高校で好きでもない書道を専攻したのは、音楽も美術もそれ以上に不得意だったから。しばらく授業に出ても、私の癖字は直らなかった。書道教師は穏やかな人で、嫌いではなかった。
嫌いだったのは英語の教師で、授業をサボって次の授業に間に合わせようと、大急ぎで玄関に飛び込んだときに、先頭の同級生が殴られた。あのころは暴力的な教師に対し、世間は批判的ではなかった。なので他にもいた。
私の字が癖字になったのはいつのころだったのか。クラスには美しい字を書く生徒が何人もいた。私は書けないコンプレックスから、給食の早食いと同じように、スピードだけが取り柄の雑な癖字書きになってしまった。
3年生の終わりころ、優しそうな書道教師から、授業をサボリすぎなので単位をやらないと脅された。書道の単位だって卒業証書がかかっている。清書20枚必死で書いて詫びを入れた。卒業しても大学も仕事も当てがなかったのに。