日本経済を壊す会計の呪縛/大畑伊知郎 | 好きこそものの上手なれ。~会計士試験に文句なく合格するために~

好きこそものの上手なれ。~会計士試験に文句なく合格するために~

2013年公認会計士試験に合格、来年から某監査法人勤務予定のけんいちです(twitter→@0529ken1)。
公認会計士試験の受験生の方に少しでも役立つような情報提供が出来ればと思います。

日本経済を壊す会計の呪縛/大畑伊知郎



デフレ不況の「真犯人」は、政治でも日銀でも少子高齢化でもない。
金融ビッグバン後の「グローバル」な会計基準こそが元凶なのである。
リストラの加速、大手電機メーカーの巨額赤字、相次ぐ百貨店の閉店...。
全ての背景には会計の「呪縛」があった。
時価会計、減損会計、税効果会計等の性質と問題点を平易に解説しながら、日本的経営が破壊されるプロセスをロジカルに解き明かすスリリングな書。

******************

日本経済再生を掲げて、安部首相のアベノミクスが注目を集めているのは皆さんご存知の通りです。
確かに、アベノミクスでは大胆な金融政策及び規制緩和でデフレ脱却を目指し、株価上昇を始めとした景気回復のきっかけは見えたと報道されています。
しかし、こうした株価上昇は本当に景気回復やデフレ脱却のシグナルと言えるのでしょうか。


著者は時価会計、税効果会計、減損会計、などの、「管理会計的要素」が、財務会計に入り込むことによって、収益性重視の経営に舵を切らざるを得ない経営環境になっていることを訴えています。そしてそれが、経営者にリストラ圧力をかけ、近年のデフレ不況の原因になっているとしています。

こうした考えが正論であるか否かは別にして、私たちが会計士試験の勉強を通じて学んでいる、財務会計、管理会計、経営学の知識が実際にどのような形で経済に影響しているのか、を見つめ直す意味で非常に読み応えのある一冊でした。