私がどれだけ避けても話しかけてくる奈々くん。


けっきょく1年間、話しかけられて逃げてを繰り返して終わった。


3年生になったらクラスも変わるし、もう関わることはないだろうと思っていたのに。







『ゆいりちゃん、今年も同じクラスだね!』







「だ、だね?じゃあ先、教室行くね?」







まさかの、3年間同じクラスになった。


しかも最初の席替えで隣になって、次の席替えは前後。


3年生になってからは委員会とかも私と一緒にしてくる奈々くん。


純粋になんでこんなに避けてるのに話しかけてきてくれるのか気になった。


でもやっぱりみんなの前では避けたくて、図書委員で同じ当番の日に聞いてみることにした。







『ゆいりちゃん、その本好きなの?』







「あまり本は好きじゃないけど、、

当番の時間、暇だし、、でもこれ面白いよ?」







『ふーん、じゃあ後で僕も読んでみよ笑』







「ねぇ、なんで私に話しかけてくるの?」







『あ、、やっぱ、嫌だった?』







「嫌って、いうか、、避けてる、のに、、何でかなって」







『それは、、帰りに言うよ 苦笑

それよりさ、僕もゆうちゃんって呼びたいんだけど、ダメかな?』







「えっ?」







『向井地さんと仲いいでしょ?

ゆうちゃんって呼ばれてて、いいな〜って、、だめ?』







急に子犬みたいな顔して聞いてきて、

なんとなく断れなかった。







「いい、けど、、」







『ほんとに?やったー!

じゃあさ、僕のことも、なぁって呼んでよ!』







「へっ?」







『僕、茂木とか大西とかから、なぁって呼ばれてるんだ!』







「、、呼ぶときが、あったら、ね?」







『へへっ、じゃあ呼んでもらえるように頑張らないと!』







そう言って、顔を赤くした奈々くんが可愛く見えた。


男の子に可愛いって思っていいのかな?


そしてその日の当番が終わり、玄関へ向かって2人で歩く。


もう学校に残っている生徒はいないだろう。







『あの、さ、、さっきの帰りに言うって話、、』







「あ、うん、、聞いてもいいの?」







あのとき後に回されたし、言いたくないのかなって思って

あえて私から聞くことをしなかったけど、やっぱり気になる。







『う、うん、、、、』







「、、な、に?」







『、、好き、なんだよね、、、

1年のときから、ゆう、ちゃんのこと////』







「へっ?」







なんて言われたか直ぐには理解できなかった。

奈々くんから発せられた "好き" という言葉と

許可は出したといえ、"ゆうちゃん" と呼ばれたこと。







理解が追いつく前に、どんどん奈々くんが話を進める。






『でも、さ、、自分から誰かを好きになるのゆう、ちゃんが、初めてで、、

どうしたらいいか分かんないけど避けられるし

だから今年同じクラスになった瞬間、もう後悔ないようにって委員会も同じのなしたんだ。

ごめん、、キモイ、よね?』







「い、や、、、」







『ははっ、好かれてないことは分かってるから

うん、大丈夫。ごめんね?変なこと言って、、

じゃあまた明日!』







それだけ残して、足早に帰って行った奈々くん。

私も奈々くんのことが好きなのに伝えることができなかった。

そして、それ以降、彼が私に話しかけてくることは無くなった。







真っ直ぐに伝えてくれた奈々くん。

それでも、みんなの前ではアイドルのような彼を見てたら

その言葉を真っ直ぐ受け止められなくて、自分に自信がなくて

けっきょくそのまま1か月、また1か月と時間が過ぎ

卒業式までのカウントダウンが始まった。