🌱目線。





僕にはずっと好きな人がいる。


いつからか分からないけど小学生のころから好きだった1個上のお姉さん。


付き合うとか彼氏彼女とかがどんなものか分からなかったけど、小5のときにお兄ちゃんから


"好きなら気持ち伝えないと、中学生になったら他の小学校の子とも一緒になるし取られるぞ?"


と言われて、ゆうちゃんが小学校を卒業するとき気持ちを伝えた。


そしたらゆうちゃんも僕のことが好きだと言ってくれた。


付き合ってからはゆうちゃんは中学生で僕は小6と学校が離れてしまったけど


公園で会ったり、図書館で一緒に勉強したり、2人の時間をたくさん作った。


僕が中学生になってからは周りの影響もあって "付き合う" という意味をようやく理解した僕は、


ゆうちゃんと恋人っぽいこともできるようになった。


水族館に遊園地、ピクニックやお祭り、夏には海!


2人でいろんなところにデートしに行って、たまにはお家デートで触れるだけのキスもした。


ゆうちゃんが高校から地元を離れることを聞いたときも、僕の気持ちはゆうちゃんから離れることは無いと確信していたから


ずっと今の関係が続くと思っていた。


でも卒業式の前日に公園に呼び出された僕にゆうちゃんが言った言葉は、





「なぁくん、ごめんね。別れたい。
いつこっちに戻ってくるか分からないし、会えなければきっと気持ちも無くなっちゃうから。」





会わなければ  "好き"  という気持ちは無くなるのか。


僕はそうは思わないからこそ、ゆうちゃんにとって僕への思いがそれほどだったことが悲しかった。


それでも離れたくなかった僕は必死に、





『僕はずっとゆうちゃんが好きです、それは遠距離になっても変わらない!』





最後の最後まで精一杯、僕の気持ちを伝えたけれど、


ゆうちゃんはただ 「ごめんね、ありがとう」 それだけを繰り返して僕から離れて行った。







それから連絡取ることもなく、ゆうちゃんがこの地を離れるときも見送ることも無かった。


小学生のとき気づいたら好きになってて、ゆうちゃんしか見えなくなってて、


僕にとっての初恋だから、ゆうちゃん以外の人を好きになる方法が分からなくて、


結局、高校を卒業するまでどれだけの女の子に"好き"と言われても頭の中はゆうちゃんの顔が浮かんで


誰とも付き合うことなく19歳になった今もゆうちゃんだけを想っていた。









そんなある日。


大学1年生になった僕の目の前に現れたのは、同じ中学でゆうちゃんとも仲良かった先輩。







先輩(あれ?奈々くん??)




『えっ、、あ!たしかゆうちゃんと、、』




先輩(そうそう!へぇ~うちの大学来てたんだ?)




『はい、そうみたいです』




先輩(なんか中学のときのがキラキラしてたな~今は彼女いないの?)




『えっ!?』




先輩(ほら~だいたい彼女居たらさキラキラしてるもんじゃん?笑)




『そうですか?だからですかね、彼女いないです。できません。』




先輩(ふ~ん、あんなにモテモテだったのに?ニヤニヤ  もしかしてゆいりのことがまだ、)




『ちがいます!失礼します!』









久しぶりに再会したと思えばゆうちゃんの話。


必死になって毎日忘れようと努力してもなかなか忘れられないのに今さら蒸し返されたら余計だ。


もしも、ゆうちゃんと同級生なら同窓会や成人式で再会することもできただろうけど、


学年も違うんじゃ、再会なんて無理な話だ。


それにゆうちゃんにはもういい人がいるかもしれない。


ただこの日を境に、この先輩からキャンパス内でよく声をかけられるようになって、ゆうちゃんの話を聞くようになった。


地元を離れてから彼氏は出来たっぽいけどよく相手が変わること。


インスタで彼氏とのストーリーとか見ててもあまり楽しそうじゃないこと。


色々聞いて、どうしても気になって、最後のチャンスにかけようと先輩にお願いをした。








『あの、先輩!』




先輩(なに?奈々くんから話しかけてくれるなんて珍しいね笑)




『ひとつお願いがあって、、』




先輩(珍しいと思ったらお願いごと?なに~絶対聞けるとは限らないよ?)




『あの、成人式でゆうちゃんがこっちに帰ってきててもし彼氏が居なかったら、僕に連絡くれませんか?』




先輩(はぁ~ニヤニヤ、、ゆいりのことまだ好きなの、ようやく認めたか?笑)




『、、うぅ、認めます!認めますから!!
僕にとって、これが最後のチャンスなんです!』




先輩(分かった、ただ私はゆいりの味方だからね?ゆいりがなぁくんを好きでないならなぁくんのことは応援しない、分かった?)




『はい』








そして、成人式の日。


先輩からの連絡があるかどうか僕は1人でソワソワしながら待っていた。


先輩がご飯食べに行って飲んだりするって言ってたから、寄ってしまえば連絡は後日になる可能性だってある。


それでも今日は待つ以外の選択肢が見当たらなかった。


家の中を1人で行ったり来たりしていると、







ピコン


"あの頃の未練持ったまま酔いつぶれた子がいるの。迎え来てくれたりする?"





ゆうちゃんが酔って机の上に伏せてる写真と共に送りてきたメッセージ。


もちろん行くに決まってる。


だって写真だけど数年ぶりに見たゆうちゃんに、キュンとしてしまったから。







"もちろん行きます!場所教えてください!"








久しぶりだから緊張するし、自信がある訳でもない。


でも先輩が応援してくれるときはゆうちゃんが僕のことを好きなとき。


それだけを信じれば、あとは僕が思いっきり気持ちを伝えればいいだけだ。


高校を卒業してすぐに取った車の免許。


あのときはゆうちゃんを乗せることになるとは思わなかった。


先輩から送られてきた場所の地図を頼りに車を走らせた。









そして着いた先にいたのは、何十倍も何百倍も綺麗になった


でもあの頃と変わらない、大好きなゆうちゃん。







『お久しぶりです、ゆう、、ゆいり先輩。』








あまりにも綺麗で可愛くて圧倒されてしまった僕は昔のように "ゆうちゃん" とは呼べなかった。


それでも今からしっかり気持ち伝えるから、受け取ってください。