『ゆうちゃーん!荷物の整理は順調?』







「うわぁ!

なぁくん来てたの?」







『昨日、電話で言ったじゃーん

チャイム押したけど返事ないから入ってきちゃった!』







「あ、ごめんね?」







『それより、何見てたの?』







「ん〜これ!」







『それ、

もしかして僕の?』







「そう、このボタンが無かったら

今は無いからね?笑」







『ほんと、ゆうちゃんに助けられたよ笑』











卒業式の前日、学校で送別会があった。


私はいつも通り仲のいい友達と居たんだけど


なぁくんは相変わらずたくさんの女の子に囲まれていた。








(そういえばさ〜、一時期?ゆいりにすっごい懐いてなかった?)








「ふぇっ!?、だ、だれが/////」







(分かりやすい反応笑笑

自分で分かってるくせに〜)







「し、しらないよ?」







(奈々くんでしょーよ笑

委員会まで一緒なのに急にゆいりのとこ来なくなったよね?)







「ま、まぁね?」







(いいの?このままで

本当は、ゆいりも好きなんじゃない?)







「へっ?」







(見てたらわかるよ笑

あれだけの人だから惚れない方が逆に、ね?)







「け、けどさ、、"も" って、、?

私、奈々くんに告白されたこと言ったっけ?」







(あーもう手のかかる2人!

私ね、塾が一緒なの。ずっと奈々くんに相談されてたの!)







「えっ!?」







(そんな驚いてる場合?

ほら、見て?)







奈々くんのほうを見れば、さっきよりも多くなった女の子。

どうやら、奈々くんのネクタイや第2ボタンなどを誰が貰うか話してるみたい。







(私は言ったからね?もう、知らないよ?)







「言ったって、何を?」







(だから、ゆいりに声掛けなくなってからも

奈々くんはずっとゆいりのこと聞いてきてたの)







「えっ、待って、じゃあそれって、、」







(知らない、自分で確かめてきな!)







「う、うん!」









友達に背中を押され、女の子に囲まれている奈々くんの元へ。


でも何をどうやって確かめたらいいのだろう。


奈々くんが1人になるタイミングなんて無いし、あの輪の中に入ってく自信もない。







『じゃあさ、僕のことも、なぁって呼んでよ!』







あのときは、呼ぶときがあったらね?なんて言ってたけど、、

それが、今、なのかな?







「なぁ、、なぁくん!!!!」







パッ







一斉にその場にいた全員の視線が私へ。


うわっ、どうしよ、、


やっぱり間違えた?







『ゆ、ゆうちゃん?

ねぇ、今さ、なぁくんって呼んでくれたよね!?』







「え、あ、うん、、/////」







私がアタフタしてるのなんて気にせず、


女の子たちの輪の中から抜けて私の方へ駆け寄ってきては


"なぁくん" って呼んだことに尻尾を振っているのがまた可愛いと思った。







『へへっ、やっぱり可愛いね?

ゆうちゃん、ちょっとまってて?』







トコトコトコ







『みんな、ごめんね?

また後でみんなで話そー!』







トコトコトコ







『お待たせ!

ちょっとだけ2人になれるとこ、行かない?』







「う、うん////」







なぁくんが2人になれるとこまで私を連れてきてくれた。


どういうプランとか何もなくて、ほんとに勢いと衝動だけで来てしまったから


何をどうしたらいいか分からないけど、気持ちだけはちゃんと伝えよう。








『あ、いきなり2人にしてごめんね?

その、声掛けてくれたのうれしくて///』







「ん、ううん、、//

その、いきなり呼んで、ごめんね?」







『全然、でもなんで?

告白したとき、ゆうちゃんの顔が困ってたから

もう絶対に僕からは近づいちゃダメだなって思ってたからさ、その、なんでかなって、、』







「あ、あれは、、困ってたわけじゃなくて、、」







『ん?』







「、、もう、なぁくん、他に好きな人できた?///」







『ふふっ、できるって思ってたんだけどね?

すぐ忘れられるだろうって、、

でも僕の頭の中、ずっとゆうちゃんしか居ないんだ』







「//////」







『ごめん、ね?

また、こんなこと言われても困るよね?』







「あの、、もう、全部、予約済み?」







『えっ?』







「だから、その、、なぁくんの第2ボタン、私にくれませんか?////」







『えっ?貰ってくれるの!?

僕は嬉しいけど、これ持ってたらゆうちゃんの好きな人に勘違いされちゃうよ?』







「うん、だから、その、、好きな人は、なぁくん、だから、、/////」







『えっ!?今なんて!?』







「だから、その、、好き、なの////」







『え、待って!いつから!?』







「1年生の、ときから、、」







『えぇー!!!!!!!』







「紛らわしい表情して、ごめんね?」







『ふふっ、、ねぇ、ゆうちゃん!

僕の彼女になってください!!』







「はい、私こそお願いします!」







なんとか思いを伝えたなぁくんとお付き合いをすることになり


翌日は卒業式よりもなぁくんに彼女ができたことで話題は持ち切りで、


私も卒業式どころでは無かったけど、隣にはなぁくんが居てくれて幸せだった。








大学はそれぞれ一人暮らしだったから

休みの日にどっちかの家でお泊まりして甘い夜を過ごしたりして

大きな喧嘩もなく社会人に。







そしてお互い仕事に慣れてきた社会人3年目。

なぁくんからのプロポーズを受け、それに応えた私は、

もう既に購入したという2人で住む新居に、お引越しの準備。







お金持ちのなぁくんの家だからもっと早くに買えたらしいけど

私へのプレゼントは親のお金ではなく、自分で稼いだお金で買いたかったらしい。

どこまでも優しくて私への真っ直ぐな思いをくれるなぁくんから

私はもう、離れられない。







『ゆうちゃん、あのときは声掛けてくれてありがとうね?』







「どういたしまして?

まぁ友達が背中押してくれたお陰なんだけどね?」







『それでもだよ、勇気いるもん』







「うん、たしかにめちゃくちゃ勇気出した!」







『ゆうちゃん?』







「なーに、なぁくん」







『絶対に幸せにします、だから、、

これからもずっと、僕の隣に居てください。』







「ふふっ

居させてください!」







『ゆうちゃん、大好きだよー!!!』







「ふふっ、もう////

ゆうも、、好き、だよ?」







今でも変わらない真っ直ぐな思いに、未だ恥ずかしがっちゃうんだけどね?


だけど大好きだから、大切だから。


これからもよろしくね?









なぁくんとの思い出が入ってる引越しのダンボールの中に

あの日貰った第2ボタンをそっとしまった。










[完]