背伸び | ひとひらの恋

背伸び

「さむいさむい…」


こんな言葉が口癖になってしまった冬のある日。


今日もいつもと変わらず寒くって、


北風がいたずらに前髪を揺らす。


美容院に行くの面倒だなって昨夜、自分で切った前髪がくすぐったい。


不器用な私に上手く切れるわけもなく…


大人っぽくしたかったのに眉毛すれすれのパッツン前髪になってしまった…


あなたに似合う女の子になりたくて、


年上のあなたに合わせたくて、


背伸びばかりしてしまう。

いつになったら追いつけるのかな?


「そのままの君が好きだよ」

いつかあなたが言ってくれた言葉。


でも前の彼女はロングヘアーにトレンチコートが似合う大人っぽい美人さんだったじゃない。


だから「そのまま」じゃダメでしょ?


あなたの好みは「そのまま」の私じゃないはずでしょ?


そんな風に思うのは素直じゃないよね。


うん。わかってるんだ。


あなたは私をすごく愛してくれている。


繋いだ手から、触れた指先から、愛が溢れるように伝わってくる。


照れたときに鼻に手を持っていく癖も、耳まで真っ赤になることも知ってる。


でも、やっぱり私は今日も明日も明後日も背伸びしちゃうと思うんだ。


あなたに好かれたくて。


私だけを見てほしくて。


あなたにとってたった一人の大切な女の子になりたいな。