祝☆1才6か月(12/3) | 強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

2010年2月、生後8か月のとき、未分化肉腫という聞いたこともない病気が発覚し,1才6か月で天国へ旅立ってしまった娘の入院生活を振り返ってブログを書いています。

時間だけが過ぎていく。

部屋にはゆいと父ちゃんと私だけ。

主治医T先生が、


「今日は家族の方は来られますか?

ここは誰が来ても大丈夫ですので!」



知ってる・・・

私は誰かに(家族に)来てもらおうと全くしなかった。

まだこう思ってる。

ゆいは死ぬわけない。



父ちゃんと順番に病棟にあるお風呂に入る。

前の部屋にはシャワーがあったが、PICUにはない。

私は潔癖ではないけど、どうにもこの病棟のお風呂には抵抗があった。

(ごめんなさい)

でも、実家に帰る時間があるならゆいのそばにいたかった。

だから、我慢して入った。(苦笑)

私がシャワーを浴びて部屋に戻ると、ゆいは父ちゃんに抱っこされ、振り絞るように泣いてた。

目は閉じたままだけど・・・

悲しそうに泣いてた。

泣いてるゆいを心配して看護師さんもいた。

父ちゃんは泣き止まそうとアタフタしてた。

私が抱っこすると、ピタッと泣き止んだ。
これは、いつもと全然変わらない。

いつもこの瞬間がすごくうれしかった。(笑)

ずっと眠ってようが、ゆいはちゃんと分かってる・・・




今日は金曜日、教授回診があった。

海坊主ではなく、優しいおっさん教授だった。

ベッドで眠ったままの診察。

診察してる教授は険しい顔をしてた・・・

他の先生も静まり返ってる・・・

ゆいはいやだろうな。がんばれ!ゆい!


診察が終わっても教授は言葉がないようだった。

いつもなら、「がんばろうね。バイバイ」で終わりだけど・・・

少しの沈黙の後、


「お母さん、何か困ったことありますか?」


と優しく聞いてくれたが、


困ったこと・・・

今の状態全部全部全部困ってる・・・

言ったらどうにかしてくれるのか!

ゆいを助けてくれるのか!

こう大きな声で叫びたかった・・・


「何もありません・・・」


この空間で、こう答えるのが精いっぱいだった。




夕方のT先生の回診も、険しい顔だった・・・


「ゆいちゃん、すごくすごく頑張ってますね・・・

すごく頑張ってる・・・」


ゆいはずっと頑張ってきたよ。

今もめちゃくちゃ頑張ってる。

だから助けてほしい・・・

まだ、まだこんな思いばかりだった・・・



ゆいが目を開けて口を動かしてた。

父ちゃんが酸素マスクをあて、私が抱っこして、口の中にスポイドでお茶を入れてみた。

ゴクリって飲み込んでる。

何か食べたいのかもしれない。

スプーンでヨーグルトを少しだけ口に入れてみた。

口を一生懸命動かしてるけど、飲み込めない。

舌についたのを舐めてる感じだ。

目は遠く一点を見てる・・・

マスクを少し離してるから、SPO2が下がる。

酸素が少しでもなくなるとダメだった。

少しすると、目を閉じた。




夕方父ちゃんは、ケーキとお寿司を取りに行った。

夜、お兄ちゃん夫婦が来てパーティーの予定。

ゆうくんは風邪をひいて熱があるので、残念ながら不参加。

ばあちゃんも仕事で遅くなるので不参加。



18時半パーティー始まり!

うるさかったのか、ゆいは目を開いた。

主役はわたしよ!って思ったのかな??

抱っこしてケーキを近づける。

ケーキはこれ!



強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~






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ジャ~ン!!!

ハピーです!

ほんとゆいそっくりじゃわ~

(こんな目パッチリじゃないけど・・・)

ろうそくに火をつけると、ゆいはその火を見てるようだった。

ハッピーバースデイを大合唱。

「ゆいちゃん!おめでとう♪」

ゆいは聞いてたかな。

ろうそくの火を消して、少ししてゆいは目を閉じた。



この時父ちゃんがビデオを撮ってた。

でも、その映像は見たことない。

これより前に撮ってるのは見れるけど、この時のだけは・・・

写真もケーキしか撮っていない。

私はゆいが撮れなかった。



ゆいを囲んでワイワイしながら食べたが・・・

どんな味だったか、何を食べたか思い出せない。

ケーキの味さえも。

無理やり笑顔を作ってたと思う・・・

ゆいは大丈夫、ゆいは大丈夫。

1才6か月だって迎えられた。

まだ大丈夫、まだ大丈夫って・・・




ゆい、1才6か月おめでとう。

2才、3才・・・って毎年祝えるのが当たり前だと思ってた。

ここまでしかお祝いできなくてごめんね。