日蓮大聖人御書(大石寺)
下種仏法の教義
【一代聖教大意】
正嘉二年二月、三十七歳、鎌倉名越
釈尊一代五時八教、化法の四教(蔵通別円)
「蔵教」
小乗教、経律論の三蔵、阿含経
欲、色、無色の三界の六道の因果を生死の業と説く。
経蔵(定蔵)、律蔵(戒蔵)、論蔵(慧蔵)
戒ー五戒、八戒、十善戒、二百五十戒、五百戒を持ち人、天に生ず。
定ー味禅、浄禅、無漏禅を行じ、色、無色界に生じて天、声聞、縁覚となる。
慧ー苦、空、無常、無我の知恵、色心を観じ戒定を具足し声聞、縁覚となる。
我空法有の空理を説く。生命は因縁により存する為、実体は苦、空、無常、無我であるが色心等の法は常住なり、空観は万象を分析し達するを析空と云ふ。
二乗は見惑思惑を断じ灰身滅智(けしんめっち)す。(身を灰にして智を滅する、即ち煩悩を断って無に帰する)
「通教」
権大乗、一経に限らず。
六道の因果を明かし、動踰塵劫を経て歴劫修行する。
方等経、般若経、心経、観経、阿弥陀経、双観経、金剛般若経等。
戒定慧の三学あり、十地あり、声聞、縁覚、菩薩共に見思を断ず。
六道の凡夫は仏性ありと談ぜず、因果を明かし事物現象の当体が直ちに空であると云ふ体空を説く。
「別教」
権大乗、菩薩戒(三聚浄戒)、摂善法戒、饒益有情戒、摂律儀戒
摂律儀戒ー梵網経(四十八軽戒)、瓔珞経(十無尽戒)、華厳経(十戒)、涅槃経(五支戒)
戒ー金剛法戒、尽未来際の戒。
定ー観、練、薫、修の四禅定。
慧ー心生十界の法門、五十二位を立つ。
〈五十二位歴劫修行〉
十信(十位)、退位(種)、凡夫、菩薩未だ見思(煩悩)を断ぜず。
十住、十行、十廻行、不退位(熟)、見思、塵沙を断ぜる菩薩。
十地、等覚、(脱)、無明を断ぜる菩薩。
妙覚、(一位)、無明を断尽せる仏。
真理の上で空、仮、中の三諦を明かし、小乗の灰身滅智の者の与かり知らぬ界外の因縁の相、即ち菩薩が仏果を目指す長期の歴劫修行の因果を説く。
「円教」
〈爾前の円〉
戒定慧、五十二位あり、華厳経の法界唯心の法門なり。
初発心の時、便ち十信、十位の初住より正覚を成ず。五十二位を互いに具し、浅深も勝劣も無し、凡夫も位を経ずとも成仏す。
〈法華涅槃の円〉
法界不動戒、金剛不壊戒、妙戒(中道実相の妙体)
空仮中三諦三身、凡夫即極即身成仏
八位、六即、(三乗、五乗、九法界の円教の修行の位)
五品弟子位ーーーーー理即、名字即、観行即
十信ーーーーーーーー相似即
十住、十行、十廻向ー分真即
十地、等覚ーーーーー分真即
妙覚ーーーーーーーー究竟即
円の意義には不縦、不横、円融、円満、円頓等がある。
空、仮、中を円に具え差別なく即空、即仮、即中であり互いに具わり融け合っていると、即ち円融の三諦と云ふ中道実相を説く。