🍎目線。







こんなこと、あるわけないって思ってた。


ドラマの中?漫画の中?


ううん、ちゃんと現実。


だって、なぁちゃんの匂いも、なぁちゃんの柔らかい唇の感触も


ぜんぶちゃんと感じてたもん。


だけど、途中から違和感があって、なんかなぁちゃんじゃない気がして


そこにいたのは、私だった。












「えぇーどうしよ!なんでなぁちゃんなの!」




『へへっ、ゆうちゃんの身体〜』




「なぁちゃん、見たら怒るからね!」




『へへっ、私に怒られた笑』











何がどうなってるのか、、とりあえず整理しますと。











久しぶりにお休みが被って、2人でゆっくりまったりの休日を過ごすはずだった今日。


昨日の夜からなぁちゃんの家に遊びに来ていて、明日が休みをいいことに狼になったなぁちゃん。


だけど、キスを繰り返していたとき、お互いなんとなく違和感に気づいて


どちらともかく、身体を離したら目の前にいたのは私だった。


簡単に言うと、中身が入れ替わってしまった、、









なぁちゃんに組み敷かれていたはずの私は、自分の身体を組み敷いていて、


なぁちゃんからしたら、私の上に乗っていたはずなのに、自分に乗られてる感覚。









お互いどうしたらいいか分からず、乱れてた服を元に戻すと


せっかくのお休みなのに休むことなく、戻る方法を考えていた。









だけど、最初は真剣だった私の身体のなぁちゃんは


『でもゆうちゃんの身体を独り占めできるなんて最高だ!』


なんて言い出して、考えることを辞めてしまった。


いや、真剣に考えてよ。









もう一度、同じことをしたら戻るかも、というのが有力だが


自分の身体とするのもなんか変な感じだし、


私の身体のなぁちゃんは喜んでいるけど、私は無理。









今日は1日お休みだからいいけど、明日からはお互いお仕事だ。


もともと似ているところもあるし、お互いのこともよく分かっているけど


自分じゃない人になりきるのは難しいし、


いつまでもなぁちゃんの身体で過ごしたい訳じゃない。


まぁ、ほんの少し、なぁちゃんを独り占めできるのは嬉しいんだけど。









「ふぅ、、どうしよっ」




『ゆうちゃん、そんな顔しないで〜もともと私の顔可愛くないのにさらにブサイク』




「なら、私の顔で犬みたいな表情しないでよ、なんかやだ」




『んー、、とりあえず明日の仕事どうするか考えましょ?ゆうちゃんの明日の予定教えてください!』





「戻す方法が先では?」




『じゃあ、試しにもう1回しますか?』




「無理、自分とチューとか考えられない!」




『なら、、、』




「分かった、、明日は午前中レッスンして、お昼に取材してもらって、夜は公演。」




『分かりました、私は明日、歌の収録がありまして、、』




「えっ、待って、無理無理。
身体はなぁちゃんでも、なぁちゃんみたいには歌えないでしょ!」




『あはは〜』




「なぁちゃん、笑ってないで!真剣に元に戻る方法考えよ!」




『ですね、笑』









ようやく、真面目モードに戻ってくれたなぁちゃん。


いったい、どうなるんだ、、。














「はぁ、、ダメじゃん。」




『しょうがないですよ、入れ替わるなんてそもそも現実である話じゃないんですから。』









ありとあらゆる方法を試した。


でも何をやっても元に戻ることはない。









『お仕事に影響出ると困るし、もう恥ずかしさ捨てて入れ替わったときと同じことしませんか?』




「、、、、、」




『自分とチューするの嫌なのは分かりますけど、このままじゃゆうちゃんも嫌ですよね?』




「ふぅー、わかったよ」









まだ一つだけ試してないこと。


それは、入れ替わったときと同じ、チューすること。









『、、ゆうちゃん//』




「、なぁ、ちゃん///」









お互い、相手の名前を呼びあって、チューするいつもの雰囲気になんだけど、


今からチューする相手の顔が自分自身なのだから、どう考えても変な感じしかしないわけ。









でも、









チュッ




チュッ




『ゆう、ちゃん、、チュッ』




「ハァ、、チュッ、チュッ」









触れるだけのキスではなく、


ちゃんと絡み合った大人なキス。









もう我慢できなくなるくらいに、


トロットロになるくらいに深いキスをした。











『、、無理、でしたね、、』




「このまま、ずっと戻らないのかな、、」









結局、どれだけチューしても、私たちの中身が元に戻ることはなかった。