高校生活を大いに楽しんでいる娘は、夏休みもなかなか忙しいようです。


夏休みに入ると、まずは部活の合宿へ。最終日に帰宅してからは、荷物を詰め替えて、そのままオープンキャンパスに出発しました。その後も部活や友達の家へのお泊まりなど、毎日のように予定が入っているようです。


そんな娘ですが、せっかくの夏休み、親としても何か普段できない経験をさせてやりたいと思い、知り合いの農場で農業体験をさせてもらうことにしました。


そこは、私自身が学生時代に実習でお世話になった農場です。


実習が面白かったうえ、あまりにも居心地がよかったため、その後も何度となくアルバイトで通っていました。


何がそれほどよかったのか。


まず、当時から先進的な農業に取り組んでおり、社長の発想がユニークというか柔軟というか、とにかく話が面白い。農作業だけでなく、いろいろなことを学ばせてもらいました。


また、農場には、そこの家族だけでなくいろんな人がいて、いつも賑やかでした。実習で来た大学生、就農希望の長期実習生、自分と同じようなアルバイトのリピーターなど、そういった人たちと一緒に働き、生活する時間も楽しいものでした。


そして、何より飯が美味い。


何か特別なものを食べさせてもらっていたわけではないですが、食材がいいからなのか、肉体労働の後だからなのか、とにかく美味しくて、毎日本当によく食べました。実際、実習に来た学生は、みんな体重を増やして帰っていきました(笑)


さらに不思議な縁で、今の仕事に就いて最初に赴任したのが、なんとその農場のある街でした。初任地を聞いたときには、さすがに耳を疑いました(笑)


妻とはその街で勤務していた頃に結婚し、娘もそこで生まれました。以来、家族でもたびたび農場へ遊びに行き、まさに家族ぐるみでお世話になってきた場所です。


そんな経緯もあり、以前から、子どもたちが高校生くらいになったら一度ここで働かせてもらいたいなと思っていました。


来年は受験生になる娘にとって、まとまった時間を取れるのは今年が最後かもしれません。そこで「行ってみない?」と提案したところ、意外にもすんなり乗り気になってくれました。


本音を言えば、できれば2週間くらい滞在してほしかったのですが、そこは多忙な高校生。すでにほかの予定が入っており、移動を含めて5日間の日程となりました。


娘一人で行かせることもできましたが、預かってもらう以上、親として顔を出しておきたい。また、それ以上に、私自身が久しぶりにみんなに会いたかったこともあり、一緒に農場へ向かいました。


久しぶりに訪ねてみると、ばあちゃんが亡くなっていたり、当時まだ小学生だった農場の娘さんが、今では二児のお母さんになっていたりと、否応なく、流れた時間の長さを感じさせられます。


一方で、実習に来た学生たちの賑やかさや、畑の風景は、昔とほとんど変わっていませんでした。


先日のオープンキャンパスでも感じたことですが、自分が若い頃に過ごした場所や経験に、子どもも興味を持ってくれるというのは、何とも感慨深いものです。


私には別の用事があったため、その後のことは農場の皆さんにお任せし、娘とはそこで別れました。


滞在中、娘から私に届いたLINEは、案の定一通もなし(笑)農場の方からいただいた連絡によると、大学生たちともすぐに打ち解け、楽しそうに過ごしていたようです。帰宅後も多くは語りませんでしたが、本人の様子から、よほど楽しかったことは伝わってきました。


娘は今のところ、農業に特別な興味を持っているわけではありません。今回の体験が、そのまま進路につながることも、おそらくないでしょう。


でも、人生のどの経験が、いつ、どこで未来につながるかは分かりません。


私にとっても、学生時代の一度の実習が、その後のアルバイトにつながり、初任地や家族との思い出と重なり、二十数年後には娘を連れて戻ってくることになりました。


そう考えると、今回娘が過ごした数日間も、本人が今思っている以上に、いつか何かにつながるのかもしれませんね。


もっとも、そんな親の感慨など知る由もなく、娘にとっては「大学生たちと過ごした楽しい夏休み」とか「美味しいものをたくさん食べた夏休み」で終わっているかもしれませんが(笑)