侍医というサディスティックな彼氏 ② | 明鏡 ーもうひとつの信義ー

明鏡 ーもうひとつの信義ー

韓国ドラマ『信義ーシンイー』二次小説



「その格好では、バスに乗れないわね」

こんな事になるならどうして車で来なかったのかしら
違うわよ、こんな事になるなんて思ってもいなかった

「アガッシ」
「ハルモニどうしたの?」
「私に妹みたいな子がいるのさ」
「?」
「でね、その子が働いている家に息子がいて」
「そうなの」
「その子がよく遊びにくるから」

ハルモニは綺麗に畳んだ男物の洋服を私に手渡してくる
息子って小さい子じゃないのね

「随分と大きな子だからあのナムジャでも大丈夫だと思うよ」
「いいの、ハルモニ」
「どうせ又来た時に貸してしまったと言えばいい」
「でも」
「良い子なんだよ、着る物をあげたくらいで怒る子じゃない」

好意はありがたく受けておこう
洗って返しに来たら良いんだもの

「髪は、すぐ先の床屋で切ったらいい」

どこから来たのかってどうして聞かないのかしら
それにしてもこの服を着てたいたのは随分と大人だわ
イタリア製のシャツに趣味の良いパンツ・・・
兄さんが好きなブランドじゃないかしら

「よく遊びにくるっていうけど、何もないわよ」
「どうしました?」
「なんでもないわ。洋服を借りれたから着てみて」
「衣ですか?このままではいけないのですか」
「目立つのよ。バスに乗れないわ」

私の手渡した服を見て指先で摘んだ
「小さな突起と小さな穴の多い衣ですね・・・これは」
パンツのチャックを見てビンは驚いた顔をした
しばらく上げ下げをして確認をしたあと私の顔を見た

「着せてください」
「はぁ?」
「着方が分かりません」
「あなた今上げ下げして確認していたじゃないの」
「やり方は分かりましたが手順があるようです」

上を脱いで着て、下を脱いで履いたら良いだけよ
手順も何も貴方が今着ている服の方が難しそうだから

「よく見て、ここをねこう外してこうとめる、アンダスタン?」
「待ってください」

ビンは着ていた服を脱ぎ、肌着の上からシャツを着ようとしたけど厚さで諦め脱いだわ
医者だって言っていたのに胸板は厚くて鍛え上げられた腹筋は水が溜まって流れるじゃないかってくらいに割れている

「指が攣りそうです」
「ちょっとこっち向かないでよ」
「しかし、どうしてこのようにトメが多いのですか」
「離れて、止めてあげるから」

揉めるよりサッサと済ませる、その方が被害が少なくて済む
裸なんか見慣れているじゃない
ハラボジのポンと出たお腹も可愛いと撫でた事だってあるわ
アスリートの盲腸だって切ったわよ

「手が震えていますね」
「シャツのボタンはね、小さいからよ・・・うるさい黙ってて」
「小さいからですね、ユンジョン」
「ちょっと、息がかかるじゃない」

やっとのことでシャツが着れたわ
まるで元々ビンの服だったじゃないかと思うくらいにピッタリ
後はパンツを履くだけ

「ちょっと聞きたいことがあるの」
「なんですか」
「この下ってどうなっているの?」

ビンはニヤリと笑い、耳元で囁いたわ
「布を紐で・・・」
私は無意識にその言葉の先を聞かないように耳を塞いだ
「言わないで、もう言わないでー。ハルモニー新しい下着はない?」
耳を塞いだままハルモニがいる居間に走ったわ
そんな姿を見せられたら、私どうにかなるわ
「あるよ、ほら」
真新しい買ったばかりの下着をタンスから取り出して
ハルモニは、携帯で電話をし出した
「あ・・・今大丈夫かぃ?」
「どうしたかって?」
「いや、ちょっと訳があってね、坊ちゃんの洋服を貸すことになったのさ」
「いいかい。あ、下着もなんだ・・・気にするなって」
「ありがとうよーテソン」
ハルモニは振り返ってニッコリ笑った

「気の良い子だろ、私の妹は・・・ね」
「ハルモニの友達だもの、良い人に決まっているわ」

私は新しい下着をもらってビンにスマホの動画で履き方を見せた
「もう一度」
見終わるとビンは暫く考えたあとそういったの
もう一度動画を見せた
見たあと腕を組んでまた暫く考えたあと「もう一度」というの
「分からない?」
「いえ、そのドウガですか?大層面白いので」
「後で十分見せてあげるから、まず着替えて」
「はい」
ちゃんと着れているかって、確認なんかしないわよ
ただ後ろに回って腰の辺りを引っ張って中を覗いただけ

「何を」
「確認よ」
「確認なら前ではないのですか」
「なんで前を確認するのよ」

顎に手を当てニヤッと笑った後に

「収まっているか、収まるかです」

あーもうどんな事を妄想させるのよ、この魔男は
どんな下着を履いているのかは、私知っているわよ
でもなんで収まっているかとか
収まるかなんか心配しなくちゃいけないのよ

「履けたらいいのよ、アンダスタン・・・ビン」

この人をソウルに連れて帰ってから何処に住まわせるなんて考えてなかった
ただ此処にこのまま置いておくわけにはいかない
私のマンションに居てもらうしかない

「お願いだから、静かにしてて」
「私は、うるさくなどしません」
「そういう意味じゃないの。揉め事を起こしたら身分証明書がないから」
「必要ですか?その身分・・・何とかというものは」





問題は山積みだわ
この時代は貴方が居た時代より面倒な事が多いのよ
関わりたくないけど、父か兄に会ってお願いしなくちゃいけないかも

「時を越えれました。大抵の事はなんとかなると思いますよ」

どうしてこんな時も冷静でいられるのよ
チャンビンは一気に熱量が上がる性格だと私は思っていた
私の知らない間に静寂という言葉を知っていた