🌱目線。







夢中になって絵を描いてたら、部活が終わる時間だった。


お題だけ与えられて、あとは自由に描くものを見つけに行く場合、


始まるとき部室に集合するだけで、時間は一応決められてけど終わりは自由。


期間内に作品が仕上がればいい、という感じ。


私は、友達に連絡してこのままバスケを見てから帰ることにした。


こんなときしか、ゆう先輩のバスケ見れないもんね。









キュッ




シュッ




パッ




キャー








やっぱり、ゆう先輩はかっこいい。


バスケしてる姿も、汗を拭く姿も、ドリンクを飲む姿でさえも。


それに制服姿も何度か見た事あるけど、ずば抜けてかっこいい。


直接話したことは無いけど、とても優しくて性格もいいと聞くし、


モテるのに彼女は作らないらしい。









(ありがとうございましたー!)









バスケ部の部活も終わって、片付けが始まる。


ゆう先輩のファンクラブの人たちもその場から離れ、体育館の入口や校門前に移動していた。


ゆう先輩が帰るところまで見送るんだから、強烈なファンなんだろうな。


私は、その群れにいるのはなんだか違う気がして


1度部室に戻り、描いていた絵を片付けに行くことにした。









「ねぇ、バスケ、見てたでしょ?」




『!!!!』




「君に話しかけてんだけど、えーっと、君!」







その声と一緒に私の肩に触れた手。


話したことは無いけど、聞いたことのある声。


柔らかくて優しい声。







「ふふっ、やっぱり君だ。さっき上から見てるの見えたんだよね笑」




『ゆう、せん、ぱい。/////』




「先輩ってことは、僕からしたら後輩?」




『あ、えっと、1年生の岡田ななです!』




「ななちゃんか、、じゃあ、なぁちゃんね?笑」




『え、あ、はい!』




「ふだん見ない顔だから、、バスケ見に来たの初めて?」




『あ、はい、、美術部に入ってるので、部活の時間見に行くことできなくて、、』




「ふーーん、、これ、見せて?」




『あ、いや、下手なので、、』




「上手じゃん!でもなんでバスケの絵?」




『今週のテーマが "青春" で、、その部活とか恋とかしか思いつかなかったので、、』









ついさっきまで、遠くからバスケしてる姿を見ていて、


1年間だけでも遠くから見ることができたら幸せと思い入学したのに、


いま、ゆう先輩と、喋ってる!?









「ふーーん、男バスに好きな人いるんだ?」




『え!?』




「バレバレだね笑  これ、誰見て描いたの?」




『え、いや、、、』




「ハハッ、まぁいいや。初恋は実らないって言うし、僕も失恋かな笑 」




『え?』




「なぁちゃんの恋が叶うこと祈るよ、でもできたらもう、バスケは見に来ないで?」




『あの、、どういうことですか、、?』









ゆう先輩が言ってることの意味が分からない。


だけど、見にこないでと言われてしまい、私が好かれてないことだけは分かる。


でも、失恋したと言うゆう先輩の顔はすごく辛そうで1人にしたくなかった。









「、、なぁちゃんさ、中学のとき、誰かのバスケの試合見に来たことある?」




『え、、はい、友達の女バスの試合を、、、』




「やっぱり。」




『え、ほんとにどういうことですか?』




「最後の大会のとき、なぁちゃんを見かけたんだ。」




『え。』




「完全に一目惚れだったと思う。それから、なぁちゃん以上の人を見つけるまで彼女を作らなかった。もうなぁちゃんとは会えないと思ってたからね。」




『ひと、めぼれ、、』




「だからさっき、シュート決めたあと、なぁちゃんを見たときビックリした。もしかしたら人違いかもとは思ったけど、確かめずにはいられなくて練習が終わった瞬間ここに来たんだ。」




『だから、声掛けてくださったんですか?』




「まぁでも、失恋したけど苦笑
この絵、誰か分かんないけど、バスケ部はみんな良い奴だから、勇気出して告白しな。僕が保証するよ。」









そうやって悲しそうに微笑むゆう先輩。


正直、ゆう先輩が私のことを好きでいてくれてたことも


あのとき、私と同じタイミングで一目惚れしてくれてたことも


まだ受け止められなくて、夢のように感じるけど


目の前で寂しそうなゆう先輩を笑顔にしたいって思った。









『じゃあ、今、告白してもいいですか?』




「え、いや、、まぁ、うん。行ってこい。」




『ゆう先輩、好きです。ゆう先輩のことがずっと好きです。』





「え、あ、告白の練習?」




『ふふっ違いますよ。私も中学のとき、初めて見たときに一目惚れして、それからずっと。ゆう先輩が好きです。』




「/////え、あ、がち?//」




「はい、ガチです!」









真っ赤になってるゆう先輩。


この顔は初めて見た。


なんだか、少し可愛く見える。









『ゆう先輩の彼女になってもいいですか?』




「も、もちろん!!///」




『ふふっやった!ゆう先輩、ありがとうございます!』




「///彼女なんだからさ、先輩って付けるの無しね?」




『えぇじゃあ、なんて呼べばいいですか?』




「じ、じぶんで考えて」




『じゃあ、、ゆうくん!』




「//////」




『ゆうくん、顔真っ赤で可愛いです!』




「//か、かわいくない。男だし、、その、なぁちゃんのが、可愛いよ?///」




『へへっ//ありがとうございます!』




「あ、あのさ、、この絵って、誰見て描いたの?」




『あ、、最初はゆうくん見て描いてたんですけど、かっこよすぎて集中できなくて、、途中から他の人見て描きました、、』




「、、もう僕以外見るな。僕にだけ集中しとけ」




『////はい!』




「この絵、書き直しな?また明日、バスケ見に来て。///」




『ふふっ、わかりました!』









初恋のゆうくんと付き合うことができて、


知らなかったゆうくんを知れて、


私の高校生活は想像以上にキラキラした青春になりそうです。









いつもかっこよくて優しくてキャーキャー言われ慣れてるゆうくんだけど、


顔真っ赤にして照れ屋なところは私だけが知ってる可愛いゆうくん。









独り占めしたいから、付き合ったことはもう少し、みんなには内緒にしとこ。












【完】









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リクエストありがとうございます!


なぁもぎが♂︎、ゆうおんが♀︎設定の内容が他の方の中でも結構多いかと思われますが、逆パターンの内容で見てみたいなぁ~って思いました!


今度もぎおんverも書けたらな〜と思ってます!