死別後、悩ましいことのひとつに、新しく知り合った人に死別の事実を伝えなければならないということがあります。


仕事柄、各国から来る同業者はみんな、2年から3年の任期で赴任してくるので、どんどん人が入れ替わります。そして、社交の場が非常に多く、仕事の話題よりもプライベートの話をすることの方が多いため、家族の話は避けることができず、必然的に妻の話をせざるを得ない機会が多々あります。


「家族も一緒に赴任してきたの?」とか「子どもは居る?何歳?」みたいな話なら妻のことには触れずに済むのですが、配偶者同伴のパーティーなどで、「今日は奥さんは?」なんて聞かれると答えないわけにもいきません(そういえば、うちでホームパーティーをした際、招待した一人が私の妻のことを知らなかったらしく、うちに来てから「今日は奥さんは?」なんて聞かれたことも)


別に隠すことでもないので、聞かれた際には素直に答えるのですが、その際に空気を重くさせてしまうのがいつも悩ましいです。


そして、別な意味で困るのが、妻が他界したことを伝えた際に言われる "I'm so sorry" という言葉。ほぼ間違いなくこう言われるのですが、これが「(辛いことを聞いてしまって)ごめんなさい」という意味なのか、「(奥さんが亡くなって)大変残念ですね」という意味なのかが未だに分かりません。


これって、どちらかによって返答が変わってくると思うんですよね。前者だと「気にしないで」になるだろうし、後者だと「ありがとう」になるのかな?


おそらく後者の意味なんじゃないのかなとは思うものの、日本人的には前者のような気もするし、同じ英語でも国によって違うのかもしれないと思って、とりあえず「気にしないで」という回答をすることが多いです。まあ、社交の場のことなのでどうでもいい話かとは思いますが…


ちなみに、どっちの意味だったとしても雰囲気が暗くなってしまうことには変わりがないので、最近は「いやあ、大変だったよ〜。でも落ち着いてきたので、そろそろ新しい奥さん見つけなきゃね」とか「あなたの国でだれかいい人居ない?」みたいな回答をして、場の空気を変えるようにしています。