もっともっと面白く活かせた筈!)は否めないが……

愛すべき小劇場テイストの佳篇。



1973年・スペイン映画

ビクトル・エリセ監督の二大傑作「ミツバチのささやき」(1973年)と「エル・スール」(1983年)がBD化されて、久しぶりに再見した。

フジテレビの深夜番組「ミッドナイトアートシアター」のノーカット放送に熱狂した高校生の頃が懐かしい。

アナ・トレントの天才少女ぶりと、静謐で繊細な作風から、神格化された“少女映画”の伝説的名作という印象だったが、今改めて観ると、実に“政治的テーマ性”に根ざした作品だったのだなあ。

内戦とその後の独裁政権下のスペインの荒涼たる哀しみ、痛み。

純粋で愚直で時に残酷な子供の視点から描くことで、魅力的な神秘性と、普遍的な寓話性を帯びた傑作として結実した。
逆に云えば、そういう暗示的な描き方しか許されない時代でもあった。

映画での少女アナは、虚ろげな無表情が印象的だか、時折り、無邪気な笑顔でおどける場面があると、ホッとする。
子供の笑顔や家族の団欒をも封じ込めてしまう閉鎖的な時代。

エリセ監督は少年時代、ハリウッドの娯楽映画に心ときめかせ、やがて“イタリア・ネオリアリズモ”の「自転車泥棒」(1948年)や「戦火のかなた」(1945年)に衝撃を受けたと云う。
ハリウッド的な自由世界への純粋な憧憬が、政治的テーマを抱える作家性(=スペイン人としての心情)と融合している。
「ミツバチ」での「フランケンシュタイン」(1931年)、「エル・スール」での劇中映画「日陰の花」(ジョゼフ・フォン・スタンバーグ風のメロドラマ)やアルフレッド・ヒッチコック監督「疑惑の影」(1943年)のポスターに象徴されるように。
さらに監督の詩的、絵画的感性が唯一無二の作品世界を紡いでゆき、映画史上にも稀有な傑作を生んだ。

今回のソフト化は、予告編etc.の特典が全く無いのが残念。
日本公開当時の“フランス映画社”の予告編、好きだったんだけどなあ。

どうせなら「マルメロの陽光」(1992年)と三枚組で“コンプリートBOX”にしてくれればよかったのに…とも思うのだけど。



2月に公開された岩井俊二監督のアニメ映画「花とアリス殺人事件」がBD化されて、あらためて2004年の実写作品「花とアリス」をDVDで久しぶりに観返した。

制服姿の花とアリス。通学電車。桜吹雪。バレエ。落研。ウヲアイニ。雨。砂浜。トランプ。オーディション。文化祭。……

愛すべきキャラクター、エピソード、そして撮影、美術、音楽が醸す、唯一無二の“花アリ”ワールドの魅力。

日常の思わぬ断面から、煌めくように優しく、切なく、感動的な(時に残酷な)瞬間を鮮烈に切り獲る、絶妙の岩井タッチ。

花=鈴木杏さん、アリス=蒼井優さんの圧倒的に“無敵”な少女っぷりは勿論、感動的なクライマックスのオーディション場面に登場する広末涼子さん、そして児玉真菜さん、藤原ひとみさん(劇場で観た時、狂喜した!)の存在感がまた美少女マニアにはたまりませぬ。

甘酸っぱく、透明感溢れた少女ムービーの神的傑作。