今の私は、人前で話すことにあまり抵抗を感じなくなりましたが、昔の私は人前で話すどころか、人と会話することすらままなりませんでした。


大学生の時、担当のカウンセラーの先生から、「一生懸命話してくれるけど、何を言っているのかよく分かんなかった」と言われたことがあります。

もちろん、カウンセリングの時ではなく、数年経って再会した時に言われたことです。


私は、大学生の頃本当にしんどくて、学生相談室でカウンセリングを受けていました。

しばらくして、11の会話に慣れてきた頃、プレイバック・シアターと出会い、安全な集団で自分を出して受け入れてもらえる体験をしたので、今思えば本当に運が良かったな~と思っています。


なんで人前で話せるようになったかと言うと、自分に自信が持てるようになったというのが、一番大きいと思います。

私は人からどう見られているかを気にしすぎるあまり、しどろもどろになってしまっていたのだと思います。

今思えば、誰も私のことなんてさほど見ていないというのに、みんなが私のことを見ていると思い込んでいました。

とにかく、周りに自分がどう見られるのか、そればかりを気にして萎縮していました。

自分に自信が持てるようになってくると、周りにどう思われるかというのはあまり気にならなくなりました。

どんな自分であっても、例え受け入れてもらえなくても大丈夫と思うようになりました。

気にならなくなったというより、気にしなくなったということかもしれません。

もっと言えば、そんなことはどーでもよくなったということです。

どんな自分であっても、例え今この場で受け入れてもらえなくても、受け入れてくれる仲間がいる。

そう、プレイバック・シアターを通じて繋がった仲間達は、本質的な深い所で繋がっているので、私に何かあれば力になってくれるし、反対に何かあれば飛んで行く、そんな仲間であるとみんながみんな感じあっている関係です。

人に対して不信感に溢れていた私にとってはとても安心感のある居心地のいい集団でした。

自分が何か大失敗をしても帰る場所があるというのは、例え自信がなかったとしても背中を押してもらえる、そんな力がありました。

仲間の存在は大きいです。

その安心感が自分への自信につながっていったと思っています。


あとは、カウンセリングやプレイバック・シアターでの経験から、自分の話を整理して聞いてもらったり、演じてもらったりしているうちに、順序だてて話が出来るようになってきたのかもしれません。


一緒にプレイバック・シアターをしている仲間で70代の女性の方がいました。

その人が話し出すと、途中からあっちに飛んで、こっちに飛んで、一体何を伝えたいのか聞いてる方も分からないまま時間ばかりが過ぎてしまう。

そんな風に話す人でした。

昔の私がそういう話し方をしていたかどうかは分かりませんが(^^;;

私も、この人は一体何を言いたいんだろう?と聞き手に思わせていたのかもしれません。


その人は私より前にプレイバック・シアターに参加していました。

その人が話し出すと、聞いてる途中で眠くなってしまうくらい話が長く、何を言いたいのかまったく分かりませんでした。


でもある日のプレイバック・シアターのワークショップで、話したいことを話し、そのまま話が逸れることなく、自分から「おしまい」と言って話を辞めたのです。


その場に居た人達は、みんな驚いてしまいました。

今まで誰かが静止しないと永遠に話し続けていたのに、自分から「おしまい」と言って話を辞めたのです。


プレイバック・シアターでは、全ての人に発言する機会が与えられます。

そして、同じように相手の話を聞く時間もあります。

その体験を繰り返すことで、少しずつ少しずつ、人と会話する時のバランスを獲得していったのではないかと思います。


プレイバック・シアターは、話しすぎてしまう人、なかなか意見を言えない人、両方の人に効果がありそうですね。


私はプレイバック・シアターの経験から、聴く力だけではなく、自分の想いを伝える力も身に付いたと感じています。