2016年6月13日 月曜日

妻の運転で女子医に向かう。
途中で会社に電話を入れる。
「あ、今日出社されるんですよね?」
電話に出た部下に開口一番言われる。
状況を説明し、「また連絡する」と言って電話をきる。
10時半 女子医に到着。
しかし駐車場に入る車列が長く伸びている。
このままだと間に合わないかもしれないと思い
クルマを降りてひとりで外来棟に向かう。
歩くのがしんどい。
11時 診察
診てくれたのは最初の外来のときの医師だ。
ちなみに、入院時の担当医師はこの医師の指示を仰いで動いていた。
僕の説明を聞いた医師は、「入院のとき、IVIGはやりましたっけ?」と聞いてくる。
やってないと言うと、「では、IVIGをやりましょう。すぐに入院してくだい」
僕と妻は顔を見合わせた。入院するという事態を想定していなかったのだ。
想定していたのは、ステロイド剤のプレドニン錠を処方される、ということだった。
IVIGとは、免疫グロブリン大量療法という治療法。
献血で集めた血漿から抽出された免疫グロブリンが含まれる製剤を
毎日6時間近く、連続5日間点滴で体内に注入する。
確か、入院時に検査結果と治療法の説明を受けたときも、
「今後、状況次第では、IVIGも検討する」と言っていた。
診察後、呼吸機能検査。歩くのが辛いので、車イスに乗り、妻に押してもらう。
終了後、車イスに乗って神経内科の病棟へ。
顔見知りの看護師たちが「あれっ?」という表情をして僕を見る。
「もう二度と来ませんから!」と見栄を切ったのに、
わずか4日後に車イスで戻ってきたのだから、「なんじゃそりゃ」もいいところだ。
恥ずかしい。
12時 
妻がいったん帰宅する。パジャマなど、入院に必要なものを持ってこなければならない。
読書用の本も持ってきていない。
前回の入院時には村上春樹『遠い太鼓』ほか、つげ義春『貧困旅行記』、
宮脇俊三の鉄道本など、なぜか古い旅エッセイ本ばかり読んでいた。
僕は自宅の本棚を思い浮かべ、タイトルはなんでもいいから、
太宰治を持ってきてくれるようお願いする。
なぜ太宰なのか、自分にも意味がわからず。
ちなみに活字中毒者の僕は、どんなに複視がひどくても、
片目をつぶって読書をしていた。
 
会社に連絡、再入院したことを伝える。
5日間連続で点滴をする、と説明すると、
「では、出社は来週か」と質問される。
「まあ、そんなところですかね」と、あやふやなリアクション。
僕自身、まったく先が見えない。
 
14時
副作用のリスクを承知の上でIVIGをやります、という書類にサインしてIVIGがスタート。
副作用を警戒して、看護師が何度も体温、血圧を測りに来る。
夕方、担当チームが病室に来る。前回とは違う医師たち。やはり全員女性だ。
複視のチェックなどを受けているうちに、前回の担当チームも様子を見に来る。
少し呂律が回ってないですね、と言われる。
呂律が回らないのも、この病気の症状のひとつだ。
17時
妻が戻ってくる。小学校の前で次男にばったり会ったので
「お父さん、また入院だよ」と伝えたところ、「マジか!」と結構動揺していたらしい。
19時半ごろ、本日のIVIGが終了。
IVIGを開始した途端に効果が現れる人がいる一方で、効果が出るまでに時間がかかる人もいるらしい。残念ながら僕は後者なのかも。
22時 消灯
 
夜中、目が覚めたときに指先を動かしてみたら、バチバチ動かせる。まるで病気になる前に戻ったみたいだ。
 
IVIG、もしかしたら効いてくれるのか?
 
※重症筋無力症を発症してから車イス生活になるまで。そして回復、2年後の再発・・・。診療、薬のことから、医療費、息子の不登校まで、2年あまりの闘病をつづった電子書籍が販売中です